2008年8月18日月曜日

精神保健福祉士スクーリング(3日目)精神保健福祉論(Ⅲ)

3日目。
少し疲れも出てきた。
この高校生みたいな生活は、心身ともに疲れることに気づく。
勉強って体力が必要だなぁ。
高校生って、すごいね。

講義を受けて考えたことは、以下の通り。
■以前から「ストレングスstrength」は、静的なものではなく可能性を含む動的なもの(本人を行動に駆り立てる「意欲」など)を含む概念ではないかと思っていたが、「潜在能力」を含むICFに基づく概念であることが確認できた。Iyokiyehaの仮説は当たらずとも遠からじといったところだろう。
■職場の支援の中では、時々使っている考え方だが、「知覚-認識-行動」のそれぞれの間には、それぞれを連動させるものがある。「能力」なのか、「神経」なのかわからないが、「知覚」「認識」「行動」の関係を厳密に示すと「(環境―◎―)知覚―○―認識―●―行動」となる。Iyokiyehaは仕事柄、「行動で評価」しているが、行動に至る流れを前述のように示すのであれば、○でつまずいているのか、●でつまずいているのかによって、同じ「行動」が表れても意味が変わってくる(◎は、聴覚障害者や視覚障害者、発達障害者など、感覚機能の障害により、情報そのものを感じる段階)。今日の講師が「精神障害者は嘘つかないよ、うまく言えないだけだ」と言ったことが、すごく響いた。確かに、私が今まで「虚言癖」と評価していた人の中には、それが「上手く言えなかった」だけの人もいるかもしれない。というか、ひょっとしたら人格域と診断される人の多くが、●の流れが「非常に」うまくいっていないのかもしれない。これはIyokiyeha仮説です。
仮説だけれども、例えばこの図で、身体障害者の一部は◎、知的障害者は○、発達障害者は◎と●、精神障害者は●(認知機能であれば○が追加)が課題となるのかもしれない。乱暴な整理だけれども、意外とわかりやすいかも。
■職業リハビリテーションにおいても、「ストレングス」は強調されるが、実際の業務の中では、それが活かしきれていないようにも思う。もちろん、ワーカーとIyokiyehaの仕事は、厳密には立ち位置が違うし、業務評価やら制度やら財源やらで、がんじがらめにされていることが原因であるように言われることもあるけれど、しかし、それが全てか?というと、個人的にはマンパワーにも課題はあると思う。もちろん、Iyokiyeha自身を含めてではあるけれども、職業リハビリテーションを構成する一人一人が、意識して視野を広げて、知恵を使うことを意識しなければ、考え方は硬直化してしまうように感じる。制度上の縛りを積極的に破ることをよしとするわけではないが、確かな実績を作って然るべきところに提案するだけの力は、つけておきたいものである
■ソーシャルワーカーの立場も、職業リハビリテーションの立場も、クライアントに対する態度に大差はないと思う。本人ニーズに基づく支援を実施する点では同じといえる。ただし、就労支援を考える時に大切なのは、ニーズが本人だけでなく、事業所からも同様に示されることだ。
■職業リハビリテーションを含む就労支援を考える時に、よく「本人側に立つか、事業所側に立つか」という選択肢が提示されるが、これについても今後考えなければならない。本人―――事業所と、よく単一軸で示され、そのどこに支援者が立つかという議論がされるのだが、本人と事業所の間にあるのは「事業所の作り出した環境」であり、就労支援とはこの意味の「環境」に本人が適応できるか否かというところが核となる。この「環境」はもちろん、事業所の「ニーズ」によって形成されるものであり、本人の配慮「ニーズ」は、「環境」の変化可能域内でのみ意味を成す(範囲外であれば「環境」に入ることが許されない=雇用されない)。


1.ストレングスモデル
(1)従来のソーシャルワーク
 精神障害者を世間から排除しようとする背景があった。パレンス・パトリエ(国親)の考え方(みんながやろうとしないから、国が法に基づいて支援する)に基づき、ソーシャルワークの概念が生まれる。
 伝統的医学モデルによる、パタナリズム(父権的温情主義 例:退院してもロクなことがないからずっと病院にいなさい)が問題視される。クライアントを「能力なし、無力」と捉えがちな考え方。

(2)ストレングスモデルの概要と要点
 伝統的医学モデルの対立概念として提出される。原則は6点、ケアマネジメントから生まれたもの(注:ケアマネジメント(英)「支援(ケア)」を何とかする。ケースマネジメント(米)「個人(ケース)」を何とかする。視点・立場に違いがある)。
・ストレングスモデルによるケースマネジメントの原則
 ①精神障害者は回復し、彼等の生活を改善し質を高めることができる
※②焦点は病理でなく個人の強さである
※③地域は資源のオアシスとしてとらえる
 ④クライアントは支援プロセスの監督者である
 ⑤ケースマネージャーとクライアントの関係が根本であり本質である
 ⑥我々の仕事の場所は地域である
(※印の二つが核となる)
重要なのは、考え方や資源をRe-framing(リフレイミング:再構成)すること。

(3)ストレングスの要素(空間、個人、環境)
 ①生活空間(Niche:生存適所)
  個人の勝手ができる空間を作り出す
 (空間の質が生活の質を決定する)
 ②人々の側の条件-個人の強さstrength
  -願望(目標と夢がある)
  -能力(願望を達成するために、彼らの強さを用いている)
  -自信(目標に向かって次の段階に移る自信を持っている)
  -潜在能力
  -希望
     など
 ③環境の側の条件-環境の強さ
  -資源(目標達成に必要な社会資源への接近方法を持っている)
  -社会関係(少なくとも一人の人との意味ある関係を持っている)
  -機会(目標に関連した機会への接近方法を持っている)
 ④その他
  -エコロジカル視点(人と状況の全体性に着目)
  -ノーマライゼーションの実現
  -回復(リカバリー)
 これら①②③④を通して、クライアントを権利主体者とし、エンパワメントenpowermentしていくのが、「ストレングスモデル」に基づくソーシャルワークであるとする

2.コミュニティ・ソーシャル・ワーク(Community social work)
 「コミュニティワーク」は、「地域援助技術」と訳される。大橋謙策氏が提唱する「コミュニティ・ソーシャル・ワーク」とは、大橋氏が理想とする「ジュネリック・ソーシャルワーク(一人でいろいろな支援(ケース、グループ、コミュニティ)を実施するソーシャルワーク)を基盤に、本人の主体性を尊重し、「生活者」支援を実施するソーシャルワーク。
 アメリカの徹底した分業主義による「ケースワーク」の対立概念として提唱される。