2012年7月31日火曜日

嗅覚と記憶

最近、更新が滞っていましたが、現在夏休みで帰省しているIyokiyehaです。

先日バーに行く機会があり、普段はウイスキーが多いのですが、たまにはと思いカクテルをオーダーしてみました。
バーに行ってカクテルをオーダーしていたのは学生の頃と社会人になりたての頃だったのですが、不思議なものでその時にオーダーしたカクテルにまつわる記憶が次々と思い出されました。
当時足繁く通っていたバーで、ジャズの聴き方を教わったこと、当時のアルバイトや仕事の内容、凹んだ思い出、達成感のあったこと、彼女もいなかった時のクリスマスの過ごし方(笑)など。
オーダーしたマティーニを一口飲んだ時にボンッと何かがはぜたかのように、記憶の詰まった箱の蓋が開いたかのように、いろんな記憶が自分の中に流れ込んできました。

こういうことがあると、本当に人間って面白いなぁと実感します。何でこんなしくみになっているのか、何でこんなことが起こり得るのか。人生が豊かになるのかはわかりませんが、そんな自分の感覚に感動した一件でした。

2012年7月9日月曜日

齊藤正明『マグロ船仕事術』ダイヤモンド社、2011年。


上司の命令でマグロ船に乗ることになった研究者が、マグロ船の乗組員とのやりとりや言動から感じたことをまとめた一冊。不便な「職場」であるからこそ強調される内容であるのだが、一般的な多くの職場にも共通することが多い。

マグロ船が理想的な職場というわけではなく、働く場所としては(おそらく)過酷な場所であるからこそ、モチベーションを維持したり安全に取り組むために必要なコミュニケーションについて、著者が自らやりとりしたエピソードが紹介されている。
印象的だったのは、努力は大抵思い通りには報われないという心持ちでいることが余裕につながることと、自分の手にはおえないことを目標設定しないこと。コミュニケーションの成否は発する側の分かりやすさや否定しないことといった内容の面もさることながら、最大のポイントは受け止める相手次第であるということ。
環境を和らげ、何でも雑談のレベルで話題にできることが環境をよくすることとなり、環境をよくすることが、コミュニケーションが円滑になることだと思った。

エピソードが面白くて、一気に読める一冊。



■以下Twitterに投稿したメモ。

コミュニケーション。職場(船内)を活気づけるコツ。自分の能力を磨くよりも、人の能力を認める言葉をかけることを意識する。部課の考え方、生き方に関心を持つ。「人は指示通りには動かない」ことを前提に。まず「なるほど」。

目標管理。目標管理はできることとできないことがある。マグロの漁獲量は数値目標にそぐわない。だから目標設定しない。改善の方策は「具体的に」考え、実行に移すことが大切。

ストレス回避術:人に期待しないことは期待することよりも大事。人生は後だしジャンケンでいい、都合よく解釈する。現状に感覚を向ける。原因と結果にはいい面悪い面がある。目標にとらわれ過ぎると現状が見えなくなる。モチベーション維持。仕事=ゲーム。

褒め方:いつも監視しているとお互い疲れる。具体的に3つくらいのことを教えたときには、教えたことを覚えておき、一つでもできたら「調子がいいじゃねーか」と声をかける(褒める)。そうするといわなくても他の二つのことも意識するようになる。

叱り方:「期待していたこと」を伝える。甲板でサメに噛まれたが無傷ですんだ人に船長が怒鳴った言葉。「せっかくうまくさばけるようになったお前がここでけがしよったら、みんなが困りよろうが!こんバカ!」。怒りの感情ではなく、その前の期待を伝える。

社会人:迷った時には「えいやっ」で決める。限られた情報と勘が頼り。50%で当たるくじは多くひけば当たりが増える。テストでなければ存分にカンニングして盗む。独りよがりでみんなに迷惑がかかる。軸を持つ。

業績アップ:誰も成し遂げられない仕事をするためには、普段やっているあたりまえのことを正確にきちんとこなしていくのかが問われる。あたりまえのことの積み重ねの先に大きな目標がある。いい意味で自分をだまして、仕事を楽しくする。

ホウレンソウ:適当なやりとりが守られている職場では、些細な報告も流通するようになる。仕事と関係のない話題でも「応援している」意味で適当なやりとりをすることも風通しをよくする。「ワッチ」大きく観る。空き時間に振り返ることで仕事の質が高まる。
育てようと思うとストレスになる。応援するくらいの気持ちで接する。世の中参考になることだらけ、コマーシャルに詰め込まれたメッセージ・見せ方。

リスク管理:笑うこと。心に余裕がないと笑えない。自分にはどうしようもないことについてあれこれ考えないこと、目標管理の内容など。努力は普通(思った通りには)報われない。短所だけでなく長所を見抜く。できるだけ多くの挨拶・雑談を交わす。