2008年8月7日木曜日

佐藤雅彦、竹中平蔵著『経済ってそういうことだったのか会議』日本経済新聞社、2000年。

クリエーター(でいいのか?)の佐藤雅彦と、経済学者の竹中平蔵とが、「経済」の様々なトピックについて、徹底的に語り合う対談録。
2000年刊行と、やや古い書籍だが、複数の著名人が絶賛しているのをたまたま複数見聞きして読んでみた。
時事情報が古いのは仕方がないとして、経済のことについて、非常に平易な表現でわかりやすく、新聞の経済欄もまた少しだけ読めるようになるかも、と思わせる内容。
「経済」(=エコノミクスeconomics)の語源は、ギリシャ語のオイコノミクスoikonomikos
で、その意味するところは「共同体のあり方」という一説が、経済学の本来解明すべきものを一言で表しているようで、感動すら覚えた。

宣伝効果によって、消費者からは資本規模の差に錯覚が生まれるとか、仕事の価値を判断するのは他ならぬ「マーケット」であるなど、自分の生活にも幅広く関わる「経済」に関する話題を、シロウトにもわかるように説明できる、竹中氏の「深さ」と経済学に対する「信念」が読み取れる。
イノベーションと関連して、コンぺティティブcompetitiveとコンピタントcompetentの言葉の使い分けについて、最後に触れている。
前者は「競争的な」などと訳されるが、競争でほんの一歩くらい抜け出しているという語意が含まれる。
一方で後者は、「有能な」などと訳され、このことばによって表される変化は「何が起こってもやっていけるような力」であるとする。
他の価値との関連の中で、今までにないものがブレイクスルーの結果として生み出されることを示している。

一般常識としても、非常に面白い読み物といえる。


おすすめ度:★★★★★