2008年8月16日土曜日

島田洋七『佐賀のがばいばあちゃん』徳間文庫、2004年。

スクーリング中で、読み物はたくさんあるのだけれども、息抜きに数冊持ってきた。
完全に勉強モードのこういうときは、軽い読み物がいい。

数年前にベストセラーとなり、シリーズで500万部突破したロングセラー。
嘘のようなノンフィクション。
当時では、それほど珍しいことではなかったのだろうか?
島田氏の自伝。
元気になる一冊だった。

戦後間もない広島で、貧しさから佐賀の祖母と暮らすことになった昭広。
「明るい貧乏」と称し、描かれる生活は、常に明るい。
貧しさから落ち込むのではなく、世の中をうらむではなく、近所の人たちに支えられてなんとか、それでも楽しく生活するばあちゃんと昭広の物語。

個人的には、「本当の優しさとは、人に気づかれずにやること」のくだりが響いた。
運動会に決まって腹痛をおこす、昭広の担任。
そして、友人の修学旅行の積み立てをカンパしたときのくだりに思い出すことなど、「人として」深く、しかしあたりまえなことを、あたりまえに説いている。
つい忘れてしまいがちな、「人」としての他人。
目の前にいる人を、もっともっと大切にしたいものである。
そして、屁理屈を言ってでも弱音を吐かない、生活者としての姿勢。
見習いたい。