2021年2月21日日曜日

佐藤秀峰『ブラックジャックによろしく』Kindle版。

 シリーズで通読した。おそらく15年ぶりくらいだろう。学生の頃に読んでいたのを思い出す。

(第1シリーズ 9巻(精神科編)より)

「弱くてかわいそうな患者達を、正義の味方の自分が守ってあげている。この感覚が差別といわれるものです」(No.111)

「守ろうとしている。これもある意味差別です」(No.114)

・守る意識が差別というなら、自分が仕事でやっていることは何なのだろうか。この引用を考慮すれば「差別」となる。スポイル、強制、依存、様々な感情の中でも、現場にいて「ふさわしくない」ものがあるのは分かっているつもりなのだけれども、「これでいい」と思った瞬間iに差別意識は入り込んでくる。

・だからといって、完全な自己否定は何も生み出さないし、純化した理論が現場の行動の妨げになることも、感覚レベルでは分かっている。

・おそらく、対人援助業務を続ける限り、ずっと付きまとう理屈だけれども、おそらく入り込んでくる差別意識に絡めとられないようにするためには、絶えず「~かもしれない」と考えることなのかと思う。考え続けて思考や行動が止まらないよう、自己矛盾を抱えながら行動し、考え続けることしかないように思う。

2021年2月20日土曜日

立場が変わると見えてしまうもの

 「しがらみ」って言葉があります。「いろいろなしがらみがあって…」と使いますが、調べてみたら、水流をせき止めるための柵のことなんですね。

しがらみ【柵】

1 水流を塞きとめるために杭を打ちならべて、これに竹や木を渡したもの。

2 転じて、柵(さく)。また、せきとめるもの。まといつくもの。

とあります。(広辞苑)

 人間関係につかう、冒頭の用例は辞書の2の意味の中でも、「望んでいなくても、まとわりついてくる」イメージで使っているということができます。

 人間関係って制御しきれないものですが、自分の立場が変わるとそれに伴っていろいろな人的環境の変化が生まれます。この内、自分の利益になる(と思える)関係を「人脈」、そうではなく面倒な、うっとおしいなど、不利益と位置づく関係を「しがらみ」などと言うのであれば、整理できるでしょう。

 さて、現実に目を向けてみると、Iyokiyehaは現在の職場の他にいくつかの人間関係があります。そのほとんどは上記「人脈」になっているのですが、ある立場関係で、自分の思いもよらない関わりが生じてくることがあります。「いやぁ、最近いろんなしがらみがあってさ」って感じです。漏れ聞こえてくることとすれば、地元の名士が私のある立場に関して「ご意見・ご質問」してくるとか、現状活動がまわりまわって全く事実無根の噂として「ご指摘」が入ってくる。なるほど、なかなか面倒だ。

 これまでの職場は、よくも悪くも理詰めが通用する社会が主流だったのだけれども、このいわゆる「よくわからない働きかけ」については、しょっぱなから殴り掛かられるような雰囲気で、何が偉いかわからないマウンティングを仕掛けられるので、慎重に距離をとっているのですが、相手が全く見えない(発信源が分からない)というのは、なんだか不気味ですね。まぁ、ご指摘の寄って立つ背景が全く事実無根なので、とりあえずは全く怖くないのだけれども、こんなやりとりがまかり通る社会を作り出してしまっている人達の思考が読めないので、なんだか面倒だなぁというのが本音です。事業の主旨ではなく、あくまで感情論の土俵で勝負されるのは、仕事だけで十分お腹いっぱいなんだけど、って感じで食傷気味なこの頃です。

 これって、しがらみ、でいいよね。

2021年2月13日土曜日

資料の共有

これまでに作成した資料等で、共有できるもの(公開されているもの、資料として提供しても問題ない加工を施したもの、もしくは私的なもの)を少しずつアップしていきます。ラベル「共有資料」で、この投稿にジャンプできます。リンクをクリックすると、資料閲覧・ダウンロード(ほとんどPDF)ができます。

○2020年4月23日(2020年5月6日、10日版に更新)
 職場で研修プロジェクトを立ち上げたのはいいのだけれども、コロナ騒ぎで集合研修がやりにくくなっています。悶々としながら、思いつきを形にしてみました。自動スライドショーにトークエディタ(CeVIOプロジェクト「さとうささら」)で作った講義音声を自動再生するようにしたもの。採用されたとしても、お蔵入りになったとしても、個人的には面白い成果物になりました。手ごたえがあるので、一部改変してアップします。好評なら第2弾があるかも。リンク先(Web上)だと組み込んだささらちゃんの音声(「普通」Ver.)が起動せず、スライドの閲覧だけになっちゃうので、お手数ですがリンク先ファイルをダウンロードして、スライドショーファイルとしてPowerPointがインストールされている端末で試してみてください。5月10日追記:なぜか全自動のプレゼンにこだわっていましたが、スライド切り替えは手動の方が便利だと思うので、手動版に調整しました。キーボードの↓キーで進めてください。
 研修資料 エピソード1 身体障害編
      エピソード2 知的障害編
      エピソード3 総合支援法編

○2020年3月5日
 プレゼンとかグループワークの心構え
 職場でプレゼンとかグループワークについて意見交換するのに雑感として吐き出したメモ。15分くらいで書き出したものなので、何のまとまりも根拠もないメモなのだけれども、なかなか面白いメモになったので、備忘録としてアップ。今後磨いていきたいもの。
 心構え(ドラフト)

○2020年1月25日
 北多摩北部地域 高次脳機能障害者支援ネットワーク協議会 主催
 市民交流事業「社会参加への道 ~高次脳機能障害を持った自分だからできること~」
 @まろにえホール(東久留米市立生涯学習センター)
 チラシ
 基調講演配布資料
 令和2年1月26日読売新聞多摩版朝刊26面
 業務外で基調講演なんかやってしまった。
 15年続いている市民交流事業に登壇させていただいた貴重な機会でした。私の講演内容はさておき、第2部のパネルディスカッションが秀逸でした。

○2017年
 今の職場で受験者のためにメッセージを書いてくれと言われ、原稿書いて作ってもらったもの。イラストレーターの仕事ってすごいな。パソコン環境によっては文字化けするかも。内容は「前職の仕事が漏れている」と評価されました。
 先輩メッセージ

○2016年
 日本職業リハビリテーション学会第44回大会京都大会プログラム・抄録集、124-125ページ。
 「精神障害者の雇い入れにおける事業所への支援プロセスの検討」
 本当はこの研究、完成させたいんだけどね。仕事が変わってしまい、障害者雇用の現場から離れて関われなくなっていることから、無期限中断です。興味がある方おられれば、共同研究者にきちんと紹介しますよ。

○2015年12月6日
 特定非営利活動法人 東京高次脳機能障害協議会(TKK) 主催
 高次脳機能障害実践的アプローチ講習会 第3回講習会
 @東京慈恵会医科大学 西新橋校
 講義3「高次脳機能障害者に対する就労支援」
 前職で最大規模の講師経験はこれです。今でも私の実名をGoogleで検索すると、この講習会の講師として登壇したことを全国各地で紹介されているものがヒットする。2020年の基調講演の時には、事務局が私のことをインターネットで調べて「各地で高次脳機能障害の講演をしているのですね」と勘違いされたという裏話がある。

○2015年10月
 伊藤郁乃、大塚麻里子、内田裕子、新藤直子、柳澤朋秀「医療・職業リハビリテーションのシームレスな介入により就労に至った高次脳機能障害の1症例」『医療 Vol.69』国立医療学会、2015年10月、438~442ページ。
 「医療・職業リハビリテーションのシームレスな介入により就労に至った高次脳機能障害の1症例」
 2020年1月25日の市民交流事業の基調講演につながる、2015年の市民交流事業のシンポジウムの事例について、一緒に登壇した先生方が専門雑誌に事例報告したもの。

○2015年
 日本職業リハビリテーション学会第43回大会東京大会プログラム・発表論文集、168-169ページ。
 「障害者雇用における事業所の取り組み状況の検討」

○2014年
 日本職業リハビリテーション学会第42回大会岩手大会プログラム・発表論文集、122-123ページ(共著)。
 「事業所の障害者雇用の取り組み状況に関する調査」
 2014年から2016年にかけて取り組んだ、業務外のこの研究は楽しかった。ものすごい勉強になったし、心の底から楽しかった。ただ、論文は共同研究者が99%作成したものです。

○2013年12月18日
 業務研究会 Bグループ論文集16-21ページ。 報告論文
 ノリノリで推薦されて、ノリノリで突っ込んでいったにも関わらず、本部でブ厚い壁にぶちあたったいい経験。長い目で見たら、ここで鼻をへし折られて私のキャリア的にはよかったんだけど、当時は公私ともどうかなりそうなくらいでした。ほとんど原型をとどめないこの原稿は、ほぼお蔵入りでしたが、反省の意味を込めてアップしておきます。

○2013年10月
 企業向け説明資料(障害特性・職業的課題編)
 そういう調子に乗りまくっていた頃だったからこそ、怖いもの知らずでした。良くも悪くも勢いがあったから、資料刷新に結びついたのかもしれません。テキストとスライドを分けるという手法は、この頃から始まったように思います。ここで作った資料は、プレゼンのスタイルとも合ったようで、今(2020年頃)でも使っている部分があります。

○2013年6月1日
 ノーマライゼーション促進研究会
 話題提供資料
 当時の障害者雇用の状況や制度についてまとめて報告するとともに、業務外ならではの持論を場に出させていただいた貴重な時間でした。この時の報告内容が学会報告(2014~2016@職リハ学会)につながりました。職業リハビリテーションに携わっていた時期の中で、一番尖っていた頃だったかもしれません。

○2004年 2003年度修士論文
 「精一杯生きるために ――森岡「生命学」がいのちの教育に与える新たな視野――」
 抄録
 全文
 今読み返すと恥ずかしい。修士課程2年間は目一杯ゆらいだ時期で、卒業論文で取り上げた体験活動はどこへやら。課外活動は熱心で、最もフットワークが軽い時期だったのに、真面目に読んでいる本は自分自身の内面に切り込んでいくような重みのあるものばかり読んでいました。論述は稚拙ですが、私の原点はここにあるな、と振り返れば確かに感じられる文章です。

○2002年 2001年度卒業論文
 「体験活動の可能性 ――自然体験活動とプロジェクトアドベンチャーを中心に――」
 全文
 勢いだけで書き上げたような、自ら参加した体験活動をこれでもかこれでもかと言語化した壮大な記録。何事にも本気で楽しんでいた20代前半戦の若さだけが輝いている文章です。こんな体験を論文の形にまとめさせてくれた指導教官には感謝しかありません。