2020年4月24日金曜日

リンクのリスト

○静岡大学
 https://www.shizuoka.ac.jp/
 母校です。

○特定非営利活動法人 富士の国・学校ビオトープ
 https://www4.hp-ez.com/hp/fuji-biotope/page1
 在学中にお手伝いさせてもらったNPOです。今は誰が、どこで、何をしているのか…ちょっと見えないですが。

○特定非営利活動法人 浜松NPOネットワークセンター
 https://www.n-pocket.jp/
 私の原点と言われたらここになるかな。今でも地元静岡県浜松市で活躍しています。

○独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構
 http://www.jeed.or.jp/
 キャリアと言われたら、もうしばらくはここの障害者雇用支援です。11年勤務しました。
 障害者雇用に関する資料はここ
 障害者職業カウンセラーの仕事はこれ

https://www.city.tokorozawa.saitama.jp/
 そして、今の職場です。
 組織マニフェスト
 計画・施策
 統計情報
 財政
 地味にこんなところにいます。

2020年4月14日火曜日

山崎聡一郎『こども六法』弘文堂、2019年。

・2019年のベストセラー。2020年4月においても、書店では人気ランキングに入っている。六法(本書では、日本国憲法、刑法、刑事訴訟法、少年法、民法、民事訴訟法+いじめ防止対策推進法)の条文の意味を、平易な言葉で紹介する。
・著者の経験を基に、「法律はみんなを守るためにある」(オビ)という立場で各条文を紹介している。意味を取り上げて平易な表現にすると、法律はこんなに読みやすいのだとわかる。おそらく、条文になれた人にとっては、私と同じくらいの労力で生の条文を読み解けるのだろうが、六法に触れる機会のない私にとっては、大変参考になる一冊であった。
・法律では、いわゆる「普通」に生活するためのルールが定められている。しかしながら、普段それを意識しないために、知らぬまにルールを破ってしまっているような時もある。また、ルール違反を目の当たりにすることもある。知ると知らないのと、それを理解しているかしていないかによって、自分の行動が変わってくるということがある。
・他の法律でも取り組んでほしいものであるし、本書で紹介されている六法についても、必要に応じて生の条文に当たらなければいけないことが出てくるかもしれない。そんなときのガイドになる一冊といえる。複数の法律を並べて理解しやすいというのも、本書の特徴といえる。

■引用
195 いじめ問題も含め、そういった問題を深刻化させるのはしばしば大人たちの「見て見ぬふり」なのです。

2020年4月4日土曜日

宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』新潮社、2019年。

・医療少年院の勤務歴のある著者が、問題行動と言われる反社会的行動の背景には認知機能の低下があると仮定し、その改善・行動抑制のための訓練として「コグトレ」を提案する新書。
・「反省以前の子ども」がいることと、その背景・内容を、知的障害者の特性と重ねて整理する。そしてCBT(認知行動療法)の限界を指摘し、認知トレーニングの有用性を提案する。
・(少年)刑務所の実態には驚くばかり。仕事上、そういう対象者と接することはある。しかしながら、受刑者のエピソードはどれも、人間の持っているエゴや感情の延長線上にあるもののようにも読み取れる。本書でそのことを確認できた。
・知的障害者の世界の見え方、表現・行動の特徴を、認知機能や身体機能の低さから説明する。今まで「知的障害者は、理解するのが遅いんです」などと表現してきたが、そこに厚みを与える貴重な事例が数多く紹介されている。
・ひょっとしたら、学問的には非行少年と知的障害の特徴を重ねることには、因果関係の逆接があるのかもしれない。しかしながら、今まで現場の実感として漠然と感じていたことに、一つの仮説が示されたことは、現場職員の大きな支えになると思う。
・本書の特徴は、上記事例紹介に加え、改善提案として著者がとりまとめている「コグトレ」を改善提案として、その効果や可能性を紹介しているところにある。現場にいる人間にとって貴重な手がかりといえる。

以下引用
6(病院の限界)病院は世間では最後の砦のように思われていますが、実は発達障害や知的障害をもち様々な問題行動を繰り返す少年に対しては、結局は投薬治療といった対症療法しかなく、根本的に治すことは困難なのです。
9(テーマ)彼ら(矯正施設にいる少年)にどんな特徴があるのか、どうすれば更正させることができるのか、そして同じような非行少年を作らないためにどうしていけばいいのか。少年院勤務で得た知見を踏まえ、本書で私の提案を述べていきたいと思います。
19(Rey複雑図形模写)”世の中のこと全てが歪んで見えている可能性がある”(中略)見る力がこれだけ弱いとおそらく聞く力もかなり弱くて、我々大人の言うことが殆ど聞き取れないか、聞き取れても歪んで聞こえている可能性があるのです。
22(実態)更生のためには、自分のやった非行としっかりと向き合うこと、被害者のことも考えて内省すること、自己洞察などが必要ですが、そもそもその力がないのです。つまり、「反省以前の問題」なのです。
39(反省できない。Q 自分はどんな人間?A「やさしい」)少年院に来てみてどう感じているかと尋ねてみても、ニコニコして、「まあまあ」「楽しい」と答え、そもそも自分が置かれている立場が理解できていないのです。(中略)40彼らは感情を表す言葉として「イライラ」しか知らないのでした。(中略)(非行少年の内)約8割の少年が「自分はやさしい人間だ」と答えたことでした。どんなにひどい犯罪を行った少年たちでも同様でした。
43(トレーニングの目的)”人を殺したい気持ち”を消し去ることは、そう簡単ではないと感じます。(中略)44そういった気持ちにブレーキをかけるトレーニング
47(非行少年の特徴5+1)
・認知機能の弱さ 見たり聞いたり想像する力が弱い
・感情統制の弱さ 感情をコントロールするのが苦手。すぐにキレる
・融通の利かなさ 何でも思いつきでやってしまう。予想外のことに弱い
・不適切な自己評価 自分の問題点が分からない。自信があり過ぎる、なさ過ぎる
・対人スキルの乏しさ 人とのコミュニケーションが苦手
+1身体的不器用さ 力加減ができない、身体の使い方が不器用
98(気付かれない子どもの障害)
1次障害:障害自体によるもの
2次障害:周囲から障害を理解されず、学校などで適切な支援が受けられなかったことによるもの
3次障害:非行化して矯正施設に入ってもさらに理解されず、厳しい指導を受け一層悪化する
4次障害:社会に出てからもさらに理解されず、偏見もあり、仕事が続かず再非行に繋がる
110(「軽度」が生み出す誤解と虐待)違いが出るのは、何か困ったことが生じた場合なのです。(中略)柔軟に対応するということが苦手なのです。111軽度であれば健常人と見分けがつきにくく、当然放っておかれることが増えます。軽度といった言葉から支援もあまり必要でないと誤解され、また本人も普通を装い、支援を拒否したりするため、支援を受ける機会を逃してしまいます。113もし虐待してしまう親に知的ハンディがあったならば、虐待を防止するためには、親子再統合に向けた心理・社会的支援に加え、親の生物学的視点、つまり能力面にも焦点を当てた支援が必要になってくるのではないでしょうか。
114(保護すべき人は?)障害者は傷つきやすい存在です。成功体験が少ないため自信ももちにくいのです。
139(CBTの限界)認知行動療法は、考え方を変えることによって不適切な行動を適切な行動に変えていく方法ですが、“考え方”を変える以上、ある程度の「考える力」があることが当然の前提になっています。そこには聞く力、言語を理解する力、見る力、想像する力、判断する力が必要なのです。これらの力がまさに認知機能と呼ばれるものです。逆に言えば、対象者の認知機能に何かしらの問題があれば、トレーニングを受けていても何をやっているのか理解できない、判断できない、といった状況が生じてしまい、その効果はわからなくなってくるのです。
149(「自己への気づき」「自己評価の向上」)行動変容には、まず悪いことをしてしまう現実の自分に気づくこと、そして自己洞察や葛藤をもつことが必要です。適切な自己評価ができるからこそ“悪いことをする自分”に気づき、“また悪いことをやってしまった。もっといい人になりたい”などといった自己洞察・自己内省が行えるのです。そして、理想と現実の間で揺れ動きながらも、自分の中に「正しい規範」を作り、それを参照しながら“今度から頑張ろう”と努力し、理想の自分に近づいていくのです。152自分が変わるための動機づけには、自分に注意を向け、見つめ直すことが必要です。(中略)少年たちが変わろうと思ったきっかけに共通しているのも、これまで社会で失敗し続けて自信をなくしてきた彼らが、集団生活の様々な人との関係性の中で、“自己への気づきがあること”そして様々な体験や教育を受ける中で、“自己評価が向上すること”の二つなのです。
160(コグトレ)ワーキングメモリを含む認知機能向上への支援として有効な、「コグトレ(認知機能強化トレーニング)」