2010年3月27日土曜日

石井孝治『労働法のキモが2時間でわかる本』日本実業出版社、2007年初版(2009年改訂)。

現役の人事・退職金コンサルタントによる、労働法の解説書。
物語仕立てで読みやすいにも関わらず、法的な解釈など本格的な内容となっており、非常にわかりやすい一冊。
内容としては、募集・採用、契約、労働時間、管理職、休暇、賃金、就業規則、解雇など。
「働く人」全般にとって、知っておいた方がいい内容を網羅している。
 
Iyokiyehaの事業主支援重点計画基礎固めのとりかかりに読んだ本です。
「2時間でわかる」等のテーマ本は、その大体が2時間ではわからないのだけれども、これは大体2時間でポイントはつかめると思います。
「職業」を仕事にしているIyokiyehaですが、断片的に「人を雇う」ことは目にしていても、実際に人を雇う企業としては、どういうポイントがあるのだろうと思い、手にした一冊。
実は2年くらい前から、Amazonの買い物リストに入っていた本でした。
今更、という感じもしますが、既知の知識から、少し広がりを持った知識を持つことによって、応用もきくようになると思っています。
法律に基づく内容になっているため、実際の相談現場でも結構使える内容になっています。
「働く」人全般におすすめの一冊です。
 
おすすめ度:★★★★★

雑記(3月下旬)100327

3/27
風邪をひいたと思い、通院。
職場では「百日咳」なるものに罹った職員がいるため、ちょっと怖かったのだが、結果は、軽い風邪と(花粉症などの)アレルギーの疑い。
よかったです。
 
アレルギーの検査のために、苦手な血液採取をする。
Iyokiyehaは、この血液採取が本当に嫌いなので、看護師さんを質問攻めにしてみる。
しっかし、最近の看護師さんって、いろいろ説明してくださるのね。
薬局の薬剤師さんも。
すごくわかりやすい。
 
 
3/26
支援中の事業所にて、聴覚障害に関する勉強会を実施する。
部署、とかチームに対する、こういった小規模な出張勉強会を、OFF-JT事業主支援としてパッケージ化できたらいいなぁと思う。
必ずニーズはあるだろうし、実績を積んで、資料を整備することによって、迅速かつ良質な内容を提供できると思う。
センター来所型のOFF-JTとは違って、より個別対応で、本音を引き出しやすいことが、特徴となる。
マスの講習会は、スクリーニングとして位置づければ、両方の棲み分けも明確になり、適応指導とはそもそもの位置づけが異なる。
さらに、自らケースを持つことによって、わけのわからんことを言う人たちへも、クリアな返し技がかけられる。
JC支援との違いは、「今、ここ」か「俯瞰」かの違いになる。
スキルの高い職場適応援助の現場においては、この点が瞬時に切り替わるわけだが、支援の質を底上げするためには、こうした分類も必要だろう。
 
軍曹は強くなきゃいけないのです(笑)。
 
前線指揮官は、少なくとも一対一の場面で力を発揮できないと話にならん。
その意味で、これまでとは違ったところの力を模索しようとしています。
興味のある方、情報交換しながら、一緒にやりましょう。
 
 
3/25
HIV者雇用に関する講習会に同席。
まだまだ偏見は根深いと思う反面で、以前も書いたように、医療技術の進歩によって「死なない病気」になりつつあることもあらためて知ることができた。
知らないがゆえに、ちょっとした一言が相手を傷つけてしまう。
知らないがゆえに、拒絶反応を示してしまう。
知らないことの積み重ねが、雰囲気としてその場を支配する無言のメッセージとなる。
 
大切なのは、知ることと、知った上で無関心でいること。
 
人付き合いの極意がこれには含まれているように思います。


3/24
職場の送別会。
娘が風邪ひいているのと、自分の体調不良でイマイチ。残念。

3/23
職場で一緒に仕事をする職員さんと、コーヒーを飲みながら考えたこと。
・Iyokiyeha自身も、先輩に育ててもらった。私を含めた職員の質を高めるには、業務の中と外(OJT、Off-JT)の双方が必要だということ。
・「やってほしい」業務の現場に、柔軟に職員を同行させることのできるコンセンサスを得ること。
・根拠は「OJT」。
・業務全体としては、計上される数値が物語るような仕組みとして、業務運営計画その他と連動させる。
・事業主支援に「OJT、Off-JT」の視点を(対象は事業所担当者)
今日は、職員の力量形成がメイン。
事業主を対象としたサービスに関する続きは後日。

3/20
何かというと、職業教育=「夢」という言葉でまとめられてしまう。
そこだけ切り取ると、Iyokiyehaなんかは夢に敗れた組の人間になるのだけれども、それが「失敗」かというと、全く違う。
その時々で、置かれた立場に自信を持って、今いるところは間違いじゃないと思い込んで、邁進することだって立派な人生だと思う。

就職だけを強調して、夢を語ることに違和感がある。


3/19
転勤する元上司と一献。
まぁ、また中枢に戻ってくる人だから、あんまり実感もないのだけど、ありがとうございました。

カミさんから怒りのメールは届くけれど、さておき。
どっちが大事とかいう、くだらない二択じゃなく、どちらも大切にしたいと思っていても、どちらかを選ばなきゃいけないジレンマ。おそらく、一生付きまとうジレンマなのだろう。カミさんには、素直にごめんなさい。

しかし、会社員にこういう気遣いが必要かどうかは、その時々の置かれた立場によって少し違うかなとも思う。
まして、仕事人としての立場と、その妻という立場とでは、優先順位が違って当然とも思う。
お互いの理解と寛容さが必要だね。


3/16
自分が今のポジションでやるべきことが定まった感じがして、仕事にもクリアなビジョンが見えてきた。
人をたらす先は、事業所の担当者。
もちろん私の立場なら、対象者との関係構築は前提だから、力を注ぐ先はもう一つの支援対象となる事業所になる。
ちゃんと「わかってもらった感」を味わってもらわないと。

ケースバイケースだし、関わりの形も様々だけれども、一つ一つの支援をきちんと運営していこう。

聖書の「隣人」は、血縁と同宗教、らしい。
日本語で考えるだけだと、一側面どころか、全く意味が違うことになってしまう。

2010年3月15日月曜日

速報。

ご存知の方はご存知かと思われますが、本日、精神保健福祉士(PSW)国家試験の合格発表日でした。
Webで見る限り、


合格


です。
いろいろ質問や相談に乗っていただいた方、ありがとうございました。

とりいそぎ、ご報告まで。

2010年 JC-NET会議 3/14

http://www.jc-net.jp/
(Web:JC-NET)

よくも悪くも刺激的な集まり、二日目。
私の所属する機関への批判的な意見や、説明の甘さなども見え隠れしたこともあって、来年以降のこの会議への関わり方も、少し考えなければならない。
毎回そうなんだけど、来年度の目標ができました。
・事業所担当者との相談が自信を持ってできて、その内容に基づく調整や助言ができるようになる。
・他機関とのペアでの支援を円滑にできるようコーディネート役にもなれるようになる。
・カウンセラーの業務の可視化と、そのアピールがクリアにできるようになる。
・単一の雇用支援プロセスではなく、肝を押さえて、いくつかのパッケージに流れを整理する。

○実践発表分科会1 「現場からの実践報告1」
(1)山梨県の障害者就労施策について 福本康之氏
(2)すみよし障がい者就業・生活支援センターの取り組み 森屋直樹氏
Iyokiyehaの前任地、山梨県における障がい者就労支援に関する動向をまとめた内容です。
もちろん、渦中にいた頃には、Iyokiyehaも所属機関内外で発言をしていたところもあったのですが、その中で、現在も手探り状態で前進を続けている二人の中心人物からの報告です。
実際に、いろんなことを言われる方もいたけれど、「想いがしくみをつくる」ことの一つの貴重な事例だと思います。
たまたまその「想い」を持った方が、行政職員だったというだけで、逆に行政職員だからこそ、周囲とのコンセンサスを得るのに、多大な苦労をされているのだと感じました。
そして、そのしくみを必死になって切り盛りする、就業・生活支援センターの施設長のスピーチも、現場での奮闘の様子が垣間見えたように思います。
がんばってますよ、山梨県。
興味のある方は、ぜひWebサイトもごらんください。
http://www.hatarakikai.net/
(Web:はたらき甲斐net)

○ワークショップ「ジョブコーチのスピリットが地域を変える」 小松邦明氏(コーディネート)
座談会(インタビュー)形式で、ある取り組みのキーパーソンを深く掘り下げる取り組み。内容もさることながら、方法が面白すぎた。
JC-NETでは、就労支援の実践者や企業担当者など、障がい者の就労支援に携わる方の熱い想いや行動の原動力となる根源的なものを「スピリット」と表現します。
各地で活躍されている実践者の「スピリット」の原点は何なのか。
小松氏が、インタビュー形式で掘り下げて、自ら「スピリット」を言語化していく過程が、とても興味深く、こういう話はじっくりと聴く機会を作らなければいけないと思った。
JC-NETのワークショップには、こういうものもあるから好きだなぁ。フリップの内容(今、一番大切にしているもの)も、導入の部分だけだったし・・・

気になるやりとりの抜粋は、以下の通り。
(まとめの部分)
・正しいと思ったことは、粘り強く続ける。
-こだわりを強く持つ
-感性を大切にする=自分を信じること
・ON-OFFを切り替える。
-「ダメだな」と思ったら、忘れずに休んでみる
・すぐに変わらなくても、「マメに」伝え続ける。
-失敗を伝える
-目指すところが何なのか、ということは何度も何度も伝える
(人が集まる場)
・何かを「作る」ための打ち合わせは、その内容よりも「集まる」ことの意味を考える。
・直接やりとりできる場で、声をかけ続けることが大切。
-「伝えるだけ」にも効果はある。積み重ねが大事。
-「また来てね」と「頼りにしてます」
・伝えるべきことは、整理して「現状」と「(対策案の)メリット」を伝える。
-こんなですよ。こうすればこうなりますよ。これだけ得しますよ。
・「ありがとう」といいながら、宣言する(あるときには、グループを線引きする)
(心構え)
・すぐに動く、隙間を埋める。
・何事も、自分の手柄にせず、「おかげさま」。
・あるときは、陰になり、あるときは日向になる(使い分け)
・釘も出すぎりゃ打たれない。

○シンポジウム:ジョブコーチのみらいを考える 司会:小川浩
シンポジスト
□中村淳子、酒井大介、松尾江奈、中谷美由紀
もっと、ジョブコーチの概念や理想についてガンガンやりあうかと思ったのだけれども、意外にも仕組みの話で盛り上がってしまったのが残念でした。
っつーか、誰だよ、質問のネタになっている同業者は?
おそらく現場レベルで、いろんなことがあるのだろうと察するので、身内批判はやめておきますが、少し残念な流れでした。
とはいえ、内容は濃く、いろんなことを考えさせられました。
シンポジウム全体としては、目指すべきジョブコーチの理想として、
・そもそも、「ジョブコーチ」は、就労支援を広げ・深めるためのキーワード(単に肩書きではない)。
・就労支援全体のプロセスを知った上で、専門性(立場や役割によるところを含む)を発揮できる支援者が必要。
・全てを一人で実施できる「スーパージョブコーチ」が理想だが、現実には難しい。
・チームで役割分担する時など、そのつなぎを円滑にする役割(スーパーバイザー)の存在は重要である。
・助成金制度は、上記のマネジメントの部分が対象となっておらず、集中(直接)支援のみが対象となっている。

ただ、こういった場で、小川氏の言う「ジョブコーチ」の真意をどれだけの人がつかめているのかということや、心地よい「相手不在の攻撃」によって雰囲気が容易に広がってしまうことに対する怖さも感じた。
今後の業務で、以下の点については再考する必要がある。

・雇用支援プロセスの複線化。
・職業センター業務を伝えていく必要。
-職業評価をどのタイミングで、どんな方法で行うのか?
現在の多くの理解は、検査と客観的な職業能力把握、ジョブコーチ派遣を依頼するための条件、重度判定、くらいにしか思われておらず、地域センター利用のメリットが広がらない認識に留まっている。
職場に行く前に一般的な職業評価を実施するのか、調整の中で、職場内における職業評価を組み込むべきなのか、といったことについて、再考の上、整理し、実践に結び付けていく必要がある。
また、職業センターの業務として、事業主支援がすっぽり抜け落ちて認識されている。カウンセラーの専門性は全く伝わっていないし、関係機関とペアで狭義の「就労支援」と狭義の「雇用支援」を補完しつつマネジメントしていくことは、必ずしも周知されていない。今はその両方をできる器用な人がなんとかやりくりしているが、今後はこの部分が専門分化していくことも考えられる。

・第2号職場適応援助者
-研修を受講する意味
-研修効果
企業としては、助成金受給のために研修を受けるというよりは、スキルや考え方を身に付けることと、「ジョブコーチの研修を受けていますよ」というステータスが欲しい。併給調整や、助成金請求の煩雑さで、助成金の額が果たして妥当なのかということを、多くの企業は考えている。
障がい者雇用について「本音で話ができる」ことが望まれており、この窓口として2号研修を受講する目的がある(だから、機構研修よりも、民間研修のニーズが高い)。

2010年3月14日日曜日

JC-NET intermission

懇意にしているワーカーさんと、支所管轄のジョブコーチさんとしこたま飲む。
二人とも、熱い(熱すぎる)志を秘めており、非常にいい会合となった。
 
「役割分担」として、何も業務の棲み分けをするという視点ではなくて、就労支援(本人の希望や不安に基づきサポートしていく)を専門にやれる人員と、雇用支援(企業のニーズに基づきサポートをする)を専門にできる専門職とが、手を組んでケースマネジメントできる体制が、今後の「ジョブコーチ(という考え方。注:肩書きではない)」に必要になってくるということで落ち着く。
 
また、障害のある人が企業で働くことで、企業が変わり、その結果地域が変わっていくというビジョンを描きつつ、それぞれの専門性を発揮しなければ「ジョブコーチ」に先はなく、支援者の負担ばかりが増えていくことになりかねない。
 
今、それ(特に雇用支援の視点を強調した関わり)を業務としてできるのは、私が所属する組織しかないんだろうなと。
そのための専門性を構築することが、自分の職制に課せられた使命だと思う。
 

2010年 JC-NET会議 3/13

○キーノート・スピーチ 小川浩
恒例、小川氏の基調講演。
スライドの作り方や、話の仕方、制度改革の論点など、45分なのに内容の濃い講演だった。
個人的に押さえておく点は以下の通り。
・障がい者制度改革の動向。
(民主党障がい者政策プロジェクトチーム:自立支援法の後、どうなるか)
・大切なことは変わらない。ノーマライゼーションの推進、インクルーシブな環境で雇用されること、支援の質の向上。
・就労移行支援事業の動向。
(特に、職業リハビリテーションとの違いをどのように整理するか)
○ワークショップ1-1 企業へのプレゼンテーション
JC-NETの面白いところは、ワークショップに一工夫見られること。
この内容そのものを評価することには、実はそれほど意味が無いように思うのだけれども、スキルの伝達や、共に考える「しかけ」を学ぶ上で、とても参考になった。
今回のテーマは、企業へのプレゼンテーション。
以下の点が印象的だった。
■企業担当者の視点
・訪問者(ジョブコーチ)と、継続して付き合うメリットがあるかどうか、が、評価の基準になる。
・障害イメージ(MR、MD、CODY、PDDなど、見えない障害は特に)をいかに説明するかが、テーマになることも。企業担当者が障害イメージを持っているとは限らない
・障害の説明をする場合、マイナス面(ハンデ)ばかりではなく、障害特性として「こういうことはできる、得意」ということを伝えられると安心できる。(映像の活用なども話題に)
・担当者レベルでは、「上司への説得材料」がほしい。
-コスト(助成金:種類と金額の概要を具体的に、正確に伝える)
-リスクヘッジ(雇用のリスクを、いかにサポートできるか:制度的、人的)
-他社の事例(見学の企画も含める)
-メリット(企業によるが、宣伝効果なども含め)
・キラークエスチョンの一つ、「附帯業務は誰がやっていますか?」
・そもそも「なぜ障害者雇用をしなければいけないのか?」という問いがあることも多い。
■ジョブコーチが押さえておくべきこと
・訪問目的の明確化。
・どんな支援ができるのか、担当者がイメージできるようわかりやすく伝える。
・曖昧表現(「いろんな人がいて・・・」「人によって違うので、一概に言えないのですが・・・」など)は、使い方に気をつける。相手がイメージを欲している時には、典型例をはっきり伝えた方がいい。
・対象者の「今」だけではなく、「成長」を含め見ていただけるよう申し入れをする。
・通常の雇用ルートとは違う場合(支援機関とのかかわりが少ない場合など)一般的な雇用ルートと違うことの意味をきちんと説明する。
○ワークショップ2 障害のある人の就労支援の制度を生かすみち
就労支援の関係機関と制度を学ぶ、パネルディスカッション。
制度という「カタい」内容を、「ゆるい」やりとりで説明するもの。
こういうワークショップも悪くない。
ただ、正確に知らなければいけないこと(雇用保険の加入用件や、トライアル雇用期間中の保険加入など)について、地域性があることを含めもやもやしたまま流れてしまったのが、残念。
労働行政を熟知した人を、パネラーに据えるべきかと。
もう一つ、取り組むべき点として、障害者職業センターの役割について、きちんとわかりやすく説明する積み重ねが必要であるということ。
また、今回のパネラーにも積極的になるべきだと思った。
というのも、福祉機関から見た職業センターは「判定(重度)するところ」「検査して、職業能力を評価すること」「ジョブコーチの派遣をする」程度の認識でしかなく、そこには、カウンセラーによる調整機能や、事業主支援の視点は全く含まれていないことが大半である。
こういった説明が、就労支援を目指す機関に垂れ流しになってしまうことによって、利用の目的は曖昧に、そして利用するメリットがが感じられなくなってしまう。
いくら宣伝を打っても、スプレッダーをおさえておかないと、その認識は勝手に全国へ広まってしまう。
今後、ウチの組織が、本気で取り組んでいかなければならないことになっていくと思う。

雑記100314

3/12
まぁ、いろんな調整スタイルがあるんだけど、「◯◯と考えている」ということに「なるほど、そうですね」と言って理解するのは大切なことだと思うんだけど。
そのニーズを引き出すのが、俺らの専門性だと思うんだけどね。現場ではあまり統一した動きになっていない。
某所の同業者に同行したら、何の打ち合わせにもならなかった。
「訪問の目的」は明確にしておくべき。

ジョブコーチとか、職場適応援助ってのは、「職場適応の専門家が職場を訪問する」ことであり、まずはそれ以上でもそれ以下でもない。
制度的には、職場適応の専門家が職場を訪問する、と、そこまでである。
「おたくら何できるの?」に対し、具体例ばかりを並べ立てる必要はなく、2,3の事例をひきながらも、主眼としては、担当者が何を聞きたいのか、どんな不安を持っているのか、ということを引き出さなければならない。
 
ということを考えながら、相談支援を実施すれば、そのまま「調整」になると思うのだけれども。


3/8
「辞めるつもりです」という発言(表現)が、何を意味するのか、を考えさせられる。
いつも感じることだけれども、「何とかしなきゃ」と思った時点で、術中にはまっていることも少なくない。
解釈は常に3つくらい用意できるようにならなきゃいかんと思う。

3/7
感想文扱いはしないけれども、昨日「てんかん」をテーマにした、私の肩書きの人のためのテキストを読んだ。
今までに、重複障害として、てんかんの診断を受けている人は何人も担当してきたが、実際に目の前で相談中に発作を起こした人は始めてだし、職場で全身発作が起きているというのも、これまでに担当したことはないところである。
東京近郊って、これでも就労が継続しているというところが不思議である。
発作について、直接治療には当たれない立場で、職業カウンセラーとして何をすべきかということのヒントになった。

2010年3月7日日曜日

雑記100307

3/3
「中立の立場」とか、説明の時にさらりと言ってしまいがちなんだけど、果して本当に中立な立場って、自分の仕事にありえるのかと、ふと思う。
共生社会の実現という組織の目的があって、その実現のために障害者の雇用促進の事業として職場適応援助があるというところに立てば、「障害のある方の味方」でないことはわかりそうだが、「事業主の味方」でないとは言いきれないのではないのかなと。
いずれかを被害者扱いして、「守ろう」と思ったら、既にのまれている。
安易な言葉に頼らず、真意を掴みたい。


3/2
プロフェッショナル仕事の流儀を観る。
山岳警備隊山田智敏氏の活躍を描く。

まがりなりにも学生時代に登山をやっていた身としては、文句なしに抜群に格好いい。
すごい仕事でかつ過酷な仕事だと思う。

印象的だったのは、救助という仕事を遂行する上で、知恵を振り絞り、どこまでも柔軟なこと。
そして、自然への畏敬の念が、全体を貫いていること。

おかげさま、おかげさま、と呪文のように言っている姿が、何とも言いがたい、素の人間がそのまま表現されているように思えた。

2010年3月1日月曜日

神田昌典『全脳思考 -結果と行動を生み出す1枚のチャート-』ダイヤモンド社、2009年。

経営コンサルタントとしての活動の傍ら、ビジネス書や小説、翻訳書の執筆他、多彩な活動をされている著者が、この10年間の区切りとして執筆したという渾身の書。
半年くらい前に書店に平積みになっていた分厚い本です。

読み応えもある本なのだけれども、表現が多彩で事例も多く、非常に読みやすい。
実用的な内容も、洗練されると、そこには美しさがにじみ出るかのような、流れるような書き口が理解を促進する。
ビジネスマン、ひいては社会人として必要不可欠な「論理的思考」を、いかに効率よく、いかに真意を射たものとしていくのか。
束縛から抜け出したところで活用する「イメージ」を使う方法や、身体感覚を活用した方法、それらを一枚のチャートに落とし込んでいく具体的な作業などが、次々と紹介されていく。
一部を活用することでも、これまでの自分の仕事の仕方を変えるほどのインパクトがある内容だと思う。

とかく、濃い内容が雪崩のように頭の中に流れ込んでくるイメージのあった本だった。
神田氏の著書は、それほどたくさん読んだわけではないのだけれども、この人の膨大な思考と豊富な経験に裏打ちされた論理展開は、急なようでもあり、地道であるようでもあり、この読書は非常に新鮮だった。
Iyokiyehaは、ここ3年程、ロジカルに考えることをとかく優先してきたが、そこで思考の外に「備考」として押し出されているのに、なぜかひっかかるものが残っていることは記憶にある。仕事でもプライベートでも。
それらは、切り捨てようとしても捨てられないだけの「何か」があったわけだが、それを主戦場にあげるための、そのヒントとなる内容にあふれている一冊だった。
この本で紹介されている手法や思考方法が、自分なりに消化して活用できるようになった時、今までよりもより高次で効率のいい仕事ができるようになっているのだと思える一冊だった。


おすすめ度:★★★★★(たぶん、読んだ人全てに得るものがあると思います)

自分の立場をわきまえる。

クライアントの話を受けて、その内容に寄り添いながらも、必要なことはきちんと伝える。
こういったやりとりができること、それがすなわち「専門家」と呼ばれるゆえんなのだろう。

発達障がいを持つ方の援助計画を、それまでの歴史をいわば無視した形で立てようとしたことについては、その内容が果たして対象の方にとって本当に効果的だったのか、ということまで遡って考えさせられた。

視覚障がいを持つ方(弱視)のカウンセリングにおいて、その方の「見えなくなることへの不安や恐怖」というものを、論理的には把握していたつもりだけれども、相談の質問や職場適応援助には十分に反映されていなかったことに気づかされた。

いずれも、見えないものやことを、いかに当事者に寄り添って正確に把握しようとするかということにかかってくる。
想像力で「行間を埋めること」が大切にはなるのだけれども、専門家という立場を利用して漫然と考えるのではなく、あるかどうかわからない、また言葉という「記号」を使って意識化できるかできないかわからないものを、いかにして相談場面のテーマに設定するか。そして、発現を束ねて少しずつ概念形成してフィードバックするスキルというのは、カウンセラーという仕事をする上では、必要不可欠な内容であると思われる。

ここ数日、しでかしたヘマや、スキルの高いカウンセラーの相談場面に同席する機会があり、よく考えさせられた。