2009年8月31日月曜日

森岡正博『最後の恋は草食系男子が持ってくる』マガジンハウス、2009年。

このブログでも「生命学」でおなじみ、森岡氏による「草食系男子」論。
前著『草食系男子の恋愛学』では、いわゆる「草食系」と呼ばれる男性が近年注目されているということを論じていた。
http://iyokiyeha.blogspot.com/2008/08/2008_12.html
(2008年8月12日投稿分)

販促の帯には「優しくて誠実、浮気はしない。結婚するなら草食系男子!」などと書かれているが、いわゆる「ガツガツしない」男性に関して、インタビューを交え説明している。
昨年あたりから注目されるようになった「草食系」であるが、その描かれ方は様々で、説明のされ方によってはかなり「頼りない」ような印象が込められてしまっているものも週刊誌などでは時折目にする。
森岡氏は、個人差はあるとして、いわゆる一般的に言われる「男性像」とは異なる「草食系」の男性達の具体的な生活様式や行動傾向、思考の傾向について、事例を丁寧にひきながら説明している。
どちらかといえば、「草食系」の男性とうまく関わっていきたいと思っている女性向けの書籍のように思われる。

読めば読むほど、Iyokiyehaは自分が「草食系」なんだろうなぁと感じる。
別に弁当は作らないし、主導的に関わらないというわけでもないのだが、いわゆる「草食系」の人と接する(特に異性とのかかわり)際の感じ方、考え方は、共感するところが大きい。
よく言われる「男とは」みたいなこと(「据え膳食わぬは・・・」みたいなやつ)には、結構違和感を持っているIyokiyehaとしては、「よく説明してくれた!こんなヤツもいるんだぜ!」といった思いがある。

ここまで共感しなくても、現代を生きる男性をもう少し詳しく理解したいと思っている人には、軽く読める割には学びの大きな書籍だと思う。


おすすめ度:★★★★☆(誰にでもおすすめです)

粛々と月末

一週間のPSWスクーリングを終え、課題レポートもなんとなく仕上げたので、何ヶ月ぶりかのぐうたら休日。

たまには悪くない。

引越し当初から気になっていた、書棚周りを片付け、ようやくモバイル勉強環境が整備できつつあります。無線LANの整備や、書棚の整理、机は食卓を使うことで、ギリギリまで省スペース。隙間時間の活用がますます加速しそうです。

金曜日。

学生時代にお世話になった恩師の一人から着信。

「おー、珍しい」と思いつつ、電話に出ると第一声、

Iyokiyeha君、19時に新橋に集合ということになったから」

2年半前の私の結婚式に参加していただいて以来会っていないのにも関わらず、相変わらずな先生です。

私もこの間、仕事するようになり、結婚して、子どももできたということで、少しだけステージが違う話ができたかなと。

Iyokiyeha君も出馬せんとな」

くらいのことを言われ、冗談と思っていたので茶化しました。

某市議が国政へと行ったら、ということなんでしょうが、なかなか面白かったです。

全く可能性ゼロということにはせずに、私自身の周りにそういう風が吹いてきたら、勉強してみてその時考えます。

日曜日。

娘とバカみたいに遊びつつ、選挙速報。

世の中は激震かと思うほどの変化が起きている。

「マスコミが煽りすぎた」と、私の感覚と報道とを一致させて感想を言うことは、あまりに簡単だし、「民主党お手並み拝見」なんて言ってしまうのも、それほど難しくない。

ただ、個人的な感想としては、「どこが政権をとろうが、信念を貫いて政治の仕事をして欲しい」ということだけである。

民主党政権、どうなるのかという楽しみと、これまで政界であまり活躍の場がなかった、優秀な人達の活躍が見られることが楽しみとが同居した感覚を味わっている。

勤務している組織に、自分の知らない「終わり」があるのならば、その日はまた5年くらい縮まったのだろうが、まぁそのあたりはその時にならないとわからないこと。

私がすべきことは、万が一の失業となっても家族を食べさせていくだけの腕と人脈を作っておくことだと、改めて確認する。

柳井正『一勝九敗』新潮文庫、2006年。

ユニクロでご存知、ファーストリテイリングの柳井会長兼CEOが、2003年頃までの同社の沿革を、柳井氏の経営理念とともに語った著書。

前衛的な経営が店舗運営にも反映されているようにも思われる同社の経営、運営方針から、一社会人として学ぶことも多い。

柳井氏とファーストリテイリングのこれまでの経緯全体を読んで感じたことは、「試行錯誤」を徹底してやっていくのであれば、スピード感と何が何でもやってやろうとする執念というか、強い意志が不可欠であるということ。

のんびりと失敗、再検討を繰り返していたら、それこそぬるま湯の蛙のように、いつの間にか煮立っていることに気づかず、事業で言えば沈没-整理という一路をたどることになる。

自らの仕事も同様。可能なところで、如何にスピード感を保つか、意志と情勢を如何に調整させていくのか、ということが、現代を生き残る上で不可欠な要素であるかということを改めて確認できた。

いくつか気になる点(ドッグイヤー的に)は以下の通り。引用含みます。

・試行錯誤の土台は、スピードとがむしゃらさ。とにかくスピードが要求され、常時リストラ(再構築の原意で)、失敗した場合の「即時撤退」が鍵。

・広告宣伝は、0か100かの評価。ほどよい、はありえない。広告を見る人を信頼し、「伝える」のではなく「伝わる」表現方法を、コンセプトを解釈した上で、自由な発想で考える。代理店に丸投げするのではなく、広告主がクリエイターに「伝える」ことを怠ってはいけない。

・「店長でいる」ことが最終目標。店長はスタートでありゴールである。顧客の最前線で店舗を運営する。本部の意向をくんで、逐一本部の指示を仰ぎ、マニュアルをこなすのではなく、現場の意向を本部の方針に反映させるために、優秀な店長が現場にいることが大切。

ユニクロの広告戦略は、最近本当に「上手い」と思うところであるけれど、長年通じて積み重ねられた経験の賜物であることを実感できた。

「伝える」も大切だけれども、「伝わる」ことが最も大切であること。

そして、自分が伝えたとおりに「伝わる」かどうかは、かなり差があること。

広告戦略とはいえ、自らのカウンセリングにおいても、いかに「伝える」かと同時に、どう「伝わる」のかということを意識したやりとりが実は大切なんじゃないか、今までやっていて感じることのあった「違和感」は、ひょっとしたらこういうところ(要は、私が伝えたと思っていて、相手を観察した伝わったと思っていることが、実は相手にしてみたら私の意図とは違うように伝わっていた、という状況)にあるのではないかと、経験を再検討するきっかけになった。

あとは、現場主義。

この感覚だけは、私が今後どんな立場になっても忘れないようにしようと、再確認できた。

「立場上」ということを、感じ、場合によっては言う必要もでてくることがあるかもしれないけれども、現場で何が起こっているのか、最前線では何がトピックなのか、ということをできれば自ら体験するくらいの意欲をもって、現場に対峙していきたいと思った。


おすすめ度:★★★★☆(働いている人におすすめ)

2009年8月26日水曜日

内橋克人『共生の大地 ――新しい経済が始まる』岩波新書(新赤版381)、1995年。

今読んでも、全く色褪せない新書。

こういう本を名著と言うのだろう。

利益を追求してきた高度経済成長期を経て、バブル崩壊、再期をかけて社会のあらゆる人達が奮闘していた時期に、経済的な利益だけではなく、安い言葉かもしれないが、世のため人のため後世のために奮闘していた組織とそれを構成していた人達の記録である。

内橋氏は「多元的経済社会」という言葉を使いつつ、行政、政治主導の地域活動ではなく、企業や企業人の有志、果ては今では特に珍しくないが、市民活動に触れ、そこに多様な価値を見出していく。真の問題解決とは何か、よりよく暮らすとはどういうことかといったことについて、淡々と事例をおいながら考えさせる。

NPOを名乗る、行政の出先機関と化した団体も少なくない昨今、非営利活動とは一体何なのか、その本質や醍醐味、価値を、統計や数的データではない手法で見事にあぶり出している。

出版されてから既に15年くらいになる新書。

実はIyokiyehaの書棚にも学生の頃から並んでいた。

お世話になっていた、ある先生から「これは読んでおけ」と十回以上言われていて、なかなか読破できなかった本でもある。当時は紐解いたのだけれども、その面白さや迫力に気づけず、何度も延期扱いになった記念すべき書籍でもある。

当人がこのブログを見ているかどうかは分かりませんが、一応、報告も兼ねて。

専門書、ではないけれど、書籍としての成果は大きい、インパクトのある読み物だった。

社会人として、公的機関に所属する立場となったから、また違う読み方ができて、一気に読みきれたのかもしれない。

この迫力は、学生にもひよっこ社会人にも、ベテラン社会人にも味わってもらいたいものである。

おすすめ度:★★★★★(誰にでもおすすめ。言葉がわからなくても読み進めることをおすすめします)

2009年8月23日日曜日

富士見といふ田舎

東京在住の方はもちろん、埼玉在住の方もあまりご存知ない富士見市。
東武東上線は鶴瀬駅です。

写真は、自宅近所の大通り。
結構、のどかです。

2009年8月16日日曜日

Og Mandino "THE Twelfth Angel" Fawcett Columbine, NY, 1993. (邦訳:オグ・マンディーノ『十二番目の天使』求龍堂、2001年。

I read this book three times.
First I read in Japanese, when I was student of University.
Second I read in Japanese with my nephew. Kids version.
And third(this time),I read in English.

It's very nice and positive story.
Timothy says "Day by day in every way I'm getting better and better!" and "Never never never never never never give up!".
They are simple word but storng and full of energy in them.
Every time I read, I was impressed.

John was about to kill himself when his wife and son was gone.
At that time, old friend came John's home.
He gave an introduction to little league corch.
John met Timoty Noble at this team.

He is not good player.
He had have no hit(single or double or so) in every game.
But Timothy is very very positive.

I'm moved by this story.
I recommend this book everyone.

2009年8月15日土曜日

婚活と選挙

何だか、「婚活(コンカツ)」がブームである。
山田昌弘氏(中央大学)の、見事なネーミングにより、あらゆるメディアで取り上げられ、ドラマ化までされている。
少子化対策とセットで語られることが多いこの話題、率直に「どうなんだろう?」と思えることも少なくない。

晩婚化の理由には、様々な理由があり、社会的インフラ整備に起因するものも少なくないのは事実である。
例えば、家族を養うだけの収入が20代で得られるか、父親がどれくらい育児に参加できるか、嫁さんを如何に孤立させないか、など、男視点であれ
ばIyokiyehaが語れることもたくさんある。

例えば、婚活においてある女性が求める条件として、
東京在住
適齢期、独身
年収600万円
とか言うらしい。

腹が立つとかいう以前に、滑稽である。

果たして条件に当てはまる男性が何人いるのか?
ある調査では、4%とのこと。
男性としてのIyokiyehaに言わせれば、4%に見合う人なのか?ということである。
自分を変えようとせずに、要求だけを突きつける人が「自分に『合う』」と勝手に思い込んでいる人を漁っているだけにしか見えない。

中国や韓国でも婚活はブームらしい。
どうやら、当人達は「忙しい」ことを理由に、親御さんが講演で子どもの写真を広げて「婚活」しているらしいのだけど。

本末転倒みたいに思える。

我が国では、ブームに乗ろうとしているのか、少子化対策と合わせてこの「婚活」を後押しする動きもあるらしい。
以前から、地方の山間部で、嫁の貰い手のない農家の人との出会いを作ろうと、行政が予算をつけてお見合いパーティーなどをすることがあったらしい。
それと同列で論じられるのか?

何でこんなこと書いたかって言うと、国をあげて「婚活」を促進するかのような動きが垣間見えるからです。
だから、こんな茶番に予算つけようとするなってことです。
どこの政党の政治家とは言わないけど。
色々見えるもんだね、選挙って。
あほらし。

何だかんだ言っても、今はお盆休み真っ盛り。
通勤電車も空いている。
昨日は、初めて東上線で座れました。

「盆と正月は、暇だから勤務するのもいいかも」なんて言われる。
実際勤務してみて感じること。
盆休み→出勤する人が少ない→限られた仕事が回ってくる→結果として普段とあまり変わらない。
こんな感じだろうか。

多分、お盆以外の時の方が、全体としての依頼は多いのだろうが、その限られた依頼を一挙に引き受けざるを得ない状況におかれることで、結局はやろうと思っていたことに全く手がつかない。

来年以降は気をつけよう。
「あんまり変わらないよ」と。

2009年8月8日土曜日

SSTが好き

SSTとは、精神保健福祉の分野の知識のある人にはピンとくるプログラムであるが、Social Skills Training(社会生活技能訓練)の略である。

先日、職場が主催する講習会で、会社で働く人を対象にSSTを紹介するという、面白い試みに立会った。

私と同じ職制の職員が実施するSSTを複数見る機会はなかなかないので、実に興味深い経験だった。

以前は、カタチばかりが強調されるプログラムのように感じていた(そういう説明を受けた)ので、あまり好きじゃなかったのだけれども、自分でやってみて、勉強を重ねてみて、今では結構好きなプログラムである。

セッションを担当するのも好きだし、楽しいし、何より「その人の中に『よい循環』を創る手伝いをする」という、自分の中でプログラムの目的に一本芯を見出せたことが大きい。

事業所の人事担当者がSSTを体験し、SST「から」学べることとして、例えば、

・褒める=いいところを見出す

・パスあり=逃げ道(フォロー)を大切に

・繰り返し練習=トライ&エラーはあたりまえ

・評価-介入-振り返り=PDCAサイクルと連動

など、別に障がいを持つ人との接し方だけでなく、部下を持つ上司として「人を育てる(訓練プログラムだから)」視点が強調されているだけのことだということを、私見として説明した。

指導方法を磨くことも大切だけれども、事業所の人事担当者や、支援者としての我々も含め、このクライアント(障がいを持つ人、事業主双方)の中に「よい循環を創る」視点は、今の業務の質を乗り越えていく一つのきっかけになると思う。

ただ、まぁ、私が意外とSST好きで、テンションが上がったためにその場で思いついた「こぎつけ」の部分が大きいわけだが、結構面白くない?

Front Mission

私の仕事を一言で言えば「職場適応援助」ということになる。

広くは、就労支援とか雇用支援などという言葉が一般的かつ法律用語にもなっているのだけれども、普段の仕事を振り返ってみると、職場で(対象となる人と職場)の適応を援助する、という方がしっくりとくる。

山梨勤務の最後の半年から、今の東京勤務で「ジョブコーチ事業」の担当として、ジョブコーチを派遣して実施する援助活動を担当しているわけだが、この仕事をしていると、本当に「最前線」で指揮をとる自分がいることを意識させられる。

最近の軍隊の様子はよく知らないのだが、ちょっと前の戦争映画だと「軍曹」に当たる指揮官だろうか。

一般兵を数人率いて、戦線の最前線で泥にまみれながら任務を遂行する。

なんか、東京での仕事は、見た目こそスタイリッシュに見えても、内実はこんな最前線活動のような気がするこの頃である。

会うたびに言うことがコロコロ変わる事業所の担当者と話をしてきたジョブコーチが、「Iyokiyehaさんの悪口というか、不満を言っていましたよ」なんて、うろたえて報告してきても、最近はうろたえることなく、「何て言ってたんですか?」と冷静に。

仕事を辞めたいだとか、無断欠勤とか、事業所の担当者への不満など、起こることを挙げていったらキリがない。

だからといって、感情を殺しているのではなく、あくまで冷静に。

腹の中は「何だこのやろう!」と熱くなっていても、頭は常にクールに。

何事でも最前線では、原則から外れることだって起こりうる。

状況に応じて、時には「ありえない」ことだってやらざるを得ないこともある。

そんな時に、クールでいなければならないのは、「ありえない」中でも「まずい」ことには手を出さず、出させないよう、行動と指揮を調整する必要があると思うから。

最近は、とにかく変数が多い仕事が多いので、できるだけクールに分析してその場その場の判断の精度を上げようとしているのだけれども、時に「Iyokiyehaさんの言うことは、前と違う」などと詰め寄られることもあり、なぜか内側の人間に向かって「なんだこのやろう!」と腹の中が煮えたぎることもあり、無益。

おそらく、Iyokiyehaが理想としている前線指揮官のイメージは、ものすごくストレスフルな方法で、かつ共有されていない人とは、決して相容れることがない、見る人によっては「考え方がコロコロ変わる」と思われることなんだろうと思う。

だから、所内でも語らないといけないし、グサリと突き刺さる言葉もぐっと飲み込んで指示を出す必要もあるのだろう。

「誰のために、何のために」やっている仕事なのかということを忘れたらいけないと、切に思う。

マルコム・グラッドウェル著、勝間和代訳『天才! 成功する人々の法則』講談社、2009年。

久々に、がっつりと読み応えのある、面白い本だった。

いわゆる「成功者」の成功の秘訣を、その人の能力だけでなく、その人がおかれた生活環境や、文化などの影響に注目し、豊富な事例をもって説明している。

書籍紹介などで、引き合いに出されるのは、アイスホッケーのプロ選手に1~3月生まれが多いこと。

幼い頃の一年の差は大きく、「少しだけ」優位に立った子どもが、いいポジションやレギュラーを勝ち取っていく。

その結果、スキルを磨く機会にも恵まれることになり、結果としてプロ選手への道もひらけてくる。

グラッドウェルは、こうした「機会」に注目することと、「10000時間の法則」としての、努力や取組みの重要性を合わせて主張している。

面白いのは、いわゆる「天才」と呼ばれる人たちを、「生まれつきの才能を持った、特殊な存在」として「のみ」扱うのではなく、その育った背景やブレイクスルーの機会、努力の時間など、論述可能な「見えるカタチ」で記述している点である。

一方で、IQ180の能力を持つ人の非成功例をあげ、人と関わることによって生まれる機会や、人と関わることによってのみ磨かれる力などについても言及している。

久々に読み応えのある本だが、論文とは少し違う色合いだったのも事実。

おそらく、統計手法やデータにはつっこみどころもあるのだろう(私は専門家でないので、特に気にはならないが)。

しかし、細部をつつきながら読むよりも、もっと大胆に、「天才」と一言で言ったときのラベルのパラダイムを転換する意味でも、努力の方法や成果をふりかえるためにも、参考となる一冊だと思う。

おすすめ度:★★★★★(どんな人にもおすすめです)

2009年8月5日水曜日

東京の仕事

東京勤務となり4ヶ月。
今までの勤務地とは、質も規模も違うことを、嫌でも思い知らされる。
誰もが聞いたことのある名だたる企業の、ちょっとした裏側が見えるのも
面白い。

今、やっている業務上の仕事は、これまでの職場なら上席や主任に引き継
ぐような内容ほとんどだけれど、難易度こそ高まっていても、別に特別な
ものじゃないんだなと感じるところもある。

ニーズを把握して、その職場と人にあったサービスを「創る」。
この一点においては、優劣も難易度もなく、ただ質が求められる。〆切が
あったり、国や自治体の縛りが多いのも実感しているが、やはり業務に求
められることは変わらない。

大手小売業の専門用語やユニフォームの違いを教えてもらったり、駅の
ホームの下に降りたり、人材派遣業の実態を知るなど、好奇心が満たされ
るのは
、この仕事の役得かも。
その分、求められるスキルは明確で、多くは高度なんだけどね。

2009年8月4日火曜日

盆はウェルカム東京へ

会社に、本上まなみが来たらしい。
会議中につきお目にかかれなかったのですが。

それはさておき、今年の8月は帰省しません。関係者の方々、ごめ
んなさい。
代わりという訳ではないのですが、盆も上野で勤務してます。
東京へお越しの方、東京経由で時間に余裕のある方は、是非連絡くださ
い。
可能な限り、調整させていただきます。
ディープな上野に惹かれる方、是非。

木村秋則『リンゴが教えてくれたこと』日本経済新聞出版社、2009年。

NHKプロフェッショナル仕事の流儀に出演してから、更に注目されるようになった「木村さんのリンゴ」の木村氏による単著。
先日紹介した『奇跡のリンゴ』は取材を重ねて書かれたものだが、今回紹介するのは、木村氏自身の著書。
http://iyokiyeha.blogspot.com/2009/06/2008.html
(2009年6月7日投稿分)

木ばかり見ていては、リンゴの本質はつかめない。
土を作ることによって、初めてリンゴ「が」実をつけてくれる。
リンゴを「育てる」のではなく、リンゴが「育つ」のを手伝うのがリンゴ農家の本質であると、木村氏は語る。

不思議な体験についても語られている。
リンゴの木が実をつけなくなり、お金もなくなってしまい、肥料も薬も買えなくなる。
木が今にも枯れそうになった時に、木村氏は自分の思いを一本一本のリンゴの木に語りかける。
「申し訳ない。枯れないでくれ」
不思議なもので、その時に声をかけなかった(隣の畑に隣接する列の木)木は枯れてしまったのだという。

自然農法に関しても、収入は少なくなっても経費が抑えられることによって、全体の収支は安定するものとしている。
木村氏の、農家に対する、自然に対する姿勢が、様々なエピソードから引き出されている。
率直な、飾り気のない著書といえる。

こうした、いくつかのエピソードから「ずっと見ていること」が大事であるとする。
「自然はものを言わないから、こっちがそれをとらえる感性を磨いていかないと」(154ページ)
としているが、このことは自然でなくとも、社会で人が生きていく上でもとても大切な心構えだと思う。
KYがどうとか言われる世の中にあって、周囲の雰囲気を察することが人間関係を構築する上でことさら重要視されるところであるが、そんな表面的スキルだけではなく、もっと深くて基本的な、人と接する人が持つべき「心構え」だと思う。
良く見る、全体を見る。
常に、自らに問い質すべき姿勢だと思う。


おすすめ度:★★★★★