2011年10月19日水曜日

久保憂希也『すべての日本人のための日本一やさしくて使える税金の本』ディスカヴァー21、2011。

国税庁を経て経営全般に関するコンサルティング会社を設立した著者による、税金の入門書。身近な消費税の本当の意味や所得税の仕組み、年末調整や確定申告はなぜ行うのか、といったことについて物語風にまとめられており、非常に読みやすい内容となっている。

自分がどのくらい税金を払っているのか、ということについて、実はよく知らないというのが読んでみるきっかけになりました。多分知らない税金払っているし、そもそもそんな中途半端な知識だから、報道で税金の増減に関するものを見ても自分の意見は無根拠になってしまう感覚から、もう少し勉強しないと、と思った次第です。

諸外国と比較して日本の税金は安いのか高いのか。そもそも税制の決定はどのようになされるのか。所得への課税と消費への課税とではどんな特徴があり、税制改革の論点はどのように整理されるのか。税金を通して考える「公平」の概念等、税金を知ることにより政策を読み解き、一人の日本人として正しい選択をするための基盤となる知識について簡潔にまとめられています。
所得税ならば、サラリーマンの経費として認められている「103万円」の給与所得控除であるとか、基礎控除の38万円など、課税所得を産出する計算式についても詳細に触れています。パート労働者の「130万円」の壁は社会保険の扶養に入るかどうかの線であるなど、関連する周辺部分に関しても生活に根ざした説明がされています。
消費税ならば、納税義務者は消費者ではなく事業者であるという大前提から、その算出方法、増税論議の中で取り上げられる「逆進性の問題」の内容など、具体例をあげながら紹介しています。

本当は中学校の社会科でやる内容なんだよなぁ、と思いつつ、でもほとんど覚えていないし、なるほど納得してしまう自分に少し情けなさを感じながらですが、面白く勉強させてもらいました。

緊急フォーラム パパが発信する“子どもの被ばく問題”

緊急フォーラム
パパが発信する“子どもの被ばく問題”
~パパ・ママ・家族は放射能とどう向き合えばいいのか?~
http://www.fathering.jp/activity/04.html

2011/10/11に参加してきました。
レポートもそろそろアップされるかと思いますが、内容をTwitter風にご紹介。

○開会挨拶
安藤氏
・放射能問題は母親視点で語られがち
・子育てに参加する父親から発信することを目的に開催するフォーラム

○基調講演1
瀬川氏
・高木学校:高木仁三郎の意志を継ぐ取り組みを展開
・その根底にあるのは、科学技術は本来一般市民がわかるものであるはずという「当たり前」のこと
・科学を市民の目で見る、「科学を市民が取り戻す」ための活動をしている
・本来そうあるべき、当たり前のものが、そうなっていない現状。
・原子力発電の問題は、
1大きすぎる熱量
2核分裂が止まっても熱を発し続ける
3放射性物質
・全部合わせると、原爆の10,000倍くらいの熱量になる
・見えない放射性物質が最も大きな問題
・200キロ以上はなれた首都圏でも確認される
・放射能をもった放射性物質がある/でる
・光源と光の関係=放射性物質と放射線
・光は人の表面で反射するが、放射線は通り抜ける
・放射性物質の量=ベクレル
・浴びる量=シーベルト
・100ミリシーベルト以下が基準
・250ミリシーベルト以上で急性症状が現れることもある(福島原発の作業者)。
・怖いのは急性症状だけでなく、晩発生障害(何年も後に症状があらわれる)
・CT検査で10ミリシーベルト
・放射線を浴びても痛くも熱くもないのに、なぜ内部被爆が起こるのか?
・人間の細胞は約60兆個
・細胞の核に含まれるDNAには初めの受精卵から受け継いでいる遺伝情報が含まれる。
・DNAは基本的にコピーされる。よって、60兆個ともDNAは同じ
・放射線は細胞核を貫き、DNAを切断してしまう。
・急性症状は一気にDNAが切断された状態
・DNAは修復するものの、コピーのエラーが起こってしまう
・放射線量が多ければ多いほど、破戒されるDNA量が増える=エラーが増える
・変異が増えていく、貯まっていく=ガンのメカニズムと同じ
・子どもの場合は、その影響が大きい
・放射線は「量に応じた影響がある。量に応じた対策が必要。どんなに少なくて
も影響は現れる」
・変異は細胞分裂が盛んなほど影響が大きい。
・よって、若ければ若いほど、細胞分裂があ盛んであればあるほど影響が大きい。
・チェルノブイリでは、子どもの高血圧や内分泌系が発生した追跡調査がある。
・原因不明のがん、体調不良が起こっている。
・被爆量を知ることが重要
・シーベルトの年間量は?
量×8760時間
・放射線量の減少は「半減期」を参考に
・1年間1ミリシーベルト以下に抑える
・対策は原発立地等の特別会計から捻出されている??


基調講演2
天笠氏(ジャーナリスト)
・今回ジャーナリズムのひどさが露呈された
・もう一つ残念なのは、忘れてしまうこと
・放射線問題を追い続けてきた。80年代から取り組んでいる。編集していた雑誌はなくなった
が、追い続けている。
・原爆と原発の仕組みは同じ
・核分裂の時に大量の熱と死の灰、中性子が2,3個飛び出す。
・中性子が次の核分裂を誘発する。
・核分裂連鎖反応=1000分の1秒単位の管理が必要
・チェルノブイリはこの(核分裂連鎖反応)コントロールミスによるもの
・よってコンピューター管理が必要で、電気がなければ話にならない
・以前原発で火災が起こったときに、原子炉を止めずに消火活動を行ったことがあった
・日本の原発は経済性を優先する傾向がある(再起動に時間がかかるため、運転停止に至らないことが多い)
・燃料棒2m×2cm径くらい
・燃料棒の中心部は2600度
・さやの融点は1900度(ジルカロイ)。燃料棒の温度に耐えられる物質がない。
・水蒸気により原子炉内の圧力が高まるため、それを抜く(ベント)必要がある。
・蒸発により燃料棒が露出し融解してしまう。溶けて原子炉下部に溜まる。
・ジルカロイが触媒の役割をしてしまい、水を酸素と水素に分けてしまう。
・その影響で水素爆発が起こる
・晩発性放射線障害=しきい値がないとされている
・被爆に応じてリスクは高まる(が、たばこの害と同じで、リスクは個人差があ
る)集団被爆線量という考え方。
・人・シーベルト、という単位
・1万人シーベルト=1万人が1ミリシーベルトを浴びた時のガンの死者数は、
最低値で100人
最高値で4255人 と推定されている
・DNAの中で働いている部分が「遺伝子」
・10ミリシーベルトの場合には、2%前後でガン患者が増加する試算がある
・自然状態でガン発生が2倍になる放射線量=倍加線量
胎児期は20ミリシーベルト
小児期でも200ミリシーベルト
成人期でも500ミリシーベルト
・暫定基準決定の不明瞭さ
食物の暫定基準値を引き上げると、出荷停止量を減らすことができる
・公的補償との兼ね合いか?
・暫定基準値(ヨウ素)の国際基準は100のところ日本では2000。
・輸入食品と食の安全。日本の消費者は、米の2倍もトウモロコシを消費している
・残留農薬、遺伝子組み替え、食品添加物の問題は輸入食品が引き起こしている
・食品添加物に含まれる不純物はチェックされていない
・添加物もカクテル化されている。添加物同士の化学反応は見過ごされている。
発ガン性物質が生成されている可能性あり
・電磁波と電離放射線(携帯電話と送電線など)は遺伝子を傷つけ、修復を阻害
する可能性がある。
・放射線障害は遺伝子を傷つける
・遺伝子が原因で起きる病気は1万種以上あるため、何が起こっているかわからない
・放射線被曝に特有な病気はない(老化のようなもの)


○パネルディスカッション

吉田:埼玉県でも状況がかなり異なる。三郷などはホットスポットとされている。
田嶋(欠席):ビデオメッセージ
6月~8月対策本部長として福島に駐在。心配なのは子どもと妊婦さん。不安
な状況は続いている。それぞれの家庭で納得のいく解決が必要。政府の対策とし
て引っ越せない人には、何らかの経済的補償が必要となる。安心して教育が受け
られるプログラムに関して予算化できたが、これで充分と思っていない。現在
チェルノブイリに出張。
上田:(江戸川区)
・母親からのメッセージ
・働きながら子育てするママ達の応援団
・勝間和代氏の「麦畑」の初期メンバー
・2007年から江戸川区議員
・3/12水素爆発のニュースを受け、子どもの屋外行事中止を申し入れるも、対応
はまちまち。
・江戸川子どもを守る会の立ち上げ、江戸川ママラボの活動
・母親としては「風評被害によるヒステリー」という見られ方に直面するが、学
習会を企画
・中部大学武田教授「こどもたちの未来のために」9/11
・母親としては、行政の温度差、夫の態度が感じられた。
・放射能の話をすると、夫婦喧嘩になる
・夫が自分勝手で妻が精神不安定に、という構図。
・「100ミリシーベルト以下は、政治哲学だ」との行政の姿勢
・父親としてできること、妻に向き合う
・除染とまでいかずとも、放射能問題にできることに取り組むこと
・インターネットがつなぐ新しい絆

安藤:
・福島の原発問題が引き金となり、夫婦仲が悪くなった知り合いもいる
・とんだ二次被害

上田:
・悪いのは旦那でも母親でもなく、東電
・できることは家の掃除
・男性は任務を与えると働く。ガイガーカウンターは顕著
・9/11参加者の男性構成は、現役よりもイクジイ世代

安藤:
・夫婦の温度差を埋めたいという思いもある

岩松:
・食品に含まれる放射性物質の表示がないので、安心して買えない。子どもに食
べさせられない。
・専門家としてではなく、父親としての悩み。
・カロリー表示はあるのに、ベクレル表示はない。なんで?
・選べない
・現在の日本の基準値乳児100は、国際基準の原発排水基準の90より高い。なんで?
・わからないならわからないと言って欲しいよね?
・右肩上がりは「わからないから」という説もある
・持論を語るのはいいけど、「基準はこうですよ」と言ってもらわないと困る。
・何が困るかというと、今日本がそれをやっている。
・基準値が様々な中で、どちらが正しいというつもりはないが、子どもにはより
安全なものを食べさせたい
・「わからないもの」は「わからない」と言ってください。事実がわからないなら。
・ベクレル表示してよという希望
・疑心暗鬼。数字の操作、グラフの操作、図りかた。
・学校、幼稚園、保育園で使う食材は、ベクレル表示のないものは使わないでほ
しい。

安藤:
・男性はデーターに反応するから、わかりやすい

吉田:
・ふつうに生活すると、感受性は弱くなってしまう
・生活者視点を如何に取り込むか

瀬川:
・岩松氏のプレゼンに間違ったところというのはないと思う。
・市民科学者を名乗る必要はないと思う
・市民は専門家と違っていい。自分にとって必要なことを知れればいい

天笠:
・食べ物を扱う団体に知り合いが多い
・自分の取り組みも、そういったところからの情報によるところが多い
・食品検査の依頼が多い。生協や産直など、食べ物にこだわってきた団体には検
査体制が整ってきている
・ただし、基準は難しい
・国の基準は仕方がないというのは共通している
・検査して数値を出す、というのは基本だと思う。
・子ども、子育て世代も大変だが、福島で農業をやっている人が大変。
・その支援になるかわからないが、数値を出すことは必要。
・農家は農業をやりたい。既に米作りは再開している。
・どうしたらいいか悩ましいところはある。

石川:
・FJ会員。福島から北海道に移住。一級建築士。
・事実を突きつけられた気分
・パパはITリテラシーを身につけて家族を守れ
・家を建てた家族の笑顔と、家を手放す家族の涙を見てきた。
・家を作るときには、予算面・金銭面もケアしないといけないという思いから、
6年前から活動を始めた。
・被災地から避難できる人とできない人とで分かれる
・住宅ローン支払い中でも貯蓄は大切ということを伝えてきた
・自分のクライアントはほとんど移住している。
・貯蓄があるから移住できる。
・7ヶ月たってわかってきたこと
・国内の情報はバイアスがかかっている
・リスク軽減は情報収集による
・1日に2時間くらいは情報収集にあてている。
・海外の情報と国内の情報は全く違う
・緊張感を保つために情報収集に時間を割いている
・関東、関西の方は無防備
・関西では、福島産の野菜を入荷するキャンペーンが行われている
・善意が健康被害となって現れる可能性がある
・「福島は安全」キャンペーンが張られている
・本当の情報を見抜くためには、見比べる必要がある
・東電や政府はパニックをおそれて情報隠蔽しているように思っているが、実は
政府や東電も「何が起こっているかわからない」のではないか?
・冷温停止のニュース映像は間違い
・意識的な汚染範囲(Googleより)東北の人は被災地のみ、関東では関東を除く
東日本、関西では関東以東、北海道は北海道を除く関東まで、東電は汚染地域な
し、政府は30キロ以内、海外は日本全部。
・汚染地域は日本全国のように思われる
・汚染や内部被爆に対し、なぜのんびりしているのか、というのが海外メディア
の大半を占めている
・今回の事故を経て、子どもに申し訳ない気持ちがある
・自分は逃げ切れても、子どもの世代にツケを残してしまった。健康被害だけで
なく、解決に向けた手だてを課題として残した。
・アスファルトにのこった放射性物質は、除染作業で高圧洗浄を10回やっても
30%しか減少しなかった

安藤:
・情報が如何に分断されている様子がよくわかる

Q1(フォロワー)
・小出氏の論は年齢別に基準値を定めて欲しいというもの
・年齢別に食べるものを選んでいくということについてどう考えるか

瀬川:
・ベクレルと産地を両方表示してほしいという意見が大半だと思う
・トレーサビリティが前提になるように思う。表示を詳細にして、選ぶのは個々
人の責任で。

天笠:
・年齢別の話題は危ういところがある。老人の施設に汚染食品をまわすという考
え方になりかねない
・単に年齢別に設定するという話にはなりにくい
・加工食品に関して、消費者庁が食品表示を一括する庁としてできた。食品表示
(JASや保健特定など)が一元化されることにより、新しい法律ができるとこ
ろ。加工食品の原料原産地表示が一つトピックになっている。

石川:
・ガレキ処理を分散するという発想は日本的。一カ所に閉じこめるしかない

岩松:
・横浜市は海に捨てようとした。市民がくい止めた経緯がある。耳を傾けること。

上田:
・政治が動かしていくことになってしまう。選挙で変えていくしかない。数です。

天笠:
・原発事故は必ず起きる。小さい事故は頻発している。ハインリッヒの法則。無
理なもの。原発は止めなければいけない。

瀬川:
・汚染地域から汚染物質を動かさないという論調もある。福島から東京に汚染物
質を持ってきて東京の人が避難するのがいいんじゃないか?東京のゴミが福島へ
行っている、東京が電気を使っている。福島の人に移住しろという前に東京の方
がいいんじゃないかと思うけれども、非現実的ですね。

安藤:
・わからないことはわからないという
・自分で判断できるための情報収集が求められる
・こういった中でも子育てをしなければならない
・子どもの笑顔、家族の笑顔のために。

2011年10月10日月曜日

小室叔恵『人生と仕事の段取り術』PHPビジネス新書、2010。

ワークライフバランスでおなじみ、小室氏のWLB入門書。目新しいアイデアが満載というわけではないけれども、具体的にワークライフバランスを考えて行動に移すときの手順や注意点の概要と、その効果が述べられている。
WLBの取り組みは具体的な行動が大切ではあるのだけれども、継続のためには本書で述べられているような哲学が必要になってくるように思います。
単に仕事を減らして楽して面白がる、ということではなくて、限られたパイ(時間)を可能な限り効率化して、アウトプットの質を落とさない、もしくはレバレッジを効かせて今まで以上の成果を生み出す。
こういった考えが根底にあって、はじめてWBLの取り組みは根付くのだと思う。この成果の部分を誰の目にも明らかなように示せるといいのになと思う。
WLBの取り組みに必要なのは、成果を誰の目にも明らかなように示すデータの提示と、働く人一人一人の意識改革(OS更新)になるのだと思う。小室氏の取り組みや、その周辺領域での取り組み(FJ含む)によって、明確なデータが示されることを真に願う。

2011年10月9日日曜日

自分を振り返って思うこと

この一年で、子どもが生まれ、震災が起こり、東京勤務も3年目になった。
埼玉に引っ越してきた頃に背負っていた様々な期待と不安。
今ではとてもシンプルになったように思う。

家族あっての人生、そして職業生活。
もともとネジが緩んでいたような出世欲は、完全にネジが外れてしまったように「どうでもよく」なってきた。
自分のキャリア形成を考えろと、人からは言われ続け、読む本には書いてある。
目指す自分から逆算して物事考えろとシャワーのように浴びせられるが、別にいいじゃないそんなもの。勤め人なんだからと、(自分にとっては)良くも(一般的には、人からみたら)悪くも開き直って重荷を置くことができたように思います。

偶然にも震災の難を逃れ、先日の台風もなんとなくかわし、休日には子守りをしている自分を振り返ると、別に目の前のことに全力で取り組む人生だっていいじゃない、2~3年スパンで物事考えて、積み重なったもので勝負すればいいじゃない、といった考えに至ることができたように思います。

「そんな行き当たりばったりでどうする?」と問われ、当時は本気で悩んだけど、今なら即答です。「別にそれでもいいじゃないですか」。
30過ぎたばかりで不惑に限りなく近づいてしまいました。
それも別に、悪くないんじゃないですか?