2023年3月5日日曜日

映画「ドラえもん のび太と空の理想郷」

 ここ数年、毎年恒例になったドラえもん映画。今年はついに次女と二人になってしまった。まだ一緒に行ってくれるだけありがたいものです。

今年の物語は、新ドラえもん以降の書きおろしっぽいもので、トマス=モアの『ユートピア』(読んでないけど)がモチーフなのか、完全平等、争いのない世界を舞台としたもの。映画のドラえもんは、以前から型があって、登場人物と舞台のイメージがつくとオチまでだいたいわかってしまうのですが、その例に漏れず、出会いあり、スリリングあり、別れありの王道映画でした。娘(少2)も、そろそろ物語の筋が理解できるようになってきたので、観終わって飯を食いながら、「どこがおもしろかった?」みたいな話で盛り上がりました。

で、以下娘には一切言わずに考えたこと。

理想郷を描くことで、現代社会を批判する、というのは何かで時々見聞きするのですが、「理想の世界」って思い描くのは勝手だけど、万が一達成してしまったら、やっぱり人間は堕落するというか、考えない人間になっていくのだろうなと、よいこになったジャイアンを見て思いました。なんとなくイメージだけなら、修士論文で取り上げた無痛文明論とか、21世紀少年とか、ガンジーの思想とか、そういう世界観に通じるものを感じてしまいました。映画はドラえもんだから、友情で乗り越えるんだけど、そうじゃなくて、周囲の「当たり前」に飲み込まれないように立ち続けるのは、現実世界では大きな困難を伴うわけですね。そんな刺激はあったけど、映画は映画として楽しんだってことで、そこまでにしておこうっと。