2007年10月28日日曜日

デボラ・R・ベッカー他著、堀宏隆、他訳、大島巌、他監訳『精神障害をもつ人たちの ワーキングライフ』金剛出版、2004年。(2)34ページまで。

第2章
「援助付き雇用の概念、歴史的・理念的基盤」
従来のリハビリテーション概念とは手法が異なるIPS(Individual Placement and Support)の理論的基盤を説明する。
「(前略)コンシューマー運動、家族の運動、地域での精神保健実現のための革新的アプローチ、精神障害リハビリテーション、意思決定への当事者参加、(中略)新しい薬物治療、援助付き雇用、協同的経験主義の動向から明らかにする」(P.21)

○リカバリー :IPSモデルの根本的な考え方
 1)自分の人生と病気の管理に責任を持つこと
 2)自分自身が満足する意義ある人生を追求し始めること

○「トレイン-プレイス(Train-Place)」モデルと、「プレイス-トレイン(Place-Train)」モデル
・Train-Place:従来から実施されている段階的就労移行。
「(作業所などでの)職業準備の訓練」→「思考的就労」→「就労:職場適応」
  職業準備の訓練が、一般雇用の現場と乖離していることで意欲が減退する可能性を指摘する研究あり
・Place-Train:クライアントの希望により就職活動を始め、就職後も継続して支援する。
  「就労」→「継続支援により職場適応を図る」(職業準備の訓練がない)
 ●意思決定への参加
  本人が正しい情報を得て自己決定することにより、満足度、治療の遵守といった効果だけでなく、生物医学的指標の数値も改善する。また、一般雇用に直接関与するしくみに参加できているクラインアントは、長期予後がいいという結果もある。

○PACT(Program for Assertive Community Model)
 クライアントに必要な支援を、「現場」で直接的なアプローチによって実施する
 「欠陥」ではなく「長所strength」に注目することが前提

○援助付き雇用 1986年、職業リハビリテーション法改正時に制度化(アメリカ)
 援助付き雇用の4要素
 1)重度精神障害者の雇用支援
 2)一般就労が目的(20時間/週、最低賃金以上)
 3)職場での作業が、他の従業員と統合されていること
 4)継続的(2回/月以上)な支援が実施されている