2007年10月5日金曜日

デボラ・R・ベッカー、ロバート・E・ドレイク著、堀宏隆、他訳、大島巌、他監訳『精神障害をもつ人たちの ワーキングライフ ――IPS:チームアプローチに基づく援助付き雇用ガイド』金剛出版、2004年。(1)21ページまで。

従来の精神保健福祉((職業)リハビリテーションも含む、と思われる)は、精神障害を持つ人たちの目標を、暗黙のうちに「ふつうの市民」から「良い患者」になるよう手助けすることと考え、社会から隔離している。関係施設の活動が、精神障害者を能力障害の状態に「社会化」しているのかもしれない。

就労に関しても、精神障害を持つ人たちの学習速度が遅く、雇用前に広範な訓練が必要となり、長期にわたる段階的にアプローチが適当であることとする。よって、欠陥の詳細を特定し、雇用前に身につけておくべき態度や知識、行動の変化を規定してきた。
しかし、著者はこのアプローチを「まったく無意味なもの」とする。その理由として「官僚主義的な評価手続きが、精神障害をもつ人たちを就職準備が整っていないと決めつけることにより、職業サービスから排除するように機能したから」とする。