2008年6月13日金曜日

伊藤守『コーチング・マネジメント』ディスカヴァー・トゥエンティワン、2002年。

以前読んだ、『図解コーチング・マネジメント』の親本。
http://iyokiyeha.blogspot.com/2008/05/2005.html
(2008年5月25日投稿)
会話を広げ、会話を促進するコーチングの仕事・技法について、具体例を交えて当時の「コーチング」理論について充実した内容にまとまっている。
「現状の明確化」と「理想の明確化」、そして「ギャップへの気づき」から「目標設定」「行動計画」の作成という、一連の「コーチング・フロー」を生み出していく。
この手法は、おそらく今の私の仕事にも活かせるだろうし、日常の会話にも節々で活かせるものだと思う。

特に学びのあった箇所3点について。

1)acknowledgment
これについては、前述した通り。
http://iyokiyeha.blogspot.com/2008/04/acknowledgment.html
(2008年4月20日投稿:acknowledgement(認めること))

2)オートクラインとパラクライン(97ページ~)
振り返れば当たり前なのだが、「すべては人の内側にある」ということ。
AがBに話しかけることによって、Aの持つ情報がBに伝達される。
これが「パラクライン」。
一方で、AはBに話しかけながら、A自身は自分のアイディアを聞いているということもある。
これが「オートクライン」。
このことは、誰にでも起こりうることで、偶然ではなく誰もが「意図的に」実施しているという。
話していて、始めて自分の考えが理解できたり、整理できたりする。
Iyokiyehaは、しょっちゅうオートクラインが起こっているのだろう。
だから、しゃべりすぎてしまう。
だって、楽しいから。
以下、経験則だが、この「オートクライン」が起こりやすい人とそうでない人はいると思う。
私にも、話していて「あぁそうか」と勝手に気づいてしまう人がいる。
こういう人は貴重です。
私も、仕事モードでクライアントと相談するときには、クライアントの「オートクライン」を引き出す存在でありたい。

3)コーチングの機能する領域(272ページ~)
コーチングの理論は、これが万能だとうたっていない。
重要度(importance)と、緊急度(emergency)の関係により「重要だが、緊急ではない」場合に、コーチングの手法はもっとも機能するということを、はっきりと示している。
いくら、仕事に役に立つだろうと思っていても、重要かつ緊急の際に、じっくりとコーチング・フローを生み出す会話をするわけにはいかない。
TPOに応じた使い分けをすべきことを、この本では示唆していた。

「コーチング」を基礎から学びたい人には、おすすめの一冊。
「コーチング」は、いい意味で特別な技能ではないことが、よくわかります。


おすすめ度:★★★★★