2008年6月11日水曜日

李登輝、小林よしのり『李登輝学校の教え』小学館、2003年。

台湾前総統の李登輝氏と、日本を代表する漫画家の小林が2000年に対談した内容。
時は、総統を退いた李登輝氏が、日本入国を巡って話題になった直後。
小林よしのり『台湾論』も非常に充実した内容であったが、こちらはその内容を李登輝氏の見解を交えて、より深めていくような内容。
深く、そして幅広い。
豊かな発想と、行動力。
まさに、国民と「信頼」で結ばれて民主主義政治を台湾に根付かせた李登輝氏の信念のようなものが、対談の節々に垣間見ることができた。
その信念と信頼は、台湾という国に留まらず、今では世界へとその視線は向けられている。

日本人が、日本に対して自信をなくしているのではないかという鋭い指摘。
高度な物質社会、経済社会において、理性や合理性では説明のつかない非合理的な大切なもの(人を好きになる、恋愛する、拠り所が欲しい、など)を忘れかけている。
しかし、社会を構成する上で、より多様性のある社会(=プルーラル・ソサエティsocial pluralism)を目指すためには、もっと高次の部分で共通する価値を見出さなければならないとしている。

すごく迫力のある読み物で、一気に読まされてしまった。
面白い。
李登輝氏の主張は、鋭く、そして明快だった。

おすすめ度:★★★★★