2008年6月18日水曜日

居付き

武道全般で使われる言葉のようだが、次の動作ができない、または非常にしにくい体勢のことを指す。
例えば、身体が伸びてしまった時、次の一歩を踏み出すのが遅れてしまう。

師匠と乱取りをしていて、自分の突きの間合いに入ろうとすると、それよりも早く師匠に前に出られてしまう。
一度、お互いの間合いの外から正面当ての形で、真正面から突っ込んでこられたときに、おそらく居付いたのだろう。
「おっ」と思ったときには、自分の間合いに入り込まれていたので、あわてて下がるが、師匠の前進とIyokiyehaの後退とではスピードの差は明らか。
結局止まることも、切り返すこともできず、後退しながらバランスを崩したところに正面当てが軽く入り、その勢いも手伝ってズダーンと。勢いが良すぎて、一回転してしまった。

振り返ってみると、間合いの外から突っ込まれているわけだから、距離を合わせて突きを入れるか、体捌きで相手の側面に入っていくか、ということが考えられるわけだけれども、その一瞬というのは心身ともに「居付き」が生じているかのような状態となっている。
身体は伸びて動けなくなり、思考は「やばい」で埋め尽くされて、次の一手を考える隙間もない。

この一瞬の「迷い」が、実践では勝敗を分かつのだろう。
そして、打つ手を具体的に身体が知っているかどうかで「迷い」の量は減少するのだろう。
黒帯と白帯の決定的な差は、技を知っているだけでなく、それに伴う心の居付きが少ないことによる「迷い」の少なさ(なさ)なのかもしれない。