2008年6月14日土曜日

精神保健福祉援助技術各論(草稿)

家族への個別援助についてまとめ、考察する。


1.はじめに
 精神保健分野の援助活動は、特に「援助を必要とする人(以下「本人」とする)」と本人が関わる「環境」への援助を意識する必要がある。
援助計画は、本人の「こうなりたい」という「本人ニーズ」を基に作成されるが、もう一つ重要なのは、本人を取り巻く環境に対する援助である。本人支援は、専門家による支援の後、社会生活の中で日常関わる人の適切な配慮が継続されるのが望ましい。援助計画を作成する際、こうした援助体制を築くことも、念頭に置く必要がある。本人を取り巻く環境の代表的なものとして家族がある。
 本稿では、家族への個別支援に焦点を当てる。テキスト『[増補]精神保健福祉援助技術各論』(へるす出版)を中心に、個別援助の過程をまとめ、その上で家族への個別援助の必要性をおさえ、家族への個別支援の在り方について考察する。

2.個別援助のプロセス
 援助の手法としての個別援助は、以下の段階をたどる。
 (1)インテーク
 (2)情報収集
 (3)アセスメント
 (4)援助計画(の策定)
 (5)援助介入
 (6)モニタリング
 (7)終結
 もちろん、全ての段階で考慮すべきことがあり、どの段階も重要だが、本章では家族への個別援助を考察するため、特に(1)~(4)について取り上げる。
 援助は策定された計画に沿って実施される。よって、この段階では、援助対象者の求めを的確に把握し、実施可能な援助メニューの中から最も効果的なものを提案し、援助対象者から了解を得なければ援助は開始されない。
 では、援助対象者のニーズ把握時、支援者が特に意識すべきことは何だろうか。
 テキスト10ページには人間理解のために必要とされるフロイトとランクの説が、13ページにはソーシャルワーカーの基本とすべき姿勢が7項目あげられており、いずれも対象者ニーズを把握するために意識すべきことと考えられる。
 ここで示唆されていることは、対象者ニーズの把握は、質問項目だけではなく、言動や仕草、本人の変化や支援者との関係など、様々な要因によって多角的に把握されるものと解釈する。つまり、言葉にならないニーズも存在し、そこに援助対象者の真のニーズが隠れていることもある。援助計画は、この真のニーズが把握できて初めて、効果的なものとなる。

3.家族への個別支援の必要
 精神障害者の社会生活を援助する時、家族の協力の有無は大きい。しかし、本人ニーズ実現のためだけに家族に大きな負担を強いるわけにはいかない。本人ニーズを満たすために、本人を取り巻く環境(としての家族)が疲弊すれば、結果として本人の再発リスクも大きくなる。
 よって、援助活動は、本人もその家族も幸せになることが、その終結といえる。この実現には、本人援助にあたり、家族が抱く不安を取り除くことが求められる。本人援助同様、家族ニーズの的確な把握と、それに基づく社会資源や制度等の情報提供等が必要となる。
家族へ個別援助を実施すると、家族が精神的な余裕を持つきっかけになる。家族が、本人の生活を支えるために過度な責任を負うことなく、本人とともに幸せを求めることができる。

4.おわりに
 さて、精神保健分野の援助活動について二つのことを述べた。一つは、援助対象は本人と環境(≒家族等)であること。もう一つは、援助計画は対象者の真のニーズが把握されて初めて効果的になるということだ。
 精神保健福祉士の役割は、生活全般に関わる。そのため、本人ニーズだけでなく、家族ニーズも正確に把握して初めて援助計画を立てられる。私には、2.で取り上げた個別援助プロセスの(2)(3)が、本人のそれと家族のそれとが平行して実施されるイメージとして整理できた。
正確なニーズ把握に基づく的確な援助ができるよう、本人だけでなく家族からも信頼を得られるような精神保健福祉士になりたい。
(勉強メモ)