2024年4月29日月曜日

アラン・W・エッカート『大草原の奇跡』めるくまーる、2000年。

  大学生も後半に差し掛かった学部3年生の頃から、修士課程を修了する直前まで、とにかく本を読もう、とアルバイト代を原資に毎月10,000円分の図書券(当時)を金券ショップで買って、10,500円分の本を買うということをやっていました。おかげで、当時JR静岡駅、静岡鉄道センター付近の金券屋で顔を覚えられてしまう始末。

 この本は、そんな頃に静岡市の谷島屋さんで、多分平積みになっていたものにピンときて、小説枠で買ったものと、時期的に思われます。それから、浜松帰宅後の数回の書籍整理を生き残り、前回帰省時に所沢へ移送してきたもの。状態が良かったので、そのまま読み始め一気に読み切ってしまった。

 私が生まれる前に、オーストラリアで出版されたものが、世界十数カ国で翻訳されたロングセラーらしいです。著者のことも、この物語のことも知らなかったのだけれども、日本でも古くに出版されたものが絶版となって、2000年に再版されたようです。

 自閉症っぽい男の子が、草原で遭遇したアナグマと二ヶ月間生活を共にした物語。一言でまとめるとこうなるが、その出来事を通じて起こる成長・家族の変化が、胸を打ちます。特に引き込まれるポイントとしては、アナグマの行動と、主人公ベンとアナグマとの生活の描写が、活き活きと表現されていること。訳がいいのかもしれないが、原著はもっとすごいのかもしれない。おそらく両方が素晴らしいのだと思う。結末も、フェードアウトしていくようなイメージの物語で、私は好きです。思わず頬が緩む。

 現時点では絶版となっているらしいのですが、文庫化とかされているのかな?いずれにせよ、図書館になければ、入手は難しいと思いますので、興味のある方はお知らせください、お貸しします。

■引用

230 ねえ、ウイリアム、あの子とアナグマはなぜだか切っても切れない間柄なのよ。私たち、理解するよう努めなくちゃね。理解できないとしても、あの子を助けてやりましょう。