2008年2月3日日曜日

山田玲司『非属の才能』光文社、2007年。

“「非属」に属する”ことなく、群れずにつながりたい

他者に迎合しない生き方としての「非属」を一つの才能とし、引きこもりやニート、果ては、いわゆる「普通」に生きている人たちに、よりよく生きるための知恵(ギフト)を書ききっている。
著者自信の経験だけでなく、『絶望に効く薬』の連載や、著者自身の情報収集(読書や映画鑑賞他)を通して、著名人の生き方をひきながら、「和をもって属さない」生き方を説く。
「他の人とは違う」ことと「人と交わる」ことは矛盾せず、物事との適度な距離を保つことにより、独創性や、自由な発想が生まれるとする。

私は、どうなのだろう、と考えさせられる内容であった。
以前、私も学生時代にやはり「人と違うことがカッコいい」と思う時期があり、何となく自分の興味があることにいくつか手を出したことがあった。
そこには、大学では得られないような知識や経験に溢れ、他の学生には触れることができないだろう人間関係が広がっていた。
日本を代表するような人にもたくさん出会ったし、そうではない、いわゆる「普通」に生きてきた素晴らしい大人にもたくさん出会うことができた。
しかし、そんな時にふと「この心地よい関係に浸かりきってしまっていいのか」という不安がよぎる。
幸いにも、そこにいた大人達は、適度な距離を保ちながらお互いに刺激しあう関係になっていたように思う。
私は、そんな経験もあり「孤立」には強くなったように思う。
どんな場所でも、「とりあえず」の自分の意見は持てるようになったし、それを表現することへのためらいも少ない。
かといって、孤独かというと、なぜか気を許せる仲間もできている。

経験から、確信をもって「他の人と違う」ことと「人と交わる」ことが矛盾しないことはわかっていたが、それをクリアに書き表してくれている。
もっと、さらりと読み飛ばすつもりでいたが、人との距離の取り方をより詳細に考え抜く一つのヒントが埋もれているようで、じっくり考えながら読み解くことになってしまった。

おすすめ度:★★★★★