2008年2月24日日曜日

安倍晋三『美しい国へ』文春新書、2006年。

高い支持率で総理大臣に就任し、体調不良により突然辞任してしまった安倍元総理が、総理大臣就任直前に上梓した新書。
当時の安倍氏が、日本の今後の課題として、自衛隊の存在や海外派遣、中国・韓国と日本の関係、福祉や年金問題、教育改革などを中心に、説明と論を展開している。
当時から安倍氏が主張している「再チャレンジ可能な社会」とは、安倍氏が進めている「頑張った人、汗を流した人、一生懸命知恵を出した人が報われる社会を作る」改革のことを指す。
そのためには、「公平公正、フェアな競争がおこなわれるように担保しなければならない」とし、勝ち組・負け組として固定化・階級化しない社会を作ろうとしていることを、本著書全体から読み取ることができる。

漢字が多い新書ではあるが、説明が丁寧で、当時の日本のおかれた状況や、今後検討しなければならない論点が随所に盛り込まれているように思う。
テレビや新聞など、メディアからの情報では、安倍氏に対し具体的に何があって辞任するに至ってしまったのかがよくわからず、安易に「無責任」などと言いたくなかったのだが、この著書により、一政治家としての安倍氏の信念を垣間見ることができた。
安倍氏には、洒落ではなく、「再チャレンジ」して強い信念をもって改革を進める政治家として、活躍してほしいものである。

おすすめ度:★★★★☆