2008年3月2日日曜日

神経系の動作

合気道の稽古で、受身の練習をするのだが、師匠からよく「ある日、急にできることだから、続けよう」と言われる。
師匠の例えは「ギターのFコードが押さえられる時のよう」とのこと。
IyokiyehaはギターのFコードについては一週間かからずに、何となく押さえられるようになってしまったため、ピンとくる感覚はなかったのだけれども、急にできるようになる感覚というのは分かる。
例えば、ダンスの練習を続けていたら、初めは全く動かなかった腰が、多少8の字に動くようになったこと。
最近の気づきである。

受身の練習も面白いもので、一日の中ではなかなかうまくなった気がしない。
背中を打ち付ける日は、何度か背中を打って痛い思いをして「今日はこれくらいにしよう」とか言って、次の週になると少しだけ楽になるなんてこともある。

身体動作というのは、本当に面白い。
それまでの自分の身体にとっては「ありえない」動きだったとしても、その部分を意識して動かすことによって、少しずつ稼動域が広がる。
気づけば、それまで「意識して動かせなかった」部分が「意識して動かせる」ようになる。
おそらく、頭の中で動作を司る回路に、新しい通り道ができたことによるものだろう。

合気道の動作に限らず、武道の動作はこの「神経系」の動作が大部分を占めるものと考えられる。
もちろん、その動作を支えるだけの最低限の筋力は必要となるわけだが、その筋力を「効率よく」動かすことと、筋肉の収縮速度を上げることによって「速く」動くのとは、質が違うように思う。
後者を「筋肉による動作」とするならば、前者は「神経系の動作」と言えるか。

そう考えると、受身の練習で何度も背中を打って痛い思いをすること、それ自体が頭の中に新しい回路をつくるきっかけになっているのではないかとも考えられる。
「いい刺激を与えると、いいことが考えられる」
Iyokiyehaはこんな風に考えているが、同じように、
「いい刺激を与えると、いい動きができるようになる」
とも言えるだろう。