2009年12月23日水曜日

東山紘久『プロカウンセラーの聞く技術』創元社、2000年。

「人の話を聞く」ことに焦点を当てた、カウンセラーの技術を紹介している。
一般書に分類された売り場で、今でも書店に並んでいるロングセラー。
出版から10年くらい経った今でも、内容は全く色褪せていない。
人と人とのやりとりというのは、今も昔もほとんど変化していないということを、この内容が示しているようにも読める。
カウンセリングに必要とされる「聴く」技術や、「間」のとり方など、実例を踏まえてその意味するところの考え方をわかりやすく説明している。

この本と初めて出会ったのは、実はIyokiyehaが岡山勤務している時。
その頃から気になっていたのだけれども、なかなか購入して読むというところに至らなかったことを思い出します。
購入のきっかけは、Febeのオーディオブックで同著が販売されていたこと。
とりあえず、音声で聴いてみようという軽い気持ちで購入して、聴いてみたところ、立ち読みでは残念ながら読み取ることができなかった言葉の使い方や、日頃対人業務に就いているIyokiyeha自身の仕事を振り返る機会にもなり、思わず書籍版を購入するに至った次第です。
先日、集合研修の場で、普段Iyokiyehaが言語情報に頼っていることが浮き彫りになったことも手伝い、自分が仕事の中で大切にしたいと考えていたことがようやく言語化できました。
人とのやりとりで全ての基礎となる、「人と人との接点」は、お互いの「共感」によって成立するという当たり前のことですが、もう一つ深めると、意外な事実に気づきます。
その共感は「自分の『真意』をわかってもらえた」という、実は一方通行の感覚の組み合わせによって成立するのではないかと。
「私は○○だと思うんです!」という相手の言い分に対して、「(俺は○○とは思わないし、△△だと思うんだけどなぁ)なるほど○○ですか」と、自分の真意は一旦置いておいても「同意」する。
このあたりの、自分の「真意」を場に出さない、察せられないようにするのがプロの技術と考えるわけですが、それはさておき、「思いを伝えた」→「(同意というレベルでも)わかってもらえた」という組み合わせによって、相手には「共感してもらえた」感があるのではないでしょうか。
この背景にあるのは、「相手の言い分を飲む」のではなく、「相手の真意をわかろうとする」ことに他ならないと思います。

この本で紹介されている技法やテーマとは、少し違うことかもしれませんが、Iyokiyehaの学びはこういうところにありました。


おすすめ度:★★★★★(おそらく、どんな仕事をしている人にも学びがあるかと)