2007年9月1日土曜日

茂木健一郎・NHK「プロフェッショナル」製作班編『プロフェッショナル仕事の流儀7』日本放送出版協会、2006年。

○新しいものは「衝突」から生まれる カーデザイナー 奥山清行
フェラーリ創業55周年記念モデル「エンツォ・フェラーリ」のデザインを担当した奥山氏。自らの仕事を「猛獣使い」とたとえ、デザインの本場イタリアで活躍していたデザイナー。現在は、日本、アメリカ、イタリアの三点を拠点にデザイナーとして新たな領域に挑んでいるとのこと。
テーマである、「衝突により本物を生む」ためのコミュニケーションについて、番組キャスターの茂木氏がコラムの中で、「人格が言葉によって影響される」ことについて取り上げている。英語を喋るスキルを習得することは、「英語人格」を身につけることで、人格の可能性を広げることでもあるとしている。奥山氏も番組の中と書籍でまとめられている中で、コミュニケーションについて触れている。国際的に通用するための条件として「コミュニケーションをとること」をあげている。現地の言葉を話す、それを通じて文化を取り入れることを含み、自分の意見をより正確に相手に伝えるために話す。「自分では伝わっていると思っても、相手にはその三分の一とか四分の一しか伝わっていない。だから、自分が考える三倍も四倍も話す必要がある」とのこと。
加えて、よりよいものをつくるために「一日に20個、恥をかくこと」という。自ら恥をかくくらいでないと、新しいことを学ぶ機会に飛び込んでいけない。恥をかけばかくほど、大きな間違いをしないと語る。
最後に驚いたのは、奥山氏がエンツォ・フェラーリのデザインを描くのに15分しかかからなかったとのこと。運もあるが、その15分のためには何日、何月、何年と仕事をし、何千、何万枚というデザインを描いてきた積み重ねがあったのだと語る。人生の中でも、最も凝縮された時間というのはごくわずかで、そのために「常に準備を怠らない」。チャンスに対応できる力は、積み重ねによって蓄えられるのだと語る。

月並みなコメントでしかないが、「恥をかく」「常に準備を怠らない」といったことは、私の仕事にも当然重なることだと思う。もっと前向きに、もっと積極的に生きていこうと思うくらい、インパクトのある内容だった。