2008年1月13日日曜日

会社の「雰囲気」が従業員に与えるモノ

雑感でしかないが、会社における社員の「質」は、その会社の雰囲気を作るものだなと感じる。


先週、嫁さんがこれまでやってきたパートを辞めることになる。

職場の「嫌なこと」は、これまでも夕食の話題や寝る前の愚痴みたいなもので聞いてきていたのだが、率直にここまでひどいとは思わなかった。
初めは、ウチの嫁さんが、我慢できずに弱音吐いているだけかとも思っていたのだけども、どうやらそうでないらしい。
帰りに挨拶していっても誰も返事をしないとか、電話をつなぐ時にえらく不機嫌になったり、「その人」の機嫌が悪いと同じ職場の他の部署の人から見ても「雰囲気がよくない」という評価を受けていたり。
そんな中で、ウチの嫁さんよく半年もがんばりました。


そんなことが進行していた先日、会社で見た回覧文書に「雇用率が特に低い業種」が挙げられており、そうした業種に対する事業主支援を手厚くやりなさい、みたいな内容があった。
紹介されていた業種は複数あったのだけども、その中に嫁さんがパートで働いていた業種に近いものがある。
これまでに私が見聞きしたことと、人に聞いたこと、そして嫁さんの話を総合して、その業種と嫁さんの職場の特徴をあげると、こんな感じだろうか。
1)総合職(営業)、一般職が区別され、男女でそれが振り分けられている
2)昼間、事務所には女性社員が多く、目に見えないグループが複数存在する
3)事業所外で、契約している事業主を管理・統括する立場にある
4)事業所の統廃合が進み、「代理」や「次長」、「課長補佐」ポストに複数人が配置されており、何だか頼りない人が多い


旧来からよく見聞きする、男女で仕事が異なるというのは、組織の硬直化を招くのではないかなと思う。
そもそも、男性=営業職から管理職へ、女性=事務職、という区別は、何を根拠に区別しているのだろうか。
そして、その職制により、必然的に日中の事業所は「女性の園」となる。
これ自体は、何も悪くない。
私の職場も、どちらかといえば男性が少ない。
でも、それがグループ化して「誰それが気に入らない」みたいな話をし始めると、これは性質が悪い。


悪口が陰口になると、ろくなことがない。 本人は、隠れてやっているつもりでも、それは雰囲気を作っていく。
http://iyokiyeha.blogspot.com/2007/12/blog-post_24.html
さらに、管理職が乱立していることで、その権限も明確でないし、そもそも「いい人=リーダーシップがある」とは限らないことにより、所内の雰囲気をリードできない。
長く働くベテランパートさんに、ぞんざいに扱われる管理職がいるという噂も聞く。
嫁さんところは、ロクな会社じゃなかったし、似たような構造は某業種にもはびこっているのだろうなと察する。



違う角度から。
Iyokiyehaが、精神疾患を有する人たちの、就労・雇用支援の担当になりもうじき1年。
この「職場の雰囲気」というのはとても大切だし、それを管理職がどう捉えて舵取りをしているかということが、すごく重要となる。
今回の嫁さんの件や、最近の仕事の動向を踏まえて、こんなグラフを作ってみた。


(ストレス耐性と職場ストレスが就労継続に影響することを示したグラフ)


グラフの見方は、ある人のストレス耐性を「p」「q」とするときの離職リスクを表す。
たとえば、「p」の人が所属する職場が本人に与えるストレス総量が、限界点p’を超えると、体調を崩す、モチベーション維持ができないなどの理由で、離職リスクが非常に高くなる。
ストレス耐性により耐えられるストレス量p’を超える、つまりその人の状況が点aよりも上の範囲に位置することになれば、離職リスクは高いということだ。
この場合、ストレス総量がp’以下にとどまっていれば、リスクは制御されていることを表す。

しかし、何らかの理由(もともとの性質だったり、精神疾患によるものなど様々だが)で、その人のストレス耐性が低くなっている場合、その人のストレス耐性は「p」よりも低い「q」で表される。
この場合、職場から受けるストレス量がq’を超えると離職リスクが高いことになる。
一目で分かることだが、耐性pの人が耐えられるストレス量p’を、耐性qの人が受けた場合、その時点で離職リスクはかなり高いことになる。


当たり前のことを示したグラフであるが、以下のことが示唆できる。
まずい職場(ストレスが多い職場)では、どんなにストレス耐性がある人もつぶされる可能性はあるし、また、逆にいい職場(ストレスが少ない職場)なら、多少ストレス耐性が弱くても就労は継続できる。
私の仕事に引きつければ、「職場環境がよければ、精神障害を有する人の雇用に関して、特別な配慮の度合いは限りなく小さくできる」し、逆に「職場環境が悪ければ、精神障害を有する人の雇用に『限らず』、雇用全般に関して定着が悪い」ということができるような気がする。


要は、ある人のストレス耐性が「0」でない限り(「0」というのは、パーソナルスペースから出ただけで、また人と会うだけで、ストレスにより体調を崩してしまう等の状態。専門的治療が必要)、適応できる職場は存在するし、多少のストレス量は調整できる。
精神障害を持つ人の雇用ということを考えたときには、何の配慮がなくとも適応できる職場は見つかる可能性はゼロではないということ。
逆から見れば、どれだけストレス耐性があっても、職場ストレスがその限界点を超えてしまえば、離職リスクはあるということ。


この仮説がもし、真実を多少なりともかすめているのであれば、先にあげた某業界の特徴というものは、「ストレス因子」の一部と考えることができるし、その職場を統括する責任者および、職場を構成する従業員一人一人の人間性や対人スキルが問われることになる。
もちろん、業種としてストレスが多い場合であっても、それをマネジメントすることは可能だろうし、そのストレス総量を減らすための様々な手立てを提案するために、Iyokiyehaが所属する機関があるといえる。
ただ、その「下げ幅」には限界があるし、それを超えるストレス因子が職場に潜在しているのであれば、障害の生むに関わらず職場定着は困難を極めるのではないだろうか。


何となく、フリーハンドで書きなぐった図だったが、結構なことが示唆できるものだと感じた。
仮説が真実をかすめていれば、の話ではあるが。 似た研究を知っている人がいたら、是非教えてください。