2008年1月5日土曜日

小林よしのり『台湾論 ――新ゴーマニズム宣言SPECIAL――』小学館、2000年。

台湾で年越しすることになり、再度読んでみる。
学生時代に一度読んだものだが、機会があるとやはり理解力が違う。
加えて、池上彰氏の著書により、中国-台湾間の基本的な構図が理解できたから、以下のことがわかってきたのだと思う。

台湾の歴史から、日本との関係、2000年現在に台湾が国として向かおうとしているところを論じた漫画。
李登輝元総統の実績や思考なども、具体的にわかりやすくまとめられている。
何より著者の小林氏が、心底から李登輝氏に惚れこみながらも、客観的な評価をしていることにより、台湾を理解する一つの軸となっているように思う。

右へならえの集団主義ではなく、かといって「私」が蔓延する個人主義社会ではないとし、李登輝氏の「自我の死」をひきながら、「公」のイメージを描く。
他にも、謝雅梅、蔡焜燦、許文龍、金美齢など、台湾を代表する論客と出会い、議論を重ねた成果をわかりやすく整理している。
民主化した国家「台湾」を形作るための、総選挙や災害時の取り組み、更に政策を論じつつ、台湾語の文字化など、現在取り組んでいることを紹介する。

日本から空路3~4時間で訪問できる「隣国」の姿を描ききる力作。