2008年1月27日日曜日

池上彰『池上彰の「世界がわかる!」 ――国際ニュースななめ読み――』小学館、2007年。

「風が吹くと、桶屋が儲かる」

こんな言葉があるが、本書結びの「池上彰の「世界の見方」」という文章では、国際ニュースのそんな一面を見事に書き表していると感じ、あらためて池上氏の分析力・表現力をすごいと思った。

内容は、2006年4月から『週刊ポスト』で連載している「Bird’s-eye Worm’s-eye」をまとめ加筆したもの。
連載は読んだことがないが、その時々でホットな話題を、シンプルに説明しているのだなと思わせる文章は、さすが「お父さん」。

「ヨルダンの治安が、日本よりもいいくらい」といった、思い込みから自由になるための情報。
世界情勢は、絶えず新たな・活きのいい「情報」を入手し、更新しなければ、各国で起こっていることが自分の生活にどう影響してくるかということを考えることはできない。
日本で購入する「投資信託」が、回り回ってイラク戦争の戦費に回っている「かもしれない」という事実は、金融に関するニュースを読み解くことができなければ、想像することもできない。
そういえば、先日アメリカでの金利引き下げについて、ニュース速報で報じられた。
何を意味するのか、なぜ速報になるのかといったことは、全くわからなかったけれども、日本とアメリカの金利の差によって、資金調達が行われているということを知っていれば、その構造が崩れるかもしれないという予測ができるといった具合である。

池上氏の著書は、いつも自分に新しい「情報」をくれる。
ニュース番組、新聞、週刊誌、月刊誌、私はいくつかの情報源を持っているつもりだが、これからも池上氏の著書は読み続けるだろう。

おすすめ度:★★★★☆