2007年12月16日日曜日

12/12 研修3日目(医療分野における高次脳機能検査、職務分析演習)

「高次脳機能障害アセスメント」
高次脳機能 higher brain function 障害のアセスメント結果(医療情報)を読み解く基礎知識や、高次脳機能障害者の支援体制について全国的な動向を含めた説明と、検査器具・方法の体験。

障害特性について、一つ目新しい情報としては、原因により症状が大きく二つに分類されるということ。
これを「目新しい」というには、勉強不足を露呈するようなちょっと情けないところではあるが、それも含めてメモ。
高次脳機能障害者の発症原因として多いのは、脳血管障害と脳外傷である。
前者は、血管の異常により脳の一部の機能が不全となるもの。
よって、高次脳機能障害に見られる障害特性の「一部」と躁状態が見られることが多い。
一方で後者は、頭を強打するなどして脳が全体的にダメージを受けるというもの。
よって、高次脳機能障害に見られる障害特性の「ほとんど」がぼんやり現れることが多い。

高次脳機能のリハビリについては、機能的アプローチと、環境へのアプローチ(情報入力制限、構造化、作業分割、ストレス減、手がかり、など)とがあり、職業リハビリテーションの現場において取り組むのは、主に環境へのアプローチと機能的アプローチの内代償的アプローチの部分である。

リハビリテーションや支援制度を活用するため、精神障害者保健福祉手帳の取得がしやすくなっているとのこと。
ただし、精神障害者保健福祉手帳の取得要件に「高次脳機能障害」が明記されたというわけではなく、リハビリテーション医などが、診断書を書けるようになった(?)ため、手帳取得に関する診断書が「書きやすくなった」ことによること。

何にせよ、クライアントの立場に立ったときに言えることは、支援者の足並みを揃えてほしいということだろう。
そして、地域における有用な(成果のある)支援体制を構築するためには、病院との信頼関係の構築が欠かせない。
データのやりとりだけではなく、顔を付き合わせた関係や、お互いに気軽にやりとりできる関係へ。
まずは、医療機関、職業センター、福祉機関それぞれが、ケース状況をフィードバックすることが求められる。
文書のやりとりだけではなく、その背景情報まで伝えることによって、信頼関係が作られるとする。

「職務分析」
事業所アセスメントについて、演習を交えた内容。社福)横浜やまびこの里 よこはま・自閉症支援室の松尾氏による講義。

支援する前提として、本人の状況がある程度わかっていることがあげられる。本人のことを何も知らずに、支援するのは不可能に近い。
職業センターの評価は、短時間で有用な情報を集められる点で、関係機関としても助かっているとのこと。
ただ、松尾氏が最近考えていることとして、クライアントを知り、職場マッチングが必要であり、また、難しいケースとして、「踏み込まれるのは嫌」、でも「自分をわかって欲しい」とだけ要求する人は、ジョブコーチ支援が有効となりにくいとしている。

事業所への本人特性の伝え方として、1)専門用語は避ける、2)対応策や配慮を一緒に伝える、のがコツとする。
例えば、
(1)臨機応変が苦手、融通が利かない
 →律儀、決められた手順の作業が得意
(2)同時並行作業が苦手
 →優先順位の高い作業を任せてもらうと、自立が早い
(3)こだわりが強い
 →仕事が丁寧なので、正確さが定着してからスピードアップを図りたい
 →(インフォーマル)彼は電車が好きで好きでたまらないんです
(4)人に対する不安が強い
 →人見知りなので、無愛想に見えるが、作業や役割が分かれば安心できる
など、分かりやすい言葉で言い換えるのがいい。

自閉症のクライアントは、最初が肝心。
作業場所の構造化とルール化が必要。
その際には、事業所の従業員と打ち合わせをしながら考える。

職場アセスメントは、「聞く・見る・やらせてもらう」が基本。
やってみて、作業の内容や環境だけでなく、支援者と従業員との人間関係や職場の「指導力」を確かめる。
当該障害者が仕事しやすい環境は、とりあえず「提案」すべき。
「今できること」「教えられたらできること」「周囲のサポートがあればできること」を整理する。

職場アセスメント等の情報は、自分達でもっているだけでなく、分析したことをまとめ職場と調整することにより、1)ジョブコーチ、本人が職場定着の見通しをもつ、2)会社との調整のたたき台とする。

職務分析の方法。
職場内の仕事全体の中から、障害のある人に適した仕事を見出し、一日の職務として構成する。
ポイントは、1)障害のある人に適した仕事を見出す柔軟な視点を持つ(とにかく数をあげる、質より量)。2)仕事の内容、方法、量、頻度、安定性について見当する。3)中核になる大きな仕事、それらを補足する小さな仕事を組み合わせる。4)一日の中で、それらの仕事を組み立てる。
また、職務再構成についても検討しておくこと。
職場は「生き物」であり、常に情報収集(アセスメント)のアンテナを張る。
本人の作業量のベースアップに備え、時間に余裕が出てきた場合の仕事を確保する。
改善提案は、一緒に取り組む(例:「障害の方にはわかりにくい環境なので、整理をお手伝いさせてもらってもいいですか?」など)。
具体的に「こうするとわかりやすい」という提案。
職場訪問の前に、あらかじめ収集したい情報を整理しておく。