2007年12月16日日曜日

12/10 研修1日目(職業カウンセリング演習、他)

機構の幕張本部での研修初日。
何度来ても、ここはあまり好きではない。
ただ、キライ嫌いで何も得ないのはもったいないし、思い切り勉強できる日が5日間用意されたので、逆手にとって思い切り缶詰になってしまおうかと。

「職業カウンセリング演習」
私は、心理学を専門に勉強していないカウンセラーなので、「カウンセリング」そのものがテーマになった話にはついていけないのだが、今回の説明はすっきりと整理されていて、刺激的な講義だった。
講師の福島脩美(目白大学)は、自らのカウンセラーとしての経験とスーパーバイザーの経験から、クライアント(広義にとらえており、特定疾患を持つ者ではなく、子どもから大人まで特に制限はない)の質的変化についても言及される。
「ありのままの自己を受け入れることが困難である」とし、課題を3点にまとめる。
1)愛情と尊敬のまなざしの相互交流を欠く
2)かけがえのない個性としての受容の相互交流を欠く
3)自己直面化と自己促進を避ける傾向が顕著

その上で、カウンセリングの基礎知識としてよくとりあげられる「無条件的受容」について、自説を論じる。
人は、周囲の人から向けられる肯定的感情を「維持」し「促進」したいと願い、その経験の上に自分自身に対する肯定的感情を維持しさらに促進したいという基本的欲求があるとする、ロジャースの「維持と促進」を取り上げる。
その上で、Unconditional Positive Regardの日本語訳について、原著でロジャースが説明しているというnonposessive love(非所有的愛)を取り上げる。
すなわち、「あなたがどうであっても、私はあなたに対し好意・尊重・愛情を持ち、それがクライアントに何らかの形で伝わること」が重要であるとする。
そのとき、受容するのはクライアントの発言や行為であり、愛を持って接するのは感情面の働きである。
相手の発言に対して、「違うなぁ」と思うことはあったとしても、目の前にいるクライアントその人については「いいやつだ」と思うことが、カウンセリングでは重要であるとする。
相手を好きになり、いい感じをつくる。
それにより、相手から好かれる。
その上で、選択肢を提示し、おすすめを伝える。
選ぶのは本人である。

その際、相手の視点に立って受容することと、相手を客観視して状況を掴んでいくこと両方が必要となる。
カウンセラーは、意図的に視点を切り替えてカウンセリングを進めていく。
思い切り共感的に寄り添って考え、客観的に状況把握と指摘、更にその人が「どう考えるか」について共感的になる、といった具合である。

私は、「無条件の受容」なんてできるわけないじゃん、と思いつつカウンセリング業務にあたってきたわけだが、「受容」する対象についてはきちんと整理されないまま、この内容を理解していたなと、ふりかえる。
結局、大筋では私がやってきたことはそれほど間違っていなかった確認はできたのだが、手法についてはまだまだいろんなものを参考にして取り組まないといけないなと思った。
今回、宿題を通して考えたことでもあるが、「相手のニーズに寄り添うこと」について、もう一段階思考のレベルをあげないと、おそらく壁にぶちあたると思う。
これまでは、指導的なカウンセリングを多用し、同意がなければ「泳がせて」いたのだが、これに関して確かな手法を身につけたら、もう一歩進化できると思う。
併せて、「促進」という考え方についても、整理して一つ思考レベルがあがったように思う。
今まで、IPSでいうところの「Strength(得意なこと)を伸ばす」ことを意識して、クライアントの希望に沿ったことで目標設定して、具体的に取り組むことで、確かな行動変容が生じたケースはある。
これは、カウンセリングの技法と目標設定の具体性によって、質が決まるものと思っていたのだが、そうではなく、確かにカウンセラー側の働きかけは大きいのだが、クライアントの「自己との関わり方」にも大きく左右されることがわかった。
「視点の切り替え」を意識して、カウンセリング技法(要約を伝えることで理解していることを伝え、相手の「いいところ」を探し伝える、など)について、もう少し突っ込んで考えてみようと思う。

そんなことを、駅前で見つけた素敵なアイリッシュパブで、「マッカラン」を飲みながら考えました。