2022年9月24日土曜日

kagshun『精神科医kagshunが教えるつらさを手放す方法 幸せになる超ライフハック』KADOKAWA、2022年。

 Voicyで何気なく聴き始め、現在私のプレミアムリスナー枠に収まっている、元世界一周バックパッカーで精神科医による著書。「精神科医のココロに効くラジオ」で語る、人の性格に関する分類や、心の病気の概説を、ウェルビーイング(Well Being)と結びつけて、生活に役立ついろんな知識やアドバイスが書かれている一冊。

 元々私にとってラジオ番組がコツンと響いている人の著書なので、内容はすんなりと入ってくるし、自分が知っていることと、その周辺の+αの知識に加え、「それを生活に活かすための具体的な方法」を理論に基づき説明している。いわゆるよくある「ポジティブ思考」にも似ているのだけれども、ここで一つ視野が広がったことは、「健康を追い求める社会=幸せな社会とは限らない」という言葉。ちょっと振り返れば当たり前のことで、人間易きに流れやすく、私もその例外ではなく、目の前の快楽を優先してしまうことがあるわけです。ただ、それは全部が全部悪いわけではなくて、自分で納得していれば「それもアリ」と思える、「いい/わるい」じゃなくて「幸せ」というもっと先の生き方を意識すれば、目の前の明らかな健康に悪いことでも「その場で結構楽しいもの」は、それはそれで自分の生き方を豊かにする一つになり得る、ということ。「生き方の正解はひとりひとりが決めていい」ということです。当たり前のことだけど、改めて言葉にしてもらえると、きちんと意識できますね。万人におすすめの一冊です。

 音声番組の方では、精神疾患に関してかなり突っ込んだ話題や、逆にゆるゆる軽々な話題まで多彩な話題が満載です。精神科医が一般、それもどちらかというと若者や当事者向けに病気の解説や背景・歴史を説明することがあり、これが大変勉強になります。G氏を褒めちぎっていたり、私の志向とは合わないものを取り上げることもあるので、ズレを感じるところもありますが、それも視野を広げるきっかけになると思えばアリってことで。