2019年1月12日土曜日

中勘助『銀の匙』岩波書店(ワイド版)、2001年(底本『中勘助全集』第一巻、岩波書店、1989年。)。

・伯母さんの限りない愛情に包まれて過ごした日々、少年時代の思い出を、自伝風に綴った作品。
・文章のもつリズム(構成?)が特別な印象を受ける。
・風景、状況、人物描写が多く、形容詞が多い文書であるにも関わらず、それらがすっと理解できる。易しい表現ではないのだが、不思議である。
224ページ:(中勘助)氏はただ自分自身の世界をのみ守りながら、それをいかにして詩の形に表現しうるかに苦心した。
同:(前略)文章に非常な彫琢があるにもかかわらず、不思議なほど真実を傷つけていないこと(後略)