2023年1月9日月曜日

三島有紀子『しあわせのパン』ポプラ文庫、2011年。

 同名の映画を基にした小説。Iyokiyehaはこの映画大好きで、もう何回観たかわかりません、ってくらい。DVDを買って、PrimeVideoでも購入してしまった。テンションがあがるわけでもなく、身体が疲れている時に観るとほぼ間違いなく寝てしまうのだけれども、何度観ても心が安らぐ作品。

 主人公の水縞くん(大泉洋)とりえさん(原田知世)の、表情と会話の行間に描かれる心情、料理のシーンとできあがった料理とそれを食べる人たちの笑顔が静かに静かに、そして内側から暖かく表現されている。多分、作品を通じて描かれているテーマは、人の幸せとか、生きることとか、仲間とか、そういう生きる上での本質的なことなのだろうけど、それを日常+アルファくらいの身近な営みを通して描く作品。言葉は少なめ、笑顔がちょっと多くて、表情で人の営みを描いている作品なのだろう。

 何度観ても、理屈じゃないものが身体を通り抜けていく感じがする。Iyokiyehaの中では、暫定1位の作品です。もう、大好き。