2007年3月11日日曜日

脱皮(3/10)

 この週末はJC-NET会議への参加のため、上智大学まで行ってきました。去年は妙な縁もあり、会社の本部の上司と一緒に行動できて、いろんな人と知り合えたのですが、今年は単身の予定だったので、さてどうしたものかと思っていました。同期2人、後輩、岡山での知り合いや、静岡の知り合いなど、結構知っている人が多くて楽しんでいます。これから二日目の内容。その前に昨日のメモを。
 1年目は、とかく勢いのみを感じた集まりでした。当時の私は、まだN-Pocket所属で、今の会社に就職が決まったところ。「Iyokiyeha君、これに行ってきなさい」とN-Pocketで言われて、何となく行ったものでした。翌年は、一人で行こうと思っていて、上記状況に。内容は、やや勢いが削がれたようにも思ったので、3年目の今年がどうなるか、ちょっと楽しみ、不安が入り混じっていたのですが、テーマの通り「脱皮」したように思います。
 今後の障害者雇用を支える上で、1)行政の方針、2)障害者の数(供給)、3)企業の受け入れ体制、4)支援機関(者)の力量、がバランスよく増える、力が向上する必要があるという切り出し。現状(H18年度6・1調査)としては、雇用率は1.52%(全体)、100~299人の中小企業では1.27%と低い水準にとどまるが、1000人~の大企業では1.69%と高い水準となっている。大企業先行で雇用率は引き上げられているが、大企業の雇用率達成率は36.9%ということで、少ない大企業が牽引している形となっています。1)行政の方針については、福祉の側で自立支援法の施行とともに、就職数を5年間で4倍にする目標が打ち出され、労働行政の側も安定所の雇用率指導の内容強化という形で、障害者の雇用ということについて行政からは「追い風」となっています。一方、それを受ける企業は「プレッシャー」を感じているとのことで、各企業の障害者雇用への関心の高まりが見られます。知的障害者=金の卵、などという表現もみられます。どうやら首都圏では、障害者の供給不足に陥っているとのこと。2)について、施設に所属している人をどれだけ一般就労の舞台にあげていくのか、ということがポイントになってきます。そうなってきた時に、4)支援機関がどれだけがんばれるか、どれだけ専門性を向上させられるか、ということがこの会議の一つのテーマにもなっていました。
 雇用率を0.1ポイント上昇させるには、頭数3283人(内重度1017人)の雇用が必要となり、それはJC657人分の仕事(JC1人あたり5人の就労)となるとのこと。 支援機関に望まれることとして、1)大企業に対しては、一度に2ケタ、3ケタの障害者雇用を希望されたときに、サポートしきれるのか、という課題があります。大企業への支援は、仕事の支援だけすればいいというものではなく、指導は企業中心で、その上の支援が必要となります。本人アセスメントから職場アセスメントが的確で、その上で提案できる力が求められる、「スーパージョブコーチ」などという造語も飛び出しました。一方居で、中小企業へのアプローチは、まだまだ個人の力量が問われることもあり、JCと企業とが協力して、マッチングを図っていくということが必要であるということです。
 これまで障害者の雇用を何十年とやってきた、企業側の話。仕事の単純化と「間違えにくいシステム構築」から入り、訓練においては、スキルや作業量ではなく「職場に適応できること」が最優先されるという話。企業に負担感・不安感があってはならない、それを取り除くのが就労支援の目的、とのこと。また、障害者本人にも「仕事ができる」→「もっと仕事がしたい」→「いろんなことができる」→「自信になる」→「もっと仕事ができる」→……といういいスパイラルを作るための支援が必要とのこと。最後に、「企業は多種多様(作業の内容だけでなく、社風、地域なども含め)」であるから、ニーズに応じることが最優先であるということや、本人にしてみれば、「やりたい仕事がどこにあるのか」を知る機会がほしい、その上で支援機関としては本人・企業のアセスメントを的確に、橋渡し役となる必要があるわけです。企業が障害者に求めることとして、1)障害を理由に逃げない、2)自立への自覚、3)気力・体力、4)身の回りのことは自分でできる習慣、5)ビジネスマナーは誰にも期待される、といったお話を聞きました。 最後のワークショップでは「風をつくる」をテーマに、就労支援の変遷を確認した上で、1)今やっていること、2)これからやろうとしている・やらなければならないこと、をロールプレイを交えての説明でした。結論、私がやっていることは東京では10年前のことをやっているのだなということ。知的障害者の特性は、判断が苦手、臨機応変が苦手、小学生レベル、覚えるまでが難しい、などなど、実際に第三者として話を聞いていると、よくわからない。それを私は、今専門職としてやってしまっているのだなと、実感したところです。「いつも、なんどでもが得意」をキーワードに、適している仕事や、「いつも」の内容、方法、場所、時間、「何度」の回数が多い、工程が少ないといったわかりやすい言葉で説明できるスキルがまず、今すぐに必要となるなと思いました。それに加えて、所属施設の「簡潔」な説明、自分(JC)は何者か、求職者のアセスメント結果であるとか、企業の情報収集により職務の切り出しを行っている、など、今すぐに業務内容を向上させるヒントがたくさん詰まっていました。その上で、提案(どんな仕事を、何時間×何人分用意できるか)する力が何より求められることとなり、首都圏の専門家はその域にまで達しているのだなということを確認できただけでも、大きな収穫でした。
 この会議で言うところのJCは「広義」ですから、職業センターマインドは一旦捨て去ってあげないといけません。カウンセラーである私にも、今すぐ役に立つ情報満載の集会です。これから二日目に行ってきます。