2011年4月3日日曜日

M.J.アドラー/C.V.ドーレン著、外山滋比古/槇未知子訳『本を読む本』講談社学術文庫、1997年。

原著は、How to read a book.1940。
アメリカで出版され、欧米各国を中心に翻訳され、世界中で読まれている「読書の説明書」。日本語訳は1978年に日本ブリタニカから出版された。

読書の方法を解説した本です。「本の読み方なんてあるの?」と言われそうですが、確かに読書技術はあると思います。
ただ、日本の教育において、こうした読書技術を学ぶ機会はないに等しいのではないでしょうか。
それとも、私以外の社会人は、みなこうした読書技術を持っているのでしょうか?
本書では、読書をレベル分けし、
第一レベル=初級読書
第二レベル=点検読書
第三レベル=分析読書
第四レベル=シントピカル読書
としています。
目次や表紙裏、表題や小見出しから内容を俯瞰してとらえていく段階から、キーワードを抽出し、その意味を解読していく段階、そして著者と対話しつつ、同じテーマの書籍と関連づけ、自らの問いを練り上げていくというレベルの上昇は、学習活動において必須のスキルではないかと感じます。

個人的には、もっと早くに出会っていたかった本だという感想です。
一方で、ここで出会えてよかった、とも思っています。
本文でも書かれていますが「読まなければ書けない」ことは、学生の頃から薄々感じていましたが、そもそもこの「読む」行為が、果たして字面を追うだけなのか、という疑問は当時から持ち続けていました。
学生時代に先生にもっと教わっておけばよかったと思ったのが、社会人になって2,3年経った頃でした。

読めている、書けている、という自負もある一方で、仕事をしていて、また人と話をしていて、どうも誤解される、食い違う、自分が思っていることをうまく表現できていない、という不全感があったまま、今まできたところですが、本書がきっかけとなって、もう少し言語化が進められそうです。

思想(考え)は曲げず、状況変化には柔軟に対応し、誤解なく過不足なく伝えきる。

最近、仕事の中で強く感じていることです。そんなこととも関連のあった本でした。


オススメ度:★★★★★(誰にでもおすすめです)