2010年12月23日木曜日

竹中恭子『家族のための〈おっぱいとだっこ〉』春秋社、2010年。

1992年から、育児に関する電話相談ボランティアを続けてきた著者による、(主に)母乳育児に関するQ&A集。
ただし、一言でQ&A集と言ってしまうにはちょっと惜しい情報が満載で、20年近く電話相談をしてきた経験と、電話相談をしつつ自らも調査に取り組んできた地道な実績が読み取れる。
出産前から、出産後を時期毎に分類し、その時々に起こりがちな悩みや、「ちょっとした心配」に市民の専門家として丁寧に、しかもわかりやすく答えている。
特に、母乳育児に関する情報(例えば、母乳そのものの性質や、それを実習する母親の身体の変化、それらの変化に周囲がどのように接したらいいか等)については、詳細な事実を基に著者がとってきた行動を説明しながらも、電話相談によくありがちな状況も踏まえて、選択肢それぞれのメリット・デメリットをきちんと説明してくれている。
これから出産を控える方全てに読んでもらいたい良著です。

Iyokiyehaとこの本の出会いは、Fathering Japanの安藤氏が自身のブログで紹介していたことで、カミさんからも同時期に「読みたいから買って」と頼まれたもの。
育児に関して、私と妻は、数冊共通した参考書を購入していますが、お互いに読み切った書籍というのは初めてじゃないかと思います(つまみ読みはしていますが)。
読んで思ったのは、「母乳とは、『自然』のまま子どもを育てるための有力な手段」ということです。
ミルク育児だと、与える量や時間を守らないと栄養過多になってしまうらしいですが、母乳なら子どもが欲しがるだけ欲しがる時に与えていいとか、母乳の成分は母親の食事によって異なるとか、子どもの成長に合わせて母乳の成分異なるとか、ほんと目からウロコの情報満載の一冊です。
とはいえ、母乳がでないお母さんが少なからずいるということや、その置かれた環境によって母乳育児を「選択しない」ことについても、それぞれの項目できちんと説明しています。
全体を貫くトーンとして、母乳(と母乳育児)に関する正しい情報を、氏の経験と調査からわかりやすく説明をして、母乳のすごさとしかし母乳に頼りきらない子育ての知恵について先輩ママがやさしく教えてくれる、といった感じです。

書籍説明の最後にも書いていますが、現在子育てをしている人、これから出産を控えている人全てにおすすめです。もちろんお母さんだけでなく、お父さんも読んでばっちり勉強しましょう。


おすすめ度:★★★★★(お母さん、お父さんのための本)