2009年2月8日日曜日

内側から動き出す

何度か紹介している『加治隆介の議』。3巻で、加治の理念を気に入った渦上から10億円分の割引債を送られた時に、それを断る加治の返事が好きで、最近思い出したので話題にしてみる。
「金がなくても、金を使わなくても、同好の士は集まってきます。そんな政策集団を作るのが私の理想です。決して実現不可能なことではないと思います」(文庫版180ページより引用)

志の同調者達とでもいうか、NPOや社会活動ではMission(使命)という概念がよく用いられるが、そういったものと同質の理念だろう。
漫画の中では、金のやりとりによる支配構造を嫌い、真の政策集団結成を試みる加治隆介の意思が反映された箇所だが、現実社会においても響く言葉のように思える。

事を起こす際、「先立つものは金」であることは、間違いのない事実の側面もある。
ただし、それは車で言えばガソリンのようなもので、エンジンが先の理念と表せる。
すなわち、ガソリンが充足していれば、どんなエンジンでも動くことは可能である。良質なエンジンで、かつメンテナンスがきちんとされていれば、長い間走り続けられるだろう。この場合、メンテナンスは「方針の適切な変更・微調整」とでも言えるだろうか。
エンジンが悪質なものであったり、当初良質であっても長いことメンテナンスをせずに放置しておくと、意外なところで動かなくなってしまう。
それは、エンジンの故障だったり、劣化だったりする。異常が小さなうちにメンテナンスによって発見・修正されれば大事には至らないが、放置すると案外早くいかれてしまう。

仕事をしていて「同好の士」がどのくらいいるかなとふりかえってみる。
私はついているのだと思うが、確かに存在する。
組織するしないは別として、同業者かどうかも別として、もっと大きな志でつながりあえる人たちとの関係を、何よりも大切にしたいものである。