2008年10月25日土曜日

リスクを負うのは誰?

誰のための支援体制か?と考えさせられることがある。
ケアマネジメントの手法で、対象者の課題とその内容を一覧表にして、その課題に対応する担当者を会議の中で決めていくというものがある。
これまで、あまり疑うことなく使ってきた手法だが、「敢えて明確にしない」というのも一つの方法なのだな、と思わされることがあった。

時々お客さんになる「誰にでも相談する人」。
課題が明確になった際に、相談の内容をカテゴライズして、それぞれの相談窓口を決めておく。
支援者が混乱しないようにするためには、有効な手段でといえる。
割と一般的な手法かもしれない。

ただ、この役割分担は、一体「誰のため」の役割分担なのか?
会議の席上で、そんな疑問を提示したワーカーさんがいた。
話を聞きながら、即座にマトリックスに落とす。
状況を整理すれば、なるほど納得である。
役割分担をしたいのは「混乱したくない支援者」であり、対象者は「すぐに、誰かに相談したい」のだろうという結論に達する。

そうなると、役割分担をすることによって、担当者と連絡がつかない状況もあるわけで、そんな時に他の人に相談することは「ルール違反」になってしまう。
「相談したい」ことが第一位のニーズなら、その手段は確保した方が「本人は」楽だろうという結論。

納得。
見事だと思った。

もちろん、オプションとしては、
1.役割分担せず、支援者間の情報共有は支援者間の連絡体制でフォローする
2.役割分担せず、ツール(相談ノートなど)を活用してフォローする
3.役割分担して、担当者が相談を受ける
といった方向が話し合われたわけだが、「本人ニーズ」に沿った支援者のやりとりというものの本質に、一つ触れられたような気がした会議だった。

「リスクを負うのは、誰?」
本人の自己決定を尊重するのであれば、答えは自ずと立ち上がってくる。