2008年10月13日月曜日

岡島悦子監修『ビジネスプロフェッショナルの仕事力』日本経済新聞出版社、2008年。

「達人7人に学ぶ“情報活用力”の極意」(帯より)
このキャッチコピーが、内容を全て表している書籍と思う。
多彩な分野のプロフェッショナルから「情報活用」という切り口で、インタビューした内容をまとめたもの。
核となる「情報活用」を、収集と処理、さらに反映とでもいうのか「活かし方のコツ・心構え」といったことについて、事例を踏まえたわかりやすい内容となっている。
明日から使える、小さな具体的スキルではなく、もっと大局を見据えるための心構えについても、非常にわかりやすい言葉でまとめられている。

最近、この手のビジネス書に当たりが多く、関連したテーマで数冊読んだり、聞いたり(講演など)をしている。
それらも踏まえて、この本の感想を問われたら、とりあえず現段階では以下のようにまとめられる。
1.「情報」には、質による優劣があり、良質な情報を得るコツはある
2.「情報」と「知識」には違いがあり、行動に反映されるのは後者である
3.個人の行動から、組織のコンセンサスへ発展させるためには、論理的思考が欠かせない

先日、師匠と話をしていたときに、インターネットについての話題となった。
師匠曰く「インターネットは弱者のメディアである」とのこと。
Iyokiyehaは、それを受けて「全ての情報が、並列に扱われる。例えば、Iyokiyehaのブログと、各界の著名人のブログは、アクセス数の違いはあれど、情報としては同じ扱いを受ける」と返し、さらに「だから情報を読み解く力は、自分に蓄える必要があるが、質の高い情報は有料化されていることが多く、その点で多少は優劣が見極められる」とした。
ラーメン食べながらの雑談のため、大胆にしゃべりながら考えたものだが、それほど外していないと、ふりかえって思う。
このあたりが、1.の「情報」の種類に関すること。
そして、いくら良質な「情報」を持っていたとしても、それを妥当に分析、解釈し、自らの人生に反映させられる形にしなければ、「情報」は宝の持ち腐れとなってしまう。
これが、2.に関すること。分析・解釈といった処理をして初めて、「情報」は自らの人生を豊かにする「知識」へと進化を遂げる。
さらに、独りよがりの「知識」では、世の中はおろか、身の回りの社会、さらには他人という個人にも伝わらない。誰にでも「伝えられる」形になってはじめて、社会へと働きかけることができるといえる。

情報収集のコツは、いろいろ試していけるヒントが豊富に盛り込まれており、耳からの情報収集は、最近取り組んでいるところである。
一流の人の真似事で、私の人生が豊かになるのであれば、こんな安い買い物はないと思う。
仕事だけでなく、日常生活をも振り返ってみようとする気にさせられる一冊。
おすすめです。


おすすめ度:★★★★★