2023年1月9日月曜日

三島有紀子『しあわせのパン』ポプラ文庫、2011年。

 同名の映画を基にした小説。Iyokiyehaはこの映画大好きで、もう何回観たかわかりません、ってくらい。DVDを買って、PrimeVideoでも購入してしまった。テンションがあがるわけでもなく、身体が疲れている時に観るとほぼ間違いなく寝てしまうのだけれども、何度観ても心が安らぐ作品。

 主人公の水縞くん(大泉洋)とりえさん(原田知世)の、表情と会話の行間に描かれる心情、料理のシーンとできあがった料理とそれを食べる人たちの笑顔が静かに静かに、そして内側から暖かく表現されている。多分、作品を通じて描かれているテーマは、人の幸せとか、生きることとか、仲間とか、そういう生きる上での本質的なことなのだろうけど、それを日常+アルファくらいの身近な営みを通して描く作品。言葉は少なめ、笑顔がちょっと多くて、表情で人の営みを描いている作品なのだろう。

 何度観ても、理屈じゃないものが身体を通り抜けていく感じがする。Iyokiyehaの中では、暫定1位の作品です。もう、大好き。

ジョージ・ルーカス原案、梶尾真治訳『笑うバルセロナ ヤング・インディ・ジョーンズ12』文藝春秋(文春文庫)1993年。

 インディジョーンズ若き日の大冒険12作目。時系列的にウィーンの後だと記憶していますが、フランス情報局の諜報員としてバルセロナで活躍する様子を描く。

 第一次世界大戦のこのあたりの背景って、(私が勉強していないだけかもしれませんが)よくわからないんだよね。そういえば、スペインって中立国だったっけ?って感じで。こういういわゆる緩衝地域というのは、世界を二分する戦争中にあって、お互いが乗り入れる自由と緊張感のある雰囲気だったのかもしれない。もう一度歴史を勉強しようという気になる。

 確かにテレビシリーズで観たときのこの回は、舞台の本番中に宦官役のインディが腰を振ってモールス信号を送りつけるシーンが面白かったということしか覚えていないんですよね。世界大戦が終結に向かっていくところの情報戦を面白おかしく描いている本作は、激動の時代をスパイの活動を通して描いていると読めば、この作品の本質が見えてくるか。

堀内夏子『イカロスの山』講談社、Kindle版。(マンガ)

 我々世代だと、マガジンで連載していた『Jドリーム』の作者堀内夏子氏の山岳ドラマ。数年前にセールで一括して購入していたのを先日見つけて(Amazon Kindleあるある?)連休を使って一気に読んでみた。

 メインテーマとサブテーマに分けて、以下私はメインの山岳ドラマのみに触れます。サガルマータ(エベレスト、チョモランマ)付近に、世界第二位と推定されるピークが確認され、各国から山岳チームが組まれ、その登攀を競う背景の中で、日本人チームに加わった2人を描く物語。

 いわゆる山岳モノって、リアリティを追求すれば、それが分からない人にとってはただただキツい地味な(だいだい)汚い怖いエピソードが並べられがちなのだけれども、本作は堀内氏の画力も手伝って、大変バランスのいい描き方になっていると思った。一気に読ませる迫力があり、山岳あるあるを適度に織り込んで、それでいて登攀の過酷さを伝えながら、多分本当にキツいところは丸く表現している、というか・・・とにかく読んでいて小気味よさやテンポの良さを感じる内容でした。

 サブテーマの方は人それぞれだってことと、連載雑誌の雰囲気みたいなものもあるから、読む人それぞれの解釈ってことで。私にはハマらなかったなぁ。

永松茂久『人は話し方が9割』すばる舎、Audiobook版。

 話し方について、様々なノウハウを紹介するもの。話し方によって、人間関係が良好になり、苦手な人ともうまく関わることができるようになるので、自分の周りから「嫌な人」がいなくなる、という常識を覆す考え方にも触れることができる一冊だった。

 「この人ともっと話をしたい」と思われるためには、論理の構成だけでなく、それを表出する技術もやはり大切である。自分軸(オレ、オレ)ではなく、相手軸に(あなたは)で考えること。褒め言葉を謙遜するなら、きちんと受け止めてから。相手に「しあわせでありますように」と思って接すること。否定しない。うなずき。プラストーク。いいことリストの作成。自己紹介は、経歴から自分の思いや人への感謝を伝えられるようになるとよい。しくじりリストで笑いのネタにする。人をいじるのは芸人さんの高等技術であるのと合わせて、環境ができているからできること、シロウトがマネをすると不快感すら生まれる。など、本当に様々な「話し方のコツ」を理由とともに説明している。

 確か、一時期この本がベストセラーになっていたように記憶しているが、気軽さと内容とが同居している良著といえる。

樺沢紫苑『ブレインメンタル強化大全』サンクチュアリ・パブリッシング、Audiobook版。

 人の脳機能を活性化する行動案を紹介するもの。日中の脳機能を充分に発揮するためにできること、やった方がいいことについて、生活上の様々な行動を提案するもの。

 参考になることは多かったが、特に印象に残ったのは、きちんと寝ること、脳と身体を同期させること、である。

 前者は、月並みであるが、睡眠の質と量を両方とも充実するためのノウハウがたくさん紹介されていた。すでにやっていることはもちろん、やはり「量」が重要だということを改めて理解した。私は睡眠負債が貯まっている状態であるという見方もできた。

 後者は、これまでの習慣に加えるもの。朝起きて一時間以内に朝散歩することによって、脳機能と身体機能の時間を合わせることになる、というもの。本著で著者は、睡眠、運動と併せて、この「朝散歩」を強く推奨している。運動とは異なるものとして、リズム運動を朝取り入れるもの。朝の活動だが、日中のパフォーマンスだけでなく、睡眠の質も良くなる。すでに私はラジオ体操の習慣があるので、ゴミ捨てついでにほんの5分ほど、町内を散歩してみようと思う。

久保田弘信『世界のいまを伝えたい』汐文社、2019年。

 図書館シリーズ。最近はティーン向けの読み物に手を出している。理由は、読みやすく、2時間かからずに読めて、内容が凝縮されているから。

 久保田氏は9・11前後のアフガニスタン、イラク北部でのIS掃討作戦など、戦闘地域を現地側から取材していた、フォトジャーナリスト(戦場カメラマン)。ひょっとしたら、何かの折にメディアで見たことがある人かもしれない。本当にすごいことをやっている人だと思う。とはいえ、時々聞かれる「危険を顧みない人」「好んで危険を選んでいる」といった印象は受けない。題名にあるように、純粋に「世界のいま」を伝えることにこだわりこだわりこだわり抜いて行動している人のように思う。

 難民の暮らしや、難民キャンプの様子、国外避難している人の現状や戦争下で生活を余儀なくされる人たちの姿を、カメラにおさめる。久保田氏の仕事を言葉にすると、こういうことだが、その写真が語る世界は、私にはどうやっても見えない世界の姿が写っている。その写真がすべてではないが、少なくとも私の世界の範囲の外にある世界を切り取って教えてくれる。フォトジャーナリストの仕事ってそういうものだと思う。もちろん、いろんな人がいるわけだから、何らかの意図をもって被写体にカメラを向ける。その意図が、私のイメージと全く違う人がいるかもしれない。ひょっとしたら、久保田氏もそういう人かもしれない。世の中には往々にして、そういうことがある。とはいえ、私にとって言葉にできない「何か」があった一冊であることは、自分の感覚に照らして事実である。だから、それでいいと思う。私の世界を広げようとしてくれた一冊に感謝である。

 難民にも、戦争に参加する兵士にも笑顔がある。悲しい姿だけではない。そういう「人」を撮り続けるのだろう。ジャーナリストのプライドをもった人のように思った。

■引用

103 ジャーナリストの使命は、光が当たっていないところへ光を当てることだと思う。

140 撮影の技術があり、根性もあって、現地へ行くことができても、それだけではジャーナリストになれない。ジャーナリストとしてのいちばんの資質は、「この人に話を聞いてもらいたい」、「この人になら写真を撮らせてもいい」、「この人に託したい」と、相手に思ってもらえることだ


映画「すずめの戸締り」

  長女が友達と観に行ったのを聞き、次女が「観に行きたい」というので、休日朝から映画を観に行く。新開誠氏監督の「すずめの戸締り」。前々作「君の名は」を地上波で何年か前に観ていた程度の予備情報で、本作に関する情報はほぼなしの状態で観に行く。

 なかなか見応えのある映画だった。評論するものではないが、戸締まりを災いを封じることと、鈴芽(すずめ)の成長と重ねるファンタジー。展開が速くテンポがいいことと、とこよ(常世・黄泉の国)、うつしよ(現世)を分かつ「扉」を巡り、様々な人間模様と出会いが描かれる。一つ一つのエピソードが、深入りすれば人生や成長のメタファーになっているのだろうが、そういうこと抜きにしても見せ場が多く、世界に引き込まれる内容だった。

2023年1月3日火曜日

2022年総括、2023年の抱負

  あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 病気としては終わる気配のないコロナ禍ですが、世の中は緩和ムードです。4月に異動があって、前職と関連のあった障害者支援の現場から、就学前の子どものインフラ(保育園とか幼稚園)に関わる、ザ・公務員みたいな事務職(給付とか補助金の担当)に転向しました。この異動に伴って、馬車馬のような働き方から、後輩を率いてチームの仕事をする立場(いわゆる係長級というやつです)となりました。職場の変化が生活にも多少なりとも影響した一年と言えるかな、と振り返ると思うところがあります。先日、日記帳を新調した(Iyokiyehaは1月始まりを使っています)ところですが、パラパラと振り返っても、環境の変化に、思考と行動をなんとか適応させてきた一年だったことと、そのおかげで視野がずいぶん広がったことを実感することができました。

 毎年恒例の一年の総括をしておきます。2022年はこんな感じでした。

1 読書の継続 20冊+Audiobook20冊分+α

2 10分体操+素振り15,000本

3 30分程度を目安にした勉強習慣をつくる

4 新しい仕事・勉強に前向きに関わる。心穏やかに過ごす。

 1の読書は、今年は感想をアップできた読書が49冊分(未公開を含む)、Audiobookが27冊分(未公開、感想文なしを含む)、その他にマンガは多数、映画は「ドラえもん」「すずめの戸締まり」、オンデマンドで「しあわせのパン」くらいか。あと、今年の収穫はやっぱりVoicyかと。「高山ゆかりの話し方のハナシ」(高山ゆかりさん)、「精神科医のココロに効くラジオ」(kagushunさん)はプレミアムで、他多数のパーソナリティの放送をラジオ感覚でマメに聴くようになりました。PODCASTや、ラジオ放送を含めると、耳からの情報収集についてはかなり確立してきた感じがします。書籍と向き合う時間はずいぶん増えてきました。いい傾向。2022年は、時間捻出のためにティーンズを含む小説にずいぶん手を出したので、これは継続しつつ少しずつ文学や専門的なものにも挑戦していきたいと思っています。ベクトルがずいぶん前向きになってきたので、読書筋力も意識して推進していきたいですね。

 2は、朝のラジオ体操第一+5分ウォーク+素振り50本、通勤+1,000歩ウォーク、ぶらさがりorスクワット、週末ジョグor5,000歩ウォーク、で大体習慣化しました。週末の懸垂をぶらさがりにして、休日ジョグ・ワークアウトを平日ウォーク+αに切り替え、瞬間負荷を軽くすることで、体重維持・ゆっくり筋力アップにつながっています。この歳だから、見せる筋力は要らんけど、木剣素振りの音がずいぶん変わってきている気づきがあるので、使える関節・筋肉は維持できているかと思います。体重はゆっくりと2kg減くらいです。一つ懸念は、8月に新型コロナ陽性となった後、午後の倦怠感がひどく、軽い易疲労が続いていることがあります。文献やケース報告なんかを調べると、易疲労や倦怠感の症状はもっとひどそうなので、そんなに関係ないのかもしれませんが、平日15時前後は文書が頭に入ってこない、会議でも人の話を理解するスピードが明らかに遅い、などの感覚があります。まぁ、元々緊張感がなくて集中力の維持が難しい傾向はあるので、作業順を切り替えて対応していますが、どうなることやら。うまく付き合うしかないね。

 3は、仕事とは異なる時間帯に読書や音声教材を使う、という試みをやってみています。しかしながら、喫茶店の値上げや営業時間短縮、慣れない仕事でスケジュールが組みにくく超過勤務が増える、などの状況があるので調整が必要です。週末は家庭で過ごすことと割り切って、平日に時間給とって勉強したり、イベントやセミナーにWebで参加する、といったことはできそうな気がしています。うまいこと時間を有意義なものにしていきたいと思います。

 4の前段は、ここまででも触れましたが、新しい仕事にも「そこそこ楽しく、前向きに、慣れなくても勉強して決めていく」ことを大切にやっています。チームには大変恵まれ、上司にも恵まれた環境なので、今の職場にはなんの不満もありません。いらん心配なしに、経験積んだり、知識蓄えたりできるのは幸せなことです。後段は、いろいろ試行錯誤していて、身になることと、調整中のことといろいろあるけれども、着実に前進している感じはあります。まだ、前向きスルーや不惑の境地には至れないのだけれども、自分に正直に、反応せずにいれることもしばしば、どちらかというと受け流す行動をいくつか身につけた、というところです。深呼吸、手遊び、回避などの行動と組み合わせて、自分の感情と向き合うことを意識できてきています。「刺激と反応の間には『選択』がある」という言葉が身にしみるこの頃、「選択」の余地を少しでも広げることと、反応の前の選択を意識することが自然にできるようになるといいなぁと思います。精進あるのみ。


 と・い・う・こ・と・で。

 2023年は、今のベクトルを維持しつつ、思考の土台を強靱にするべく、こんなことを意識していきたいと思います。

1 読書の継続 30冊+Audiobook30冊分+音声コンテンツ+α

2 10分体操+素振り15,000本(維持)

3 30分程度を目安にした勉強習慣をつくる(習慣化)

4 仕事のスキルを向上する

5 心穏やかに過ごす

 1は、これくらいいける。むしろこのくらいの分量を維持して、3,4につなげていく土台として知識面の数値目標とする。

 2は維持。今の習慣で継続してみる。アレンジはいいが無理はしない。欲張らないことを意識する。見せる筋肉は不要。

 3、これをどう捻出するかが、今年のカギかな。生活とは両立させる折り合いの地点はどこか。できるだけ効率よく情報インプット・アウトプットの習慣をつけたい。

 4は、今の持ち場が腰掛けではなく、今後数年は腰を据えて考えて自分の意見を持てるようになるために、きちんと勉強をしたいということ。それに加えて「チームを率いる」ことについても、いろんな知見を取り入れて、自分の力だけではなく「チームによる相乗効果」を生み出せるような、そんなリーダーになるための力を蓄えていきたい。

 5は継続。きちんと「選択」できるような物事の受け止め方ができるようになること。そして不快な感情を表情に出さない術を身につけること。


 こんなことを考え、意識して今年一年、自分を磨いていきたいと思います。今年もよろしくお願いします。

2022年12月4日日曜日

対談を浴びきった! Voicyフェス 2022

 Voicyフェス2022(10/27-29)に一部参加して、11月はアーカイブを聴きまくり。11月下旬の自宅待機の時にもちまちま聴いて、11月末になって、すべての対談を聞きおわりました。

 対談はすごいボリュームです、そしていろいろな刺激がありました。パーソナリティの一人一人が個性的であるのに加え、対談によって話が深まって展開して更に深まっていくという流れが、それぞれの対談から感じ取ることができます。この3日間+アーカイブ11月分で学んだことは以下の通り。

・自分の価値観だと信じられることは、いわゆる社会の価値観に流される必要はない。特に数的評価指標は、取り扱いに注意すること。数字ばかり見ていても先はない。

・Web3の時代は、個で生きていく時代。組織に所属する・しないではなく、個として生きていく覚悟とその手段に価値がある。

・ツールそのものではなく、その使い方を個の生き方に活用していく発想で経験を蓄積し、視野を広げることが求められる。

・物事の質を追求することと併せて、モノによってはその質をビジネスの視点で広げる発想が求められる。ビジネスが置き去りにされるものは、社会の共有材になり得ない。

・表現されるものの根底には、その人の生き方や、集団の意思が反映される。それらはいわゆる「バズる」とは重なりつつもずれが生じる。ただバズらせればいいというものばかりではない。

・短期間で集中して取り組んで成果を出すことも大切だが、何かを長く、継続することによって成し遂げられることもある。思考を行動に、行動を習慣にするのには、継続することが必要。

・気の持ちようって大事。前向きな気分をつくることで、ポジティブなものが見えるようになる。自分の中に軸を作ることで、他人の批判をうまく受け流せるようになる。

・個人の気分は、自分の思考だけでなく、身を置く場所にも影響を受ける。

・自分にとって、本当に必要なものって何か。それほど必要ないものは手放すことで自分の気落ちが楽になる。


思わずうなった対談のちょっと感想は以下。※あくまで個人的な感想です。●はオンエア中に聴いたもの、■はアーカイブで聴いたもの。★は個人的なおすすめ。一部省略しています。

10/27 StageA

●後藤達也×DJ Nobby 個人経済メディアがくる!

 多様化する時代に、発信側も多様性を意識する。来てもらった人に残ってもらうために求められるのは、人としての品格や信頼感。

●武田双雲×鴨頭嘉人 人を動かすコミュニケーション

 日本を元気にするには、自分が元気になることによってしかない。

●茂木健一郎×ジャルジャル後藤 笑い脳

 舞台に出てきたときに「この人は笑っていいんだ」という感じがあるとウケる。脳科学的には「安全基地があるから、チャレンジできる」いわゆる「安全基地」をどう仕掛けるか。

■茂木健一郎×後藤達也 専門性とネット社会

 世界経済は個人の行動まで影響がある。世の中が変われば、プラットフォームもめまぐるしく変化する。メタバース、音声メディアを含め多様化するツールをどんなターゲットにどう使うか、受け手のリテラシーも問われる。

■西野亮廣×PIVOT佐々木紀彦 時代の転換点の作り方・乗り方

 ブランディング、実績の作り方、見せ方。今後はNFTのウォレットをポートフォリオ化してアピールの材料にするなど。海外でも通用するものと日本でしか通用しないことがある。作品を作るチームの発想。

■渡部陽一×田中慶子 世界の聴き方★

 柔らかい選択肢を自分の中にたくさん持つこと。納得できる自分の環境を作ることになる。通訳は言葉の向こうにあるものを届ける仕事。たくさんの情報を受け取る立場として、「あらゆる情報を選択肢として受け止める」ことが、人生のあらゆる選択の役に立つ。

■渡辺将基×MB 個人の影響力をどう活かすか

 発想の転換も必要だが、とにかく視野を広く保つこと。ただ、拡大によってできることが増えるとは限らない。事業にも適正規模がある。何事にも適切な事業規模がある。基本は個人×個人を大切にすること。

■けんすう×COTEN深井龍之介 人と社会はどこにいく

 歴史は未来予測にはならないが、現代を読み解く膨大な事例集。未来を読み解いた人はいないのに、それでも参考になる、学び続ける人がいる。


10/27 Stage B

■ニシトアキコ×鴨頭嘉人 これからの幸せの必需品

 追うことも、手放すことも、幸せだと思えれば、自分がよければそれでいい。未来が「希望」ならば、今がマルになる。自分の力を超える何か、を知っていると、自分だけの力ではなく、「私たち」の感覚になる。自己否定に感謝はない。

■DJ Nobby×伊藤洋介 日本の政治と経済どうなる?

 若い人にとって政治家が魅力的でない。首長、市議会、県議会には若者が入る余地があるが、国会は今のところ無理。新風に期待を込めてネット民達が票を入れたが、結局なにもやっていない。次は投票そのものがなくなる危険。当選した人たちに使命感が全く見えない。

■ニシトアキコ×朝倉千恵子 自分の魅力の見つけ方

 「人を見て態度を変える」のが好きじゃない。オカマから「あんたみたいな中途半端な女が嫌い」と言われたことをきっかけに、「女性らしい」所作、身のこなしを教えてもらった。男の社会で張り合ってきたが、女性は愛嬌がなければ愛されない。本質は内面、魂の美しさが外面に出てくる。経験を積んで出てくるもの。

●のもきょう×田中慶子 世界を知ると見えること

 正解ありきで自分や社会を見てしまう窮屈さに気づく。語学を学ぶことによって、自分にも、他人にも肝要になれる。なんでもいいや、になれる。世界が広がる。常識が常識でなくなる、境目がぼやける。

●中島侑子×稲垣沙織 私らしく生きる

 理想の自分が「するだろう」判断を積み重ねていくと、理想の自分に近づく。判断基準を自分の中に持つと選択が楽になる。

■箕輪厚介×渡辺将基 猛獣の調理法

 仕事の目的に焦点を当てる。人に好かれる必要はない。迷ったら前に出る。

■佐々木紀彦×猪瀬直樹 社会を変える人を増やすには

 末端が権力を持つことになる。多様な価値が取り込まれないから価値が固まってしまう。

■西野亮廣×けんすう これだから人はおもしろい

 ゼロイチはまず当たらない。今あるコンテンツをうまく利用できる形が望ましい。ダメなものに見切りをつける知恵。

●MB×箕輪厚介 これから来る人おわる人

 数字でバズらせることも大事だが、良いコンテンツをつくりこむことはもっと大事。エンゲージの高い人に長くリピートされるのがストレスのないビジネス。


10/28 Stage A

●阪口ゆうこ×香村薫 私たちは何を目指すのか

 文字は、相手の捉え方・気分によって伝わり方が変わる。相手次第。声は感情が乗せられるからか、影響力は強い。

●香村薫×精神科医Tomy 心の片付け方

 辞める、捨てる、手放すと「楽になる」。生まれてから死ぬまでが「生きている」だけであって、ちょっと良くなればいい。どうでもいい=あるがまま、になると気が楽。

■石田勝紀×デジタルミニマリストあやじま 幸せに必要なこと

 幸せの秘訣。他の人や情報に一喜一憂しない。目に見える評価だけが評価ではない。

●かぜのたみ×まあち これからの暮らしってどうなる?

 がんばらない方が何事もうまくいく。モノを減らして不幸になっている人はいない。

■まあち×ワーママかお 夢の叶え方

 成果がでると、「向いている」とか「才能がある」とか思ってしまいがちだが、膨大な努力や継続して取り組んできた土台がある。とにかく何かを続けること。

■るろうに心理カウンセラー×オノチャンミニマリスト シンプルさって何?

 ミニマリストという生き方。大切なものを見極める。自分にとって、大切と言い切れないモノや習慣、行動を手放すと楽になる。

■朝倉祐介×宇野常寛 インターネット、これからどうなる?★

 Webの世界が、承認の交換増幅装置になってしまっている。自分とモノとの接点を強烈に作っていく、今まで注目されなかった価値観が大事。啓蒙によって価値観をつくる。

■パジ×白木夏子 次の時代の見つけ方

 技術を純粋に理解すると、利用の可能性は未来に広がっている。ブロックチェーンはデータ上に引き継がれるもの。大衆化するものと本質とはズレる。

■企業分析ハック×妄想する決算 忘れられない決算書

 決算書は過去のもの。その企業の安定性は分かる。「儲かる会社」は分からないが、投資で「やってはいけないこと」はわかるようになる。

■川原卓巳×木下斉 これからのブランディング

 日本の価値の適正価格を学ぶこと。世界で言うビジネス感覚と、日本のよさを知ってもらうことは、ズレがある。薄利にしてしまうことに品のなさを感じる。勝ちを褒める土壌は必要。


10/28 Stage B

■くわばたりえ×OURHOME/Emi 今だから言える、暮らしのしくじり

 いろいろやってあげることで、できない子に育ててしまう「しくじり」。自分と異なる価値観から「信じられない」と言われても、自分の中に軸があればショックにならない。

■くわばたりえ×白木夏子 大胆に生きるには

 小さな悩みを自分で大きくしているだけ。あまりにも緊張している人が目の前にいると、一緒に緊張できない。人が集まって、それが安心できる場だと大胆になれる。人に活かされている。チームでやっていく。

●精神科医Tomy×るろうに心理カウンセラー 「今」の受け容れ方

 物事が悪化するのは突然。どうにもできない先のことを考える必要がない。共感と傾聴はほとんど自分でできる。書き出してクリアにすることで整理できる。

●虹色の朝陽×石田勝紀 家族との向き合い方

 あせらない、諦めない。こうしなきゃ、ああしなきゃ、と思わないよう「言い続ける」。日常会話が大事。

■大学教員/スポーツ栄養士ながたか×かぜのたみ 落ち込んだとき、どうする?★

 みんなそれぞれ振れ幅が違う。他者との比較の中で優位性を探すのではなく、自分の状態に思いを巡らすのがいい。理想の自分との比較は奮起のきっかけ。比較「対象」が大事。自分で変えられること、自分ではどうしようもないことの両方があることに気づく。上を見たらきりがない。情報がいくらでも得られる環境で、落ち込むための環境がそろっている。反応するからしんどくなる。

■OURHOME/Emi×川原卓巳 ちょうどいい私らしさとは

 大きくし過ぎない「ちょうどいい」やり方。サイズ感は勝手に超えにくるけど、安易に拡大に走らない。依頼が入りまくる、いい仕事ばかりだと無理しがちだが、適正サイズを意識して捨てていくことが本質かも。

●木下斉×たいろー 社会人これからどう学ぶか

 どうありたいか、もあるが「どうありたくないか」を考える。嫌いなものはそんなに変わらない。やりたくないものをやらずに、軌道修正していく生き方。過剰ラーニングになりかねず、混乱のまま終わることもある。インプットは良質なモノを適量に。

●企業分析ハック×緒方憲太郎 これからVoicyが世界を変えるには

 誰でも発信できること(Web2.0)はいいことだけじゃない。本当にいいコンテンツはユーザーが決める、が成立するのは運営側の思想が浸透しているから。自由の中では、心の弱さがむき出しになる。構成員の質によって結論が変わる。一定の品質保証が保たれている安心感をVoicyでつくる。


10/29 Stage A

■バブリーたまみ×LILY せっかくなので、ぶっちゃけます

 注目を浴びることと、自分が自然でいることとは、一致するわけではない。人間はポジだけでなくネガも存在する。人から批判されること、受け止め方・かわし方はそれぞれ。

■エリサ/ミニマリスト×モンテッソーリ教師あきえ ワクワクの見つけ方

 ワクワクは自分に余白がないと見つけられない。物事を手放したり、整理することで見つかる、挑戦することによって、化学反応のように新しいものが生まれる。

■バブリーたまみ×星渉 シン・自分らしさ★

 「自分に許可を出す」ことが自分らしさ。幸福度は伝染する。自分の敵は大体自分。

■大手町のランダムウォーカー×oishi haru尾石晴 いつまでも学び続けるには

 学ぶには王道を押さえること。必要だから必要なことを学ぶ。自分のタイプを見極める。短期集中の方が効率はいいけれども、長期間継続することで身につくこともある。

■小川奈緒×芳麗 ご機嫌に生きるには

 何をもってご機嫌とするか?不機嫌じゃなきゃいい。ご機嫌の基準を上げすぎると、かえって下がりやすくなってしまう。「ちょうどいい」が大事。言語化できるようになると、俯瞰できるから、解釈を変えることができる。

■竹中平蔵×大河内薫@税理士 お金の教育で社会を変えるには★

 悪人は止められない、善人は味方してくれない。それを突破していく胆力が必要。いつやっても時期尚早。両方から反対されるときは間違っていない。立場によって見え方が違う、物事には両面がある。変えられないことはたくさんあるが、変えられそうなこともたくさんある。

■伊藤洋一×青木真也 死ぬまでにやりたいこと★

 生きていることは存在。存在をつぶしにきたら、徹底的に戦うだけ。相手の存在=大事にしていることは攻めない。尊重。お互いのプライドがルール。

●竹中平蔵×oishi haru尾石晴 次の世代に何を残すか

 開示する。やるべきことも、弱さも。反対勢力を恐れない。自由に生きることを支え続けること。

■大河内薫@税理士×伊藤洋一 私たちで世界を変える★

 社会を変えたい仲間。掟は、人の夢を笑わない。行動は、夢を語る。自治体ハックする。よってたかってトップに届ける。戦う相手は既得権益とそこにしがみついている人。


10/29 Stage B

■ひうらさとる×星渉 知る・届けるの極意

 きちんと届けるには、まっさらな目で見直すこと。脳は「頻繁に起こること=重要」、と認識する。脳は主語を理解しない。ネガティブ表現は自分に跳ね返ってくる。ポジティブ表現で溢れさせると、いいことが見えるようになる。

■LILY×エリサ/ミニマリスト いま私たちにできること★

 自分が管理できる量を超えてしまう苦しさ。苦しさに気づいたから、好き・嫌いで手放していく。強さとは頑固さではなく、透き通った強さ、しなやかさ。

●kagushun@精神科医×かねりん Web3時代をどう生きるか

 Web3は、可能性とともに、今まで以上に人間関係が問われることもある。生き方の選択肢としてのメタバース。新しいことに挑戦する人たちの中で、マウントの取り合いが起こってしまう。

■荒木博行×かほこママ 道に迷えば○○の方へ

 起業(課題解決・ソリューション)には、段階がある。顕在化した課題と、本質に迫る問いとが混在する。時流を読むことも、読まないことも大切。迷わないための、人生の定義。やるべきことを決める。迷う前に続けろ。

■ひうらさとる×荒木博行 今知りたいこと、知るべきこと★

 KPIをどう設定するか?続けることが大切。価値基準を外に求めないようにする。両輪。燃えている人にも左右されず、世の中の「べき」に消されないよう、種火を燃やし続けることが大事。

■Madoka Sawa×プチプラのあや 挫折をどう乗り越えたか★

 自分の挫折を自分で定義して落ち込むのは勝手にどうぞ。他人のことをあれこれ言うのは野暮。できることをやればいい。やれることしかできない。Web3は「個として立つ」世界。ふらふら生きる。どこにも拠っていない。

■たいろー×Madoka Sawa シン・キャリア

 点をつなぐのは意思、自分の意味づけ。挫折を負い目と定義するか、学びと定義するか、これらも自分の意思。「失敗したことがないんですよ。でも、思い通りの結果がでたことはない」という最強の思考。

■青木真也×kagushun@精神科医 戦う心の持ち方

 恐怖は肉体的な怖さではなく、自分の存在が消される怖さ。すべてを出すことが戦う心だと思う。着飾れるから、戦わなくてもいいのが今の世の中。


2022年11月6日日曜日

最近考えること 時代の最先端をいく対談を浴びながら

  先月末に開催されたVoicyFes2022に参加して、今(本日は11/5)でもアーカイブを聴きすすめている。メモをとりながら聴いている対談が多いので、膨大なメモに埋もれているところだ。昨年から何気なく参加しているこのVoicyFesだが、今年は仕事を早く切り上げるなどして参加している。音声配信サイトVoicyのパーソナリティ達が、3日間に渡り対談を繰り広げるというこのイベント。思うところがないわけではないが、基本的には大変刺激的で学び多い、価値観への影響も大きいと思えるイベントである。

 去年も、Webのトレンドや、ライフスタイルに関することに触れる対談はあったが、今年はより広がる深まる対談ばかりである。個別にあげていくとキリはないのだが、現時点で自分なりに集約してみると、

・数値化される価値観、例えばフォロワー数とか再生回数などは、ビジネス視点の立場からは指標として重要といえる。ただ、個人の生き方にとっては検討の余地が大きい。数的評価指標が承認欲求増幅装置となっている雰囲気も見え隠れしているのが現在といえる。

・Web(2.0)において、個人が世界中に向けて発信できる環境が整ったといえる。そこで人間が全体的に賢くなったかというと、そう言っている人はいない。些細なこと、ちょっとしたこと、どうでもいいことにコメントをつけることで、コメントをつけた人の自己満足を満たす(可能性がある)だけであって、対象事象・物とつながって深めていくような使い方ができている事例は「探していかないと見つからない」。

・ビジネス視点と物事の質の視点というのは、関連しながら異なるもの。車の両輪のような関係にある。数的評価指標として見える化される物事は、ビジネス視点の立場で世界を見るヒントにはなる。物事の質の視点というのは文化を作る原動力となるものであって、日本においては「本質を極める」という文脈で語られることがある視点である。現在の日本では、後者に重きを置く動きはあるが、前者(ビジネス)が置き去りにされている。

・Webツールは、人生にも影響を与えるものとして位置付く。ただ、本質を外した使い方ができるものでもあり、むしろ世の中の話題はそういったことに注目を集めていく。いわゆる話題性(バズる)という価値観が増大していく。

といったことを感じ取っている。

 おそらく、自分にとってはいい刺激を一杯受けているのだろう。もちろん、何十人も対談者がいるわけなので、私の価値観には合わない人もいないわけではない。どうにもかみ合わない、と感じる対談があったのも事実。ただ、そういった内容のものであっても、それを一旦自分の中に取り入れることで、価値観がより立体感をもって、世の中の視野が広がるような気がする。チケット代3,800円をどう考えるか、であって、これを高い、と断じるのは簡単だけれども、私にとっては「気に入った対談が3つもあれば元をとれる」と思える内容です。

 気になる方はチェックしてみてください。私は来年も参加予定です。今年の対談も11月中はアーカイブで聴けます。

2022年11月4日金曜日

中川なをみ作、白石ゆか絵『マグノリアの森』あかね書房、2022年。

 図書館シリーズ。小学生高学年~中学生向けの小説は、病院の待ち時間とかで読めてしまうので手軽でよい。『屋根に上る』ですっかり味をしめてしまった。
 幼い頃から気管支が弱く、ぜんそくっぽい症状のある卓(たく)。父親の転勤が中国に決まり、身体のことを考慮して海外へは行かず、田舎で暮らす祖父宅で暮らすことになる。都会から農村への生活の変化、人間関係の変化の中で、自分を見つめて開放していく物語。
 とはいえ、祖父宅で幼い頃からの知り合いアズサとの関わりと、祖父が大切にしている山の花畑に植えられたマグノリアの花々、生活環境の変化に伴う体調の変化から、それぞれが好きなこと、歌うこと、踊ること、踊ってみることを見つめ直し、生活を変えるきっかけにしていく様子を描いた一冊。大変手軽で、表現も平易、穏やかに物語が進行するので、安心感のある物語である。
 文学は、感情描写が背景描写に表れる、と高校の時に習い、そういうものだと思って読んでしまうが、児童文学の一部には、伏線だと思っていた表現がそのまま放置されてしまうかのように読めてしまうことがある。これは単純に背景を切り取って描写していると読めばいいのだろうと、最近になって思えるようになってきた。単純に物語を楽しむことを最近になって思い出している図書館シリーズでした。

かみやとしこ作、かわいちひろ絵『屋根に上る』学研プラス、2021年。

 図書館シリーズ。最近は、次女(小学校2年生)が読めるもの、だけでなく、自分がさらりと読めるもの、も選んでいる。本書は後者。題名もさることながら、表紙のイラストと内容をパラパラ見たところで借りてみた。

 中学生男子のちょっとした人間関係に、祖父と接点のあった高齢男性(田村さん)とその大工仕事が関わってくるお話。思春期手前のもやもや感をそのままに、大人が大人の理屈と子どもたちに寄り添う様子を描いている。ちょっと関わりがとがった感じのある友人一樹とのやりとりを中心に、主人公の思いや田村さんの気遣いが暖かい。

 心があたたまる読み物に触れるようになり、こういうティーンズ向けの小説って、若い時にもっと読んでおけばよかったなぁとも思うようになる。シンプルな言い回しの中に、ちょっとした心の動きが描かれていて、それでいて本当の意味での悪者がでない、どこにでもある日常にちょっとしたドラマがある。ほら、実際の生活は小説より奇なりとも言えるくらい、身近なところにいろんなことがあるだけでなく、いわゆる「普通の生活」にも人は迷うことがあり、合理的でない行動をとる。その背景には、それぞれに様々な思考があるわけで、こうした小説にはそうした「普通の生活の中にある心情」が描かれている。悪者が出てこないので、読んでいて心地いい。

新井紀子『AIvs.教科書が読めない子どもたち』東洋経済新報社、Audiobook版。

 以前、キャッチーな題名と、AIの認知度が高くなってきた背景から、ベストセラーになっていた本。聴取のタイミングと、『僕とアリスの夏物語』の読書時期とが重なったので、相乗効果も手伝っていくつかのことがわかった1冊。

 AIは人間の脳機能とは異なるしくみで機能している、ということを様々な角度から説明している。基本的には、人間の脳が物事の「意味」を理解して出力することができるのに大使、AIは基本的なしくみが数学にあるため、論理・確率・統計が現時点での限界となっている。もちろん、数学的な思考によって現在の枠を超える可能性はあるものの、数学によって記述できないことは、現時点でAIの機能として期待することはできない。特に「意味」の理解と出力については、AIの深層学習によって身につけることは現時点では不可能であると結論づけている。

谷口忠大『僕とアリスの夏物語』岩波書店、2022年。

 Amazonポイントアップセールの時に、後1冊購入したいタイミングでリストの上位にあった1冊。小説とAI解説、というキャッチコピーに「わかりやすいかも」という期待を込めて買った本。新井氏の『AIvs.教科書が読めない子どもたち』とも相まって、自分の中でのAIに関する理解は少し深められたのだと思う。

 物事を「認識する」ということに焦点を当ててみると、人間の脳がいかに多様なものをいかに質的に分類しているのだと気づかされる。質的な分類というのも、A=Bといった単純な結びつきではなくて、その要素を分解し、部分や全体を自在に他の事物と様々な形で意味を持たせて結びつけている。しかしながら、AIの理解というのは、(1)コンピューターの言語に置き換えられる事・モノであること、(2)テキストデータとの結びつけは可能だが背景となる言葉の意味までは把握・理解することはできない、という特徴がある。また、本書後半の物語で表現されるように(3)人間の生活には、論理では(今のところ)表現しきれない矛盾が無数に存在している、という限界がある。

 解説部分は、雑誌記事のような専門的な内容を含みつつも、一般向けに説明を試みている。今まで読んだAI解説の中では、大変わかりやすい内容であった。それを補ったり、発展させたりする意味で、本書の物語の果たす役割は大きい。

 AIに関する理解を深めることと合わせて、人間の認知(機能)の理解を深めるのにも訳に立つ1冊といえる。

瀧本哲史『ミライの授業』講談社、2016年。+Audiobook版

 著者の瀧本哲史(たきもと・てつふみ)氏は、2019年に若くして亡くなられましたが、『僕は君たちに武器を配りたい』がベストセラーになり、注目されるようになったエンジェル投資家、経営コンサルタントで、京都大学で教鞭をとっていたことでも知られています。

 「ミライの授業」といいながら、本論は古今東西有名無名(無名といっても知られていないだけ)の伝記。でもテーマは、今を生きる若者(14歳の中学生に行った講演録、とのこと)に未来を切り開くための知恵を語るもの。

 歴史をひもとくことが、未来を語ることになる。その歴史は、聴く人・読む人にとって人物像だけでなくエピソードが魅力的であることが大切です。古代から現代までの19人を描きつつ、未来を生きる中学生(14歳)に語った講義録です。伝記として取り上げられる人の生き様は、これからを生きる現代人であっても参考になることばかり。参考になるように瀧本氏が見事にデザインした講義を展開しています。

 今年(2022年)もっとも感銘を受けた本といわれたら、この本を挙げます。歴史上の著名人について、その功績の要点を説明しながら、これからの社会を生きる若者に向け、変化の時代を生き抜くためのヒントを示し、その伝記とヒントを結びつけて、自分を見つめ直すことと、一歩踏み出すことを説く講義です。これはライブで聞いた中学生には響く内容なのではないか、と感じるほど、活字で読むのであっても迫力のある内容でした。