2022年11月4日金曜日

瀧本哲史『ミライの授業』講談社、2016年。+Audiobook版

 著者の瀧本哲史(たきもと・てつふみ)氏は、2019年に若くして亡くなられましたが、『僕は君たちに武器を配りたい』がベストセラーになり、注目されるようになったエンジェル投資家、経営コンサルタントで、京都大学で教鞭をとっていたことでも知られています。

 「ミライの授業」といいながら、本論は古今東西有名無名(無名といっても知られていないだけ)の伝記。でもテーマは、今を生きる若者(14歳の中学生に行った講演録、とのこと)に未来を切り開くための知恵を語るもの。

 歴史をひもとくことが、未来を語ることになる。その歴史は、聴く人・読む人にとって人物像だけでなくエピソードが魅力的であることが大切です。古代から現代までの19人を描きつつ、未来を生きる中学生(14歳)に語った講義録です。伝記として取り上げられる人の生き様は、これからを生きる現代人であっても参考になることばかり。参考になるように瀧本氏が見事にデザインした講義を展開しています。

 今年(2022年)もっとも感銘を受けた本といわれたら、この本を挙げます。歴史上の著名人について、その功績の要点を説明しながら、これからの社会を生きる若者に向け、変化の時代を生き抜くためのヒントを示し、その伝記とヒントを結びつけて、自分を見つめ直すことと、一歩踏み出すことを説く講義です。これはライブで聞いた中学生には響く内容なのではないか、と感じるほど、活字で読むのであっても迫力のある内容でした。