2008年12月21日日曜日

森博嗣『ナ・バ・テア ――None But Air』中央公論新社、2005年。

『スカイ・クロラ』シリーズ第2弾。
http://iyokiyeha.blogspot.com/2008/09/sky-crawlers2004.html
(2008年9月9日投稿)
やはり、独特の世界観は変わらず。
飛ぶために生まれてきた「僕」と、大人になった「彼」との物語。
「キルドレ」の姿が、少しずつ輪郭を持って立ち上がってくる。
とはいえ、謎は謎のまま、物語は進行していく。
不思議な感覚に漂うような、浮遊感のある小説だった。

どうして、普通のものを決めるのだろう。
普通を決めるから、普通じゃないものができてしまう。
理不尽な話ではないか。
何をもって普通なのか。
意味はないのに。
そういう確固とした理由もないところで境界を無理に作ろうとする姿勢が、普通という馬鹿なやつの正体だ。
(186ページより引用)

淡々としているのに、なぜか物語に引き込まれてしまうような感覚があるのは、『スカイ・クロラ』と同様。

おすすめ度:★★★★☆