2023年12月10日日曜日

(再掲)加藤アカネ『ANAのVIP担当者に代々伝わる心を動かす魔法の話し方』サンマーク出版、2019年。

  Audiobookで聞いてみて、これはいい、と文庫版を購入。題名からクレーム対応の具体例をイメージするのだけれども、読んでみて(聴いてみて)感じたことは、思いのすれ違いの間に介入するときの技術、が詰まっている一冊であるということ。

 いわゆるクレームclaimって、苦情とか注文って訳されるけど、自分の意にそぐわないことに対してもの申す訳ですから、前提としてその人に何らかの思いがあって、それが充足しない状況がある、というのが前提ですよね。それを仲裁する、win-winにする、どちらの不満も増幅しない、円満解決のためには、その状況に飛び込んでいく必要がある。ただ、そういう状況下では、すでに張り詰めた糸を弾くような場面ですから、弾き方にはコツが要るわけです。そのコツとは、糸が切れないように相手や状況との接点を作って補強していくためのいわば技術(スキル)というわけです。

 誰にも責任を押しつけない言い方だけでなく、意味的にもお互いの間に入り込んで結びつきをつくる、あるいは入り込んだ上で穏便に離れていただくような、そんな言葉とその対応に潜む対人関係の極意で一杯な一冊です。

 IyokihehaはAudiobookで聴いた上で、書籍も読みたくなって文庫版を購入するにいたりました。どのエピソードも勉強になって、考えさせられます。要は、言葉選び+相手の立場に如何に寄り添えるか、ということかと思いました。