2023年12月10日日曜日

ジョージ・ルーカス原案、槐多康彦著『赤い情熱 ヤング・インディ・ジョーンズ14』文藝春秋、1993年。

  20年以上ぶりに再読したシリーズ最終刊。ロシア革命に巻き込まれていくインディの活躍を描く。この話のモチーフになっているロシア革命って、教科書ではよくわからないし、専門書なんか読んだって言葉がそもそも分からない、そもそもといえば現在のウクライナ侵攻にも言えることだけどロシアの思考とか雰囲気って知っているようで知らないよね、ということに嫌でも直面させられる。そんな知識が前提だから、結局のところインディがどの立場でどう立ち回ったかということは、わかったようでよくわからない、というのが読了した印象だったりする。

 革命前夜に、急進的な活動を進める若者達と交流ができる。諜報部隊として彼らと関わるインディは情報収集の目的で深入りしていくのだかれども、友情や愛情が芽生えるほど情が移っていく。そんな中でインテリジェンスとして得た情報とは反発する活動を煽動していく若者達との間で、一瞬の不和、そして起こる悲劇。そんなフィクションを時代を行き来しながら語るジョージ・ルーカスの手腕に、改めて脱帽する。時代背景がもう少しイメージできるともっと面白いのかもしれないが、そうでなくても小説として成り立っているのが、また興味深い。30年越しの楽しい読書でした。

 このシリーズ、歴史感覚に自信がついたら、もう一度読んでみようっと。