2022年6月19日日曜日

ジョージ・ルーカス原案、横田順彌著『東洋の秘術 ヤング・インディジョーンズ9』文藝春秋(文春文庫)、1993年。

  シリーズ9作目。若き日のインディの活躍・・・と書きたいが、本編は中国の農村で、毒蜘蛛にかまれて寝込んでしまうお話。その治療に東洋医術が施される、というのがあらすじ。

 背景は1900年代初めの中国。万里の長城で出会った三船敏郎が、インディの落とし物を届けようと農村に向かう途中で出会う毛沢東など、若き日の歴史上の人物もとりあげて、読み物として面白くしているのが、わくわくさせる。表題の「東洋の・・・」は話の筋から言えば東洋医術のことなのだろうけども、インディを休ませてくれた農家の借金取りを撃退した三船の柔道や、農家のあたりまえの等身大のもてなしが言葉の通じない人々を結びつけていく様なども含めているのだろう。

 以前、読書感想文でとりあげたくらいに読んだ小説なのだけれども、大人になってから読んでも面白さはそのまま、歴史的な背景などが読めるようになると、面白さも深みを増すことを感じた一冊でした。