2019年2月2日土曜日

働くことコラム03:求人の見方

 前回、「事務職はパソコンに向かう仕事じゃないぜ」って話を書いたので、就職活動の話へ進む前に、ちょっと寄り道。

 「事務職」って聞いて、どんな仕事を思い浮かべますか?
 関連して、
 「軽作業」って聞いて、どんな仕事を思い浮かべますか?

 職場によってこんなに内容が異なる言葉も珍しい。ただ、企業としてはこう書かざるを得ないから、こういう表現になっているのだろうし、こういう表現でしか募集できないから、職業紹介業務が人の仕事としてあり続けるのだと思います。
 確かに「事務職」って聞いたら、オフィスの中でパソコンに向かっているイメージでしょう。それは間違っていない。ただ、そこで行われている処理は、「その会社の維持に必要なことを分業している」に過ぎないわけです。何が言いたいのかというと、その会社なり組織を「維持するための仕事」がわからなければ、そこで行われているパソコン作業は「データの入出力」でしかないわけです。そしてその作業を表す求人票上の文言は、正しくは「事務補助」や「データ入力」です。業界用語で「キーパンチ」なんて呼ばれることもあります。手書きのメモをデータ化する、リストのデータを定められたフォームに入力する、これらは「事務補助」か「データ入力」業務として表記されるべきでしょう。
 さらに踏み込むと、その会社で扱っているものやサービスによっても意味が変わってくるものがあります。もちろん事務職、事務補助、データ入力などもその企業や組織の在り方によって、内容は異なります。この点では「軽作業」の方が特徴が出やすい。
 以前、こんな相談がありました。
 「『軽作業』って書いてあったのに、扱う荷物には重いものもあるので、また腰をやっちゃったんです。『話が違う』って言ったんですが、とりあってくれなくて…それで、もう無理、と思って辞めました。」
 Q「その会社って、何を扱っていたの?」
 「運送会社だったんで、いろいろありました。」
 Q「…」
 私は雇用問題には敏感だと思っていますが、これは相談者の誤読と、紹介相談や面接で何を聞いたのか、どんな助言をしたのか・しなかったのか、ということがとても気になりました。
 「軽作業」で求人を出している会社の扱っているものが、小物やアクセサリーなら、きっと細かい作業になりそうですよね。でも、運送会社で、扱うものがメール便(古いか!)と限定されていなければ、重量物を扱うなんてことは、容易に想像がつくでしょう。そもそも、就職活動の時に確認すべきだし、診断がつくような腰痛もちならば、そのことは応募書類に記載するかどうかは別として面接の話題にはしてもいいんじゃないかな。

 私の職歴には、そんなにまずい職場はありませんでした。聞く話によればしょうもない会社もいい会社もいくらでもあるようですが、ちょっと立ち止まって考えた時に、そもそも自分の期待を押し付けていたりしていないだろうかと、謙虚に振り返ることも大切じゃないのかな。私みたいに「(人事と評価は人がするものだから)事務職採用ですから、何でもやりますよ。」っていうのでなければ、ですが。