2009年6月14日日曜日

國分康孝『カウンセリング心理学入門』PHP研究所、1998年。

仕事に関する勉強しなおしプロジェクト第3弾は、カウンセリング技法そのものを振り返ってみることにして、本書を選択。
理屈だけでなく、思い込みでなく、クライアントの「行動」に注目して、その変容を図るための様々な技法を「カウンセリング」のプロセスの中に求める。
一対一の技法だけでなく、集団や文化的な背景を視野に入れて、現実に即した課題解決を図る上で、「カウンセリング心理学」の視野の広がりは、各論を学ぶ基盤となるように思われる。

Iyokiyehaの現職は、様々な障害を持つ方と接するわけだが、その障害特性を問われた時に、改めて「教科書は役に立たない」と感じる。
自分のアセスメント技法を磨く必要は、当然あるのだが、それだけでなく「今、目の前にいる『その人』」を、どう把握するか。如何に本音に近づくか、与えられた環境に如何にマッチングさせていくか、と考えた時に、結局のところは「目の前」に返っていく。
その時に、クライアントだけでなく専門職の立場として問われるのは、専門的な知識だけではなく、現実に即した生きた情報であることは、疑いのないことだろう。
そして、そうした生きた情報を得るためには・・・と考えていくと、「役に立つ知識こそ真の知識」とするカウンセリング心理学が有用となるように感じる。
問題の「記述」「説明」「変容」を目指す心理学として、國分氏が提唱する心理学の一領域である。

「職場適応援助は、本人に対する『指導・助言』ではなく、『環境調整だ』」と感じるこの頃。
入社してすぐくらいに購入して書棚に眠っていた本著から、今このタイミングで学んだことは、今後の情報収集のハブになるだけでなく、カウンセリング技法を支える概論としても、充分に役に立つものだった。


おすすめ度:★★★★☆(対人業務に就いている人におすすめ)