2020年3月8日日曜日

AudioBook聴取記録(200101~200308)

2020年に入ってから聴いたオーディオブックについての記録です。

○枡野俊明『傷つきやすい人のための図太くなれる禅思考』文響社
「図太い」という言葉の本質を、仏教、特に禅の考え方から説く。「動じない、過去や未来にとらわれない、今にこだわる」。「ありがとうさん」「いろいろ聞いちゃうと、ねぇ、あれだろ」など、実際に使えそうな小ネタから、呼吸法の効果・効能まで、実生活、個人に焦点を当て「自分が楽になる方法」を教えてくれる。禅僧ってすごいな、と素直に感じさせられる。

○山本昌作『ディズニー、NASAが認めた 遊ぶ鉄工所』ダイヤモンド社
「楽しい」か「楽しくない」か、楽しい仕事しかやらない。
少量多品種にこだわり続け、「人がやるべき仕事」「人が育つ仕事」にこだわる鉄工所の経営の一部を描いた作品。徹底した標準化、機械化により、半年で旋盤のプログラムを作ることができるようになる教育体制がある。「人の能力」「人を育てる」ことにこだわり抜いている経営は、聞いていてある種の理想型のように感じる内容だった。

○角田陽一郎『「24のキーワード」でまるわかり!最速で身につく世界史』マスコム
自分が通史に自信がないので、著者の主張を活かしきれていない感じはあるが、「思想」「お金」「病気」「水」など、注目されるキーワードを起点に、歴史を記述しなおしている。
・歴史を考える時に、現代とは何もかもの背景が異なる(かもしれない)ことを常に意識することが肝要といえる。その時代を生きる人の生活に関するイメージを作って歴史を読み解いていく姿勢を学んだ。

○鈴木大介『最貧困女子』幻冬舎→Kindle版購入
「再貧困」を、収入額だけでなく、家族・地域・制度(社会保障制度)の三つの縁からの分断であると定義する。これらの縁がなく、日銭を稼がなければ生活が立ちゆかなくなる(と思い込んでいる)人がセックスワーク周辺にいることを可視化する。著者は現在高次脳機能障害の当事者として自分自身を見つめる著作も上梓されているが、元々はこうした「見えない人たち」を可視化することにこだわったルポライターである。「本当に支えを必要としている人に、支援が行き届いていない」という主張には、福祉に携わる身として響くものがある。現場で薄々感じていることではあるが、確かに「行き届いて」はいないと気づかされる。

○内村鑑三『後世への最大遺物・デンマルク国の話』岩波書房
帝国主義時代に、事業の本質や海外事情を紹介する講演録。背景がつかみきれておらず、内容要約が困難。

○ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』上・下、河出書房。
テクノロジーの進化が、人命救助から、アップグレードへと目的がすりかわりつつある。
金銭を積めば、「有利な選択」ができるようになる。
それが、何をもたらすか。
自然中心が人間中心になったように、人間中心が情報中心アルゴリズム中心データ中心になるかもしれない。
データとアルゴリズムが、人間を支配するかもしれない。
データが宗教へ

○稲田将人『戦略参謀の仕事 ープロフェッショナル人材になる79のアドバイス』ダイヤモンド社。→書籍購入済

○玄侑宗久『サンショウウオの明るい禅』文春文庫。→良書。絶版。

○長岡弘樹『教場』小学館。
警察小説。人間関係の中に、上司と部下、そして「見抜かれている感覚」が随所に表現されている。怖くもあり、興味深くもあり。人間の内なる感情に触れる小説。

○岡田尊司『愛着障害』光文社。→Kindle版購入
従来の精神疾患の診断に、「愛着」という視点を組み入れることで、当事者と接して感じてきた違和感を理解するための補助線を一つ手に入れたような気がする。かかわり方について具体的な提案がされていることも特徴といえる。

○中川毅『人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか』講談社。
研究過程が詳細に説明されている一冊。歴史それも自然史を10万年という膨大な期間で研究・記述している。内容は一般向けとはいえかなり難解であった。気候変動が単に二酸化炭素の増加によって起こっているという単線の理解にメスを入れながらも、様々な取り組みが必要であることを説いている。

○石川拓司、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」製作班『奇跡のリンゴ「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録』幻冬舎。→書籍購入済
事を起こす(無農薬栽培)には、膨大な背景があった。「やるべき」と考えることにまっすぐひたむきに取り組む、木村氏の思いと行動は清々しい。
虫(害虫)との闘いも、収入がなく生活が困窮することもつらいだろうが、何より「周囲の無理解」が木村氏を苦しめたのだと思った。とはいえ、周囲は周囲で生活がかかっていたのだから無理もない。それを覆していった過程(プロセス)が記録されている一冊。

○吉野源三郎『君たちはどう生きるか』岩波文庫、1982年。→書籍購入済

○下園壮太『自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる方法』朝日新書、2013年。

○清水健『112日間のママ』小学館、2016年。→良書Kindle版購入