2010年3月1日月曜日

自分の立場をわきまえる。

クライアントの話を受けて、その内容に寄り添いながらも、必要なことはきちんと伝える。
こういったやりとりができること、それがすなわち「専門家」と呼ばれるゆえんなのだろう。

発達障がいを持つ方の援助計画を、それまでの歴史をいわば無視した形で立てようとしたことについては、その内容が果たして対象の方にとって本当に効果的だったのか、ということまで遡って考えさせられた。

視覚障がいを持つ方(弱視)のカウンセリングにおいて、その方の「見えなくなることへの不安や恐怖」というものを、論理的には把握していたつもりだけれども、相談の質問や職場適応援助には十分に反映されていなかったことに気づかされた。

いずれも、見えないものやことを、いかに当事者に寄り添って正確に把握しようとするかということにかかってくる。
想像力で「行間を埋めること」が大切にはなるのだけれども、専門家という立場を利用して漫然と考えるのではなく、あるかどうかわからない、また言葉という「記号」を使って意識化できるかできないかわからないものを、いかにして相談場面のテーマに設定するか。そして、発現を束ねて少しずつ概念形成してフィードバックするスキルというのは、カウンセラーという仕事をする上では、必要不可欠な内容であると思われる。

ここ数日、しでかしたヘマや、スキルの高いカウンセラーの相談場面に同席する機会があり、よく考えさせられた。