2010年3月15日月曜日

2010年 JC-NET会議 3/14

http://www.jc-net.jp/
(Web:JC-NET)

よくも悪くも刺激的な集まり、二日目。
私の所属する機関への批判的な意見や、説明の甘さなども見え隠れしたこともあって、来年以降のこの会議への関わり方も、少し考えなければならない。
毎回そうなんだけど、来年度の目標ができました。
・事業所担当者との相談が自信を持ってできて、その内容に基づく調整や助言ができるようになる。
・他機関とのペアでの支援を円滑にできるようコーディネート役にもなれるようになる。
・カウンセラーの業務の可視化と、そのアピールがクリアにできるようになる。
・単一の雇用支援プロセスではなく、肝を押さえて、いくつかのパッケージに流れを整理する。

○実践発表分科会1 「現場からの実践報告1」
(1)山梨県の障害者就労施策について 福本康之氏
(2)すみよし障がい者就業・生活支援センターの取り組み 森屋直樹氏
Iyokiyehaの前任地、山梨県における障がい者就労支援に関する動向をまとめた内容です。
もちろん、渦中にいた頃には、Iyokiyehaも所属機関内外で発言をしていたところもあったのですが、その中で、現在も手探り状態で前進を続けている二人の中心人物からの報告です。
実際に、いろんなことを言われる方もいたけれど、「想いがしくみをつくる」ことの一つの貴重な事例だと思います。
たまたまその「想い」を持った方が、行政職員だったというだけで、逆に行政職員だからこそ、周囲とのコンセンサスを得るのに、多大な苦労をされているのだと感じました。
そして、そのしくみを必死になって切り盛りする、就業・生活支援センターの施設長のスピーチも、現場での奮闘の様子が垣間見えたように思います。
がんばってますよ、山梨県。
興味のある方は、ぜひWebサイトもごらんください。
http://www.hatarakikai.net/
(Web:はたらき甲斐net)

○ワークショップ「ジョブコーチのスピリットが地域を変える」 小松邦明氏(コーディネート)
座談会(インタビュー)形式で、ある取り組みのキーパーソンを深く掘り下げる取り組み。内容もさることながら、方法が面白すぎた。
JC-NETでは、就労支援の実践者や企業担当者など、障がい者の就労支援に携わる方の熱い想いや行動の原動力となる根源的なものを「スピリット」と表現します。
各地で活躍されている実践者の「スピリット」の原点は何なのか。
小松氏が、インタビュー形式で掘り下げて、自ら「スピリット」を言語化していく過程が、とても興味深く、こういう話はじっくりと聴く機会を作らなければいけないと思った。
JC-NETのワークショップには、こういうものもあるから好きだなぁ。フリップの内容(今、一番大切にしているもの)も、導入の部分だけだったし・・・

気になるやりとりの抜粋は、以下の通り。
(まとめの部分)
・正しいと思ったことは、粘り強く続ける。
-こだわりを強く持つ
-感性を大切にする=自分を信じること
・ON-OFFを切り替える。
-「ダメだな」と思ったら、忘れずに休んでみる
・すぐに変わらなくても、「マメに」伝え続ける。
-失敗を伝える
-目指すところが何なのか、ということは何度も何度も伝える
(人が集まる場)
・何かを「作る」ための打ち合わせは、その内容よりも「集まる」ことの意味を考える。
・直接やりとりできる場で、声をかけ続けることが大切。
-「伝えるだけ」にも効果はある。積み重ねが大事。
-「また来てね」と「頼りにしてます」
・伝えるべきことは、整理して「現状」と「(対策案の)メリット」を伝える。
-こんなですよ。こうすればこうなりますよ。これだけ得しますよ。
・「ありがとう」といいながら、宣言する(あるときには、グループを線引きする)
(心構え)
・すぐに動く、隙間を埋める。
・何事も、自分の手柄にせず、「おかげさま」。
・あるときは、陰になり、あるときは日向になる(使い分け)
・釘も出すぎりゃ打たれない。

○シンポジウム:ジョブコーチのみらいを考える 司会:小川浩
シンポジスト
□中村淳子、酒井大介、松尾江奈、中谷美由紀
もっと、ジョブコーチの概念や理想についてガンガンやりあうかと思ったのだけれども、意外にも仕組みの話で盛り上がってしまったのが残念でした。
っつーか、誰だよ、質問のネタになっている同業者は?
おそらく現場レベルで、いろんなことがあるのだろうと察するので、身内批判はやめておきますが、少し残念な流れでした。
とはいえ、内容は濃く、いろんなことを考えさせられました。
シンポジウム全体としては、目指すべきジョブコーチの理想として、
・そもそも、「ジョブコーチ」は、就労支援を広げ・深めるためのキーワード(単に肩書きではない)。
・就労支援全体のプロセスを知った上で、専門性(立場や役割によるところを含む)を発揮できる支援者が必要。
・全てを一人で実施できる「スーパージョブコーチ」が理想だが、現実には難しい。
・チームで役割分担する時など、そのつなぎを円滑にする役割(スーパーバイザー)の存在は重要である。
・助成金制度は、上記のマネジメントの部分が対象となっておらず、集中(直接)支援のみが対象となっている。

ただ、こういった場で、小川氏の言う「ジョブコーチ」の真意をどれだけの人がつかめているのかということや、心地よい「相手不在の攻撃」によって雰囲気が容易に広がってしまうことに対する怖さも感じた。
今後の業務で、以下の点については再考する必要がある。

・雇用支援プロセスの複線化。
・職業センター業務を伝えていく必要。
-職業評価をどのタイミングで、どんな方法で行うのか?
現在の多くの理解は、検査と客観的な職業能力把握、ジョブコーチ派遣を依頼するための条件、重度判定、くらいにしか思われておらず、地域センター利用のメリットが広がらない認識に留まっている。
職場に行く前に一般的な職業評価を実施するのか、調整の中で、職場内における職業評価を組み込むべきなのか、といったことについて、再考の上、整理し、実践に結び付けていく必要がある。
また、職業センターの業務として、事業主支援がすっぽり抜け落ちて認識されている。カウンセラーの専門性は全く伝わっていないし、関係機関とペアで狭義の「就労支援」と狭義の「雇用支援」を補完しつつマネジメントしていくことは、必ずしも周知されていない。今はその両方をできる器用な人がなんとかやりくりしているが、今後はこの部分が専門分化していくことも考えられる。

・第2号職場適応援助者
-研修を受講する意味
-研修効果
企業としては、助成金受給のために研修を受けるというよりは、スキルや考え方を身に付けることと、「ジョブコーチの研修を受けていますよ」というステータスが欲しい。併給調整や、助成金請求の煩雑さで、助成金の額が果たして妥当なのかということを、多くの企業は考えている。
障がい者雇用について「本音で話ができる」ことが望まれており、この窓口として2号研修を受講する目的がある(だから、機構研修よりも、民間研修のニーズが高い)。