2010年3月14日日曜日

2010年 JC-NET会議 3/13

○キーノート・スピーチ 小川浩
恒例、小川氏の基調講演。
スライドの作り方や、話の仕方、制度改革の論点など、45分なのに内容の濃い講演だった。
個人的に押さえておく点は以下の通り。
・障がい者制度改革の動向。
(民主党障がい者政策プロジェクトチーム:自立支援法の後、どうなるか)
・大切なことは変わらない。ノーマライゼーションの推進、インクルーシブな環境で雇用されること、支援の質の向上。
・就労移行支援事業の動向。
(特に、職業リハビリテーションとの違いをどのように整理するか)
○ワークショップ1-1 企業へのプレゼンテーション
JC-NETの面白いところは、ワークショップに一工夫見られること。
この内容そのものを評価することには、実はそれほど意味が無いように思うのだけれども、スキルの伝達や、共に考える「しかけ」を学ぶ上で、とても参考になった。
今回のテーマは、企業へのプレゼンテーション。
以下の点が印象的だった。
■企業担当者の視点
・訪問者(ジョブコーチ)と、継続して付き合うメリットがあるかどうか、が、評価の基準になる。
・障害イメージ(MR、MD、CODY、PDDなど、見えない障害は特に)をいかに説明するかが、テーマになることも。企業担当者が障害イメージを持っているとは限らない
・障害の説明をする場合、マイナス面(ハンデ)ばかりではなく、障害特性として「こういうことはできる、得意」ということを伝えられると安心できる。(映像の活用なども話題に)
・担当者レベルでは、「上司への説得材料」がほしい。
-コスト(助成金:種類と金額の概要を具体的に、正確に伝える)
-リスクヘッジ(雇用のリスクを、いかにサポートできるか:制度的、人的)
-他社の事例(見学の企画も含める)
-メリット(企業によるが、宣伝効果なども含め)
・キラークエスチョンの一つ、「附帯業務は誰がやっていますか?」
・そもそも「なぜ障害者雇用をしなければいけないのか?」という問いがあることも多い。
■ジョブコーチが押さえておくべきこと
・訪問目的の明確化。
・どんな支援ができるのか、担当者がイメージできるようわかりやすく伝える。
・曖昧表現(「いろんな人がいて・・・」「人によって違うので、一概に言えないのですが・・・」など)は、使い方に気をつける。相手がイメージを欲している時には、典型例をはっきり伝えた方がいい。
・対象者の「今」だけではなく、「成長」を含め見ていただけるよう申し入れをする。
・通常の雇用ルートとは違う場合(支援機関とのかかわりが少ない場合など)一般的な雇用ルートと違うことの意味をきちんと説明する。
○ワークショップ2 障害のある人の就労支援の制度を生かすみち
就労支援の関係機関と制度を学ぶ、パネルディスカッション。
制度という「カタい」内容を、「ゆるい」やりとりで説明するもの。
こういうワークショップも悪くない。
ただ、正確に知らなければいけないこと(雇用保険の加入用件や、トライアル雇用期間中の保険加入など)について、地域性があることを含めもやもやしたまま流れてしまったのが、残念。
労働行政を熟知した人を、パネラーに据えるべきかと。
もう一つ、取り組むべき点として、障害者職業センターの役割について、きちんとわかりやすく説明する積み重ねが必要であるということ。
また、今回のパネラーにも積極的になるべきだと思った。
というのも、福祉機関から見た職業センターは「判定(重度)するところ」「検査して、職業能力を評価すること」「ジョブコーチの派遣をする」程度の認識でしかなく、そこには、カウンセラーによる調整機能や、事業主支援の視点は全く含まれていないことが大半である。
こういった説明が、就労支援を目指す機関に垂れ流しになってしまうことによって、利用の目的は曖昧に、そして利用するメリットがが感じられなくなってしまう。
いくら宣伝を打っても、スプレッダーをおさえておかないと、その認識は勝手に全国へ広まってしまう。
今後、ウチの組織が、本気で取り組んでいかなければならないことになっていくと思う。