2010年3月1日月曜日

神田昌典『全脳思考 -結果と行動を生み出す1枚のチャート-』ダイヤモンド社、2009年。

経営コンサルタントとしての活動の傍ら、ビジネス書や小説、翻訳書の執筆他、多彩な活動をされている著者が、この10年間の区切りとして執筆したという渾身の書。
半年くらい前に書店に平積みになっていた分厚い本です。

読み応えもある本なのだけれども、表現が多彩で事例も多く、非常に読みやすい。
実用的な内容も、洗練されると、そこには美しさがにじみ出るかのような、流れるような書き口が理解を促進する。
ビジネスマン、ひいては社会人として必要不可欠な「論理的思考」を、いかに効率よく、いかに真意を射たものとしていくのか。
束縛から抜け出したところで活用する「イメージ」を使う方法や、身体感覚を活用した方法、それらを一枚のチャートに落とし込んでいく具体的な作業などが、次々と紹介されていく。
一部を活用することでも、これまでの自分の仕事の仕方を変えるほどのインパクトがある内容だと思う。

とかく、濃い内容が雪崩のように頭の中に流れ込んでくるイメージのあった本だった。
神田氏の著書は、それほどたくさん読んだわけではないのだけれども、この人の膨大な思考と豊富な経験に裏打ちされた論理展開は、急なようでもあり、地道であるようでもあり、この読書は非常に新鮮だった。
Iyokiyehaは、ここ3年程、ロジカルに考えることをとかく優先してきたが、そこで思考の外に「備考」として押し出されているのに、なぜかひっかかるものが残っていることは記憶にある。仕事でもプライベートでも。
それらは、切り捨てようとしても捨てられないだけの「何か」があったわけだが、それを主戦場にあげるための、そのヒントとなる内容にあふれている一冊だった。
この本で紹介されている手法や思考方法が、自分なりに消化して活用できるようになった時、今までよりもより高次で効率のいい仕事ができるようになっているのだと思える一冊だった。


おすすめ度:★★★★★(たぶん、読んだ人全てに得るものがあると思います)