2023年5月13日土曜日

ウォルター・ワンゲリン著、仲村明子訳『小説「聖書」:旧約編(上)(下)』徳間書店、Audiobook版。

  「聖書」の内容を、現代語というか読み物として描いたもの。本書はそれを日本語に訳した物といえるだろうか。

 おそらく、「聖書」の内容を通読(聴)したのは初めてだった。通して聴いてみると、なんとなくだけど、古事記との共通点みたいなもの・ことが描かれている。神様は神格化されていることがある反面、大変俗人的で憎めないところがある。でも、やっていることは同じようなことで、きれいな女性と結ばれたり、わがままに離縁したり、感情的に国同士の争いに突き進んでいったり・・・世界各地に神話って語り継がれているわけだけど、意外な共通点みたいなこともたくさんあるのだろうな、と感じるに至る。

 結局、「聖書」となると、神様(God)との契約、が随所で語られます。神の意志に沿った生き方をすれば報われる。私利を優先させれば罰せられる。ただ、この神の意志というのも一貫している(のを読み解けていないだけかもしれませんが)とは言い難く、意外と属人的な意志なんだな、と感じる場面もしばしば。それで国が滅んだりするわけだから、実際にそこで生活していたらたまったもんじゃない、と思う場面も少なからずありました。

 とはいえ、世界中で読み継がれているものであり、毎週教会では聖句を取り上げてありがたいお言葉が語られているわけであり、本当に多くの人の拠り所になっているということについては疑う余地はない。何かの折に触れ、聖書で語られる言葉の背景や意味についても踏み込んで考える機会はありそうです。